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第2章 王都へ

94 盗賊団⑦

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「相談ですか?」
「はい。ところで皆さんはこれからどちらへ向かうのでしょうか?」
「フィッツ町ですが…」

ハンクさんの質問の意図がわからず、アランさんは戸惑っている。

「フィッツ町ですか⁉️」

アランさんの答えに喜ぶハンクさん。
そして、アランさんの両手を掴み一気に距離を縮める。

「お願いですっ!クラウジア様を一緒に連れていって頂けないでしょうかっ」
「えっ⁉️竜便にですか?」

相談ってこの事だったのかな?
アランさんたちはまさかのお願いに驚いていた。


「無理を言っているのはよくわかってます。ですが、ここからフィッツ町まで馬車で4時間以上かかります。拘束した盗賊たちを連れてとなると、もっとかかるでしょう。それに、私たちは盗賊団に全く歯が立ちませんでした。盗賊団を連れたまま、クラウジア様を守る事ができるのか、不安なんです」
「しかし」

ハンクさんの言葉に悩むアランさんに、クラウジアさんが更に頼み込む。

「私は本日中にフィッツ町に帰らなければならない事情があるのだ。お願いできないだろうか」
「お願い致します」

ハンクさんとクラウジアさんがアランさんたちに向かって頭を下げると、後ろにいた護衛の人たちも全員頭を下げる。

「俺たちでは判断ができません。俺たちの依頼人に聞いてからでも良いでしょうか?」

ついにアランさんが根負けし、フェ様に判断を丸投げすることにしたようだ。

「よろしく頼む。そうだっ。自己紹介がまだだったね。私はマーガレット商会のクラウジアだ」
「マーガレット商会っ⁉️」
「ん?知っているのかね?」
「知ってるも何も、有名ですよ!マーガレット商会に売ってないものはないとまで言われている。あのマーガレット商会ですよね」

アランさんが知ってる商会だったようで、すごく驚いていた。
有名な商会なのかな?

「はっはっはっ。売ってないものはないというのは大袈裟だよ」
「クラウジア様はマーガレット商会の会頭でございます」

ハンクさんの言葉に更に驚くアランさんたち。
会頭ってことは商会で一番偉い人だよね。
そんな人が護衛をつけているとはいえ、何でこんなところにいたのかな?

「と、とりあえず今から依頼人に確認してきます」

アランさんは二人にそう言うと、マーヴェイさんたちに盗賊たちの監視を任せ、こちらにやって来る。
私はアランさんが着地しやすいように、後ろに下がっておく。

「お帰りなさい」

アランさんがフェリシアに着地するのを待って、声をかけた。

「サラちゃん、ただいま。今回は本当にありがとうね。そして、ごめんっ!」
「え?」

まさか謝られるとは思わず、ビックリしてしまう。

「王立魔法学校に入学できる程の才能の持ち主とはいえ、10歳の君に色々と負担をかけるような事を任せてしまった。戦闘中一人でここにいるのは怖かっただろう?本当にごめんっ!」

アランさんはそう言うと、ガバリと頭を下げる。

「あ、頭をあげてください!私がシーラさんたちに無理を言ってここに残ってたんですっ。謝られることなんて何もありません!」
「サラちゃんは優しいね。でも、俺の勝手な行動で、君に迷惑をかけてしまったのは事実だし、本来なら俺は謝っても許されないことをしたんだ」

アランさんはそう言うと、屈みこんで私と目線を合わせる。

「もし、君に何か困ったことが起こったら、僕たち"緑の風"が必ず力になるから。冒険者ギルドに連絡してほしい」
「えっ!でも」

そんなつもりでした事じゃなかったのですぐに断ろうとしたけど、アランさんはそんな私に気づいていたみたいですぐに別の話題をふってくる。

「さぁ、一緒に竜籠に戻ってみんなを安心させにいこう。サラちゃんも竜籠を飛び出して来ちゃったんだって?きっと心配してるよ」
「あっ!」

そうだった!私はフェ様の制止を振り切って勝手に外に出ちゃったんだった!

「俺も勝手なことしちゃった訳だから、しっかりとみんなに謝罪と説明をしないとなぁ」

お互いに顔を見合わせてため息をつくと、私たちは竜籠に戻るのだった。
フェ様怒ってるかなぁ?



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