私がいつの間にか精霊王の母親に!?

桜 あぴ子(旧名:あぴ子)

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第2章 王都へ

80 マール町①

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下に下りると、フェ様は何故か一人で豪奢な椅子に座っていた。
その周りを神父様や町長さんらしき人が囲んでいる。

「私が下りた時からあの状態なのよ」

私が不思議そうに見ていたら、アミーちゃんが教えてくれた。
キャシーちゃんはその横でふらふらしていて、ハル君に支えられている。

「みんな下りたようですね。では、教会に行きましょうか」
「そんな⁉️」

フェ様の言葉に何故か町長さんらしき人が悲痛な顔をする。
逆に神父様たちはほっとした顔をしていた。

「フェビラル様には是非とも、私の屋敷にてお過ごししていただきたいっ!」
「今回はすでに教会でお世話になる予定なのでね。気持ちは嬉しいが、遠慮しておくよ」
「フェビラル様、馬車があちらに止めてありますので、どうぞこちらへ」

フェ様は椅子から立ち上がると、町長さんらしき人を振りきり、神父様たちの元へ向かう。

「さぁ、皆様こちらへ。荷物は既に馬車の上に積んであります」

私たちも神父様に促されて、馬車に向かう。一台目の馬車にはフェ様と神父様たちが。二台目に私たち子供と、アランさんたちが乗り込むことになった。

「あれ?ロンさんは」

ロンさんを探すと、ロンさんはフェリシアの側にいた。

「ロンさんは停留所に泊まるんだ。一応停留所にも竜をお世話する人がいるらしいけど、他人にフェリシアを触られたくないらしい」

アランさんからロンさんが馬車に乗らない理由を教えてもらう。
フェリシアがこちらを見ていたので、手を振って挨拶してから、馬車に乗り込む。
馬車では進行方向に私たち4人が座り、向かい側にアランさんたちが座った。
マーヴェイさんは大柄なので、随分窮屈そうだ。でも、他の人のために身を縮ませ、少しでもスペースを開けようと頑張っている。

「しまったな。さすがにマーヴェイには狭すぎたか。大丈夫か?」

マーヴェイさんはアランさんに向けて問題ないと言うように頷く。
馬車は私たちを乗せて、動き出した。

「今日泊まるところは教会なんだね」
「この町の宿屋に泊まれると思ってたのに残念!せっかくなら他の宿屋がどんな感じなのか知りたかったのにな」

アミーちゃんは宿屋に泊まれなくて残念そう。

「うーん。残念だけど、これからも泊まる場所は教会なんだよね」
「えっ⁉️」

まさかのアランさんの発言に絶句するアミーちゃん。

「神官長様がいらっしゃるからね。教会が町にあるのに、宿屋にわざわざ泊まる事はないから」
「そんなーっ!」

アミーちゃんはがっくりと肩を落とす。

「で、でもね。教会のお部屋も素敵だったよ。部屋もすっごく広かったし、お風呂もついてたんだから。今回泊まる協会もきっと素敵な部屋なんじゃないかな?」

あまりの落ち込みように、可哀想になって、アミーちゃんを必死で慰める。

「あら。サラちゃんは教会に泊まったことがあるの?」
「あ。う、うん」
「教会に泊まる機会があったなんて、どなたかお知り合いがいるの?」

私の話にシーラさんが興味を持ったみたいで、話しかけられる。
しまった。教会に泊まったことはシーラさんたちの前では、言わない方が良かったかも。

「う、うん。ちょっと」
「サラちゃん、ありがとう。少し元気が出たよ。ところで、教会にはまだ着かないんですか?」
「あ、そうね。もう少しで着くと思うんだけど」

シーラさんは窓を覗き、外の様子を伺う。私は話題が変わったことに安心して、アミーちゃんを見る。
するとアミーちゃんは私に向かって、ペロッと舌を出す。
アミーちゃんは私が困っていたことに気づいて、話題を変えてくれたんだ!
嬉しくって、アミーちゃんの手を握ると、アミーちゃんも握り返してくれる。
私たちは教会につくまで、ずっと手を握っていた。

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