48 / 278
第2章 王都へ
94 盗賊団⑦
しおりを挟む
「相談ですか?」
「はい。ところで皆さんはこれからどちらへ向かうのでしょうか?」
「フィッツ町ですが…」
ハンクさんの質問の意図がわからず、アランさんは戸惑っている。
「フィッツ町ですか⁉️」
アランさんの答えに喜ぶハンクさん。
そして、アランさんの両手を掴み一気に距離を縮める。
「お願いですっ!クラウジア様を一緒に連れていって頂けないでしょうかっ」
「えっ⁉️竜便にですか?」
相談ってこの事だったのかな?
アランさんたちはまさかのお願いに驚いていた。
「無理を言っているのはよくわかってます。ですが、ここからフィッツ町まで馬車で4時間以上かかります。拘束した盗賊たちを連れてとなると、もっとかかるでしょう。それに、私たちは盗賊団に全く歯が立ちませんでした。盗賊団を連れたまま、クラウジア様を守る事ができるのか、不安なんです」
「しかし」
ハンクさんの言葉に悩むアランさんに、クラウジアさんが更に頼み込む。
「私は本日中にフィッツ町に帰らなければならない事情があるのだ。お願いできないだろうか」
「お願い致します」
ハンクさんとクラウジアさんがアランさんたちに向かって頭を下げると、後ろにいた護衛の人たちも全員頭を下げる。
「俺たちでは判断ができません。俺たちの依頼人に聞いてからでも良いでしょうか?」
ついにアランさんが根負けし、フェ様に判断を丸投げすることにしたようだ。
「よろしく頼む。そうだっ。自己紹介がまだだったね。私はマーガレット商会のクラウジアだ」
「マーガレット商会っ⁉️」
「ん?知っているのかね?」
「知ってるも何も、有名ですよ!マーガレット商会に売ってないものはないとまで言われている。あのマーガレット商会ですよね」
アランさんが知ってる商会だったようで、すごく驚いていた。
有名な商会なのかな?
「はっはっはっ。売ってないものはないというのは大袈裟だよ」
「クラウジア様はマーガレット商会の会頭でございます」
ハンクさんの言葉に更に驚くアランさんたち。
会頭ってことは商会で一番偉い人だよね。
そんな人が護衛をつけているとはいえ、何でこんなところにいたのかな?
「と、とりあえず今から依頼人に確認してきます」
アランさんは二人にそう言うと、マーヴェイさんたちに盗賊たちの監視を任せ、こちらにやって来る。
私はアランさんが着地しやすいように、後ろに下がっておく。
「お帰りなさい」
アランさんがフェリシアに着地するのを待って、声をかけた。
「サラちゃん、ただいま。今回は本当にありがとうね。そして、ごめんっ!」
「え?」
まさか謝られるとは思わず、ビックリしてしまう。
「王立魔法学校に入学できる程の才能の持ち主とはいえ、10歳の君に色々と負担をかけるような事を任せてしまった。戦闘中一人でここにいるのは怖かっただろう?本当にごめんっ!」
アランさんはそう言うと、ガバリと頭を下げる。
「あ、頭をあげてください!私がシーラさんたちに無理を言ってここに残ってたんですっ。謝られることなんて何もありません!」
「サラちゃんは優しいね。でも、俺の勝手な行動で、君に迷惑をかけてしまったのは事実だし、本来なら俺は謝っても許されないことをしたんだ」
アランさんはそう言うと、屈みこんで私と目線を合わせる。
「もし、君に何か困ったことが起こったら、僕たち"緑の風"が必ず力になるから。冒険者ギルドに連絡してほしい」
「えっ!でも」
そんなつもりでした事じゃなかったのですぐに断ろうとしたけど、アランさんはそんな私に気づいていたみたいですぐに別の話題をふってくる。
「さぁ、一緒に竜籠に戻ってみんなを安心させにいこう。サラちゃんも竜籠を飛び出して来ちゃったんだって?きっと心配してるよ」
「あっ!」
そうだった!私はフェ様の制止を振り切って勝手に外に出ちゃったんだった!
「俺も勝手なことしちゃった訳だから、しっかりとみんなに謝罪と説明をしないとなぁ」
お互いに顔を見合わせてため息をつくと、私たちは竜籠に戻るのだった。
フェ様怒ってるかなぁ?
「はい。ところで皆さんはこれからどちらへ向かうのでしょうか?」
「フィッツ町ですが…」
ハンクさんの質問の意図がわからず、アランさんは戸惑っている。
「フィッツ町ですか⁉️」
アランさんの答えに喜ぶハンクさん。
そして、アランさんの両手を掴み一気に距離を縮める。
「お願いですっ!クラウジア様を一緒に連れていって頂けないでしょうかっ」
「えっ⁉️竜便にですか?」
相談ってこの事だったのかな?
アランさんたちはまさかのお願いに驚いていた。
「無理を言っているのはよくわかってます。ですが、ここからフィッツ町まで馬車で4時間以上かかります。拘束した盗賊たちを連れてとなると、もっとかかるでしょう。それに、私たちは盗賊団に全く歯が立ちませんでした。盗賊団を連れたまま、クラウジア様を守る事ができるのか、不安なんです」
「しかし」
ハンクさんの言葉に悩むアランさんに、クラウジアさんが更に頼み込む。
「私は本日中にフィッツ町に帰らなければならない事情があるのだ。お願いできないだろうか」
「お願い致します」
ハンクさんとクラウジアさんがアランさんたちに向かって頭を下げると、後ろにいた護衛の人たちも全員頭を下げる。
「俺たちでは判断ができません。俺たちの依頼人に聞いてからでも良いでしょうか?」
ついにアランさんが根負けし、フェ様に判断を丸投げすることにしたようだ。
「よろしく頼む。そうだっ。自己紹介がまだだったね。私はマーガレット商会のクラウジアだ」
「マーガレット商会っ⁉️」
「ん?知っているのかね?」
「知ってるも何も、有名ですよ!マーガレット商会に売ってないものはないとまで言われている。あのマーガレット商会ですよね」
アランさんが知ってる商会だったようで、すごく驚いていた。
有名な商会なのかな?
「はっはっはっ。売ってないものはないというのは大袈裟だよ」
「クラウジア様はマーガレット商会の会頭でございます」
ハンクさんの言葉に更に驚くアランさんたち。
会頭ってことは商会で一番偉い人だよね。
そんな人が護衛をつけているとはいえ、何でこんなところにいたのかな?
「と、とりあえず今から依頼人に確認してきます」
アランさんは二人にそう言うと、マーヴェイさんたちに盗賊たちの監視を任せ、こちらにやって来る。
私はアランさんが着地しやすいように、後ろに下がっておく。
「お帰りなさい」
アランさんがフェリシアに着地するのを待って、声をかけた。
「サラちゃん、ただいま。今回は本当にありがとうね。そして、ごめんっ!」
「え?」
まさか謝られるとは思わず、ビックリしてしまう。
「王立魔法学校に入学できる程の才能の持ち主とはいえ、10歳の君に色々と負担をかけるような事を任せてしまった。戦闘中一人でここにいるのは怖かっただろう?本当にごめんっ!」
アランさんはそう言うと、ガバリと頭を下げる。
「あ、頭をあげてください!私がシーラさんたちに無理を言ってここに残ってたんですっ。謝られることなんて何もありません!」
「サラちゃんは優しいね。でも、俺の勝手な行動で、君に迷惑をかけてしまったのは事実だし、本来なら俺は謝っても許されないことをしたんだ」
アランさんはそう言うと、屈みこんで私と目線を合わせる。
「もし、君に何か困ったことが起こったら、僕たち"緑の風"が必ず力になるから。冒険者ギルドに連絡してほしい」
「えっ!でも」
そんなつもりでした事じゃなかったのですぐに断ろうとしたけど、アランさんはそんな私に気づいていたみたいですぐに別の話題をふってくる。
「さぁ、一緒に竜籠に戻ってみんなを安心させにいこう。サラちゃんも竜籠を飛び出して来ちゃったんだって?きっと心配してるよ」
「あっ!」
そうだった!私はフェ様の制止を振り切って勝手に外に出ちゃったんだった!
「俺も勝手なことしちゃった訳だから、しっかりとみんなに謝罪と説明をしないとなぁ」
お互いに顔を見合わせてため息をつくと、私たちは竜籠に戻るのだった。
フェ様怒ってるかなぁ?
14
お気に入りに追加
4,597
あなたにおすすめの小説

好きでした、さようなら
豆狸
恋愛
「……すまない」
初夜の床で、彼は言いました。
「君ではない。私が欲しかった辺境伯令嬢のアンリエット殿は君ではなかったんだ」
悲しげに俯く姿を見て、私の心は二度目の死を迎えたのです。
なろう様でも公開中です。
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
側妃は捨てられましたので
なか
恋愛
「この国に側妃など要らないのではないか?」
現王、ランドルフが呟いた言葉。
周囲の人間は内心に怒りを抱きつつ、聞き耳を立てる。
ランドルフは、彼のために人生を捧げて王妃となったクリスティーナ妃を側妃に変え。
別の女性を正妃として迎え入れた。
裏切りに近い行為は彼女の心を確かに傷付け、癒えてもいない内に廃妃にすると宣言したのだ。
あまりの横暴、人道を無視した非道な行い。
だが、彼を止める事は誰にも出来ず。
廃妃となった事実を知らされたクリスティーナは、涙で瞳を潤ませながら「分かりました」とだけ答えた。
王妃として教育を受けて、側妃にされ
廃妃となった彼女。
その半生をランドルフのために捧げ、彼のために献身した事実さえも軽んじられる。
実の両親さえ……彼女を慰めてくれずに『捨てられた女性に価値はない』と非難した。
それらの行為に……彼女の心が吹っ切れた。
屋敷を飛び出し、一人で生きていく事を選択した。
ただコソコソと身を隠すつまりはない。
私を軽んじて。
捨てた彼らに自身の価値を示すため。
捨てられたのは、どちらか……。
後悔するのはどちらかを示すために。
私が死んで満足ですか?
マチバリ
恋愛
王太子に婚約破棄を告げられた伯爵令嬢ロロナが死んだ。
ある者は面倒な婚約破棄の手続きをせずに済んだと安堵し、ある者はずっと欲しかった物が手に入ると喜んだ。
全てが上手くおさまると思っていた彼らだったが、ロロナの死が与えた影響はあまりに大きかった。
書籍化にともない本編を引き下げいたしました
最愛の側妃だけを愛する旦那様、あなたの愛は要りません
abang
恋愛
私の旦那様は七人の側妃を持つ、巷でも噂の好色王。
後宮はいつでも女の戦いが絶えない。
安心して眠ることもできない後宮に、他の妃の所にばかり通う皇帝である夫。
「どうして、この人を愛していたのかしら?」
ずっと静観していた皇后の心は冷めてしまいう。
それなのに皇帝は急に皇后に興味を向けて……!?
「あの人に興味はありません。勝手になさい!」

婚約破棄の後始末 ~息子よ、貴様何をしてくれってんだ!
タヌキ汁
ファンタジー
国一番の権勢を誇る公爵家の令嬢と政略結婚が決められていた王子。だが政略結婚を嫌がり、自分の好き相手と結婚する為に取り巻き達と共に、公爵令嬢に冤罪をかけ婚約破棄をしてしまう、それが国を揺るがすことになるとも思わずに。
これは馬鹿なことをやらかした息子を持つ父親達の嘆きの物語である。

愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

精霊の愛し子が濡れ衣を着せられ、婚約破棄された結果
あーもんど
恋愛
「アリス!私は真実の愛に目覚めたんだ!君との婚約を白紙に戻して欲しい!」
ある日の朝、突然家に押し掛けてきた婚約者───ノア・アレクサンダー公爵令息に婚約解消を申し込まれたアリス・ベネット伯爵令嬢。
婚約解消に同意したアリスだったが、ノアに『解消理由をそちらに非があるように偽装して欲しい』と頼まれる。
当然ながら、アリスはそれを拒否。
他に女を作って、婚約解消を申し込まれただけでも屈辱なのに、そのうえ解消理由を偽装するなど有り得ない。
『そこをなんとか······』と食い下がるノアをアリスは叱咤し、屋敷から追い出した。
その数日後、アカデミーの卒業パーティーへ出席したアリスはノアと再会する。
彼の隣には想い人と思われる女性の姿が·····。
『まだ正式に婚約解消した訳でもないのに、他の女とパーティーに出席するだなんて·····』と呆れ返るアリスに、ノアは大声で叫んだ。
「アリス・ベネット伯爵令嬢!君との婚約を破棄させてもらう!婚約者が居ながら、他の男と寝た君とは結婚出来ない!」
濡れ衣を着せられたアリスはノアを冷めた目で見つめる。
······もう我慢の限界です。この男にはほとほと愛想が尽きました。
復讐を誓ったアリスは────精霊王の名を呼んだ。
※本作を読んでご気分を害される可能性がありますので、閲覧注意です(詳しくは感想欄の方をご参照してください)
※息抜き作品です。クオリティはそこまで高くありません。
※本作のざまぁは物理です。社会的制裁などは特にありません。
※hotランキング一位ありがとうございます(2020/12/01)
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。