私がいつの間にか精霊王の母親に!?

桜 あぴ子(旧名:あぴ子)

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第2章 王都へ

77 休憩所

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休憩所は開けた場所にあって、小さな小屋がポツンと建っている以外、何も無い場所だった。
竜便を使う際に使用される場所だから、竜が降りられるように広いスペースを作ってあるそうだ。
小屋は私たちのような人が休憩するために建てられていて、中のものは自由に使っていいらしい。
小さいと思っていた小屋は近くでみると、思ったより大きい。
小屋の中にはキッチンが備えられていて、机や椅子が人数分あり、お昼休憩をとるのに最適な場所だった。
早速、シーラさんとマーヴェイさんがお昼を作ってくれる。
アランさんはお料理が苦手らしく、私たち子供に混じって、机や椅子を拭いたり、フォークを並べたりしていた。
ロンさんはフェリシアが寂しくないよう外にいるとのことだったので、お昼が出来たら呼ぶことになっていた。
さすがに神官長様を働かせるわけにはいかないので、フェ様には拭いた椅子に座ってもらっている。
シーラさんもお料理の手際が良かったけど、マーヴェイさんは更にすごくて、野菜の千切りを披露してくれた時は、あまりのスピードに拍手喝采が起こった程だ。

「さあ、みんな。料理ができたから、机に並べてくれるかしら?」
「「「「はーいっ」」」」
「じゃあ、俺はロンさんを呼んでくるよ」

机に料理を並べて、みんなで座る。
すぐにアランさんがロンさんをつれて戻ってきた。

「いただきます」
「「「「「「いただきます」」」」」」

フェ様のあとに続いて、みんなで挨拶する。
お料理はどれも美味しくって、ご飯が進む。ある程度お腹が満たされた所で、私たちの興味はアランさんたちに移された。

「じゃあ、アランさんたちは冒険者なんですか?」
「ああ。護衛依頼がギルドに出ていてね。俺たちもちょうど王都に行く予定があったから、受けたんだ」
「俺、冒険者に会うの初めてだ。冒険者って魔物を倒すだけじゃないんですね!」

ハル君はアランさんたちが冒険者だと知って、瞳を輝かせている。

「そればっかりじゃないよ。ランクの低い冒険者は魔物討伐は受けれないから、薬草とりや住民の困り事を解決したりして、生計を立ててるし。まあ、今回は魔物討伐も含まれているけど」
「それに、護衛の仕事はある程度ランクが上でないと受けられないのよ」
「そうなんだっ。すごいっ!」

シーラさんがアランさんの話を補足する。
ハル君から称賛を受けて心なしか嬉しそうだ。

「3人はいつも一緒に仕事をしてるんですか?」
「ああ。俺たち3人はパーティーを組んでいるから」
「一緒に組んで、もう6年は経っているわね」

お父さんも冒険者だったとき、パーティーを組んでたりしたのかな?
三人の様子を見て、お父さんの冒険者時代のことが気になった。
今度家に帰るときに聞いてみよう。

「しかし、サラちゃんは度胸があるわね。まさか本当に滑ると思わなかったわ」
「確かに。魔法もうまく使っていたし。風魔法は得意なのかな?しかし、あの詠唱は・・・。くっくっくっ」

シーラさんの言葉にアランさんも頷くけど、何故か途中で笑い出す。

「ちょっと、アランどうしたのよ?突然笑い出すなんて」

シーラさんもよくわからなかったみたいで、アランさんに聞いてくれる。
アランさんはしばらく笑っていたけど、笑いが落ち着いたところで、理由を教えてくれた。

「いや。サラちゃんって、魔法は独学で習ったのかな?」
「基本的なことはお母さんに教えてもらいましたけど」

アランさんの意図がわからず、戸惑う。

「サラちゃんの詠唱が、そのまんまだったから」
「?」
「詠唱ってさ、同じ魔法でも色々あるんだけど、まさかスピードを出すために、そのまんま、スピード出ろって言うとは思わなかったな」

アランさんの言葉で滑っている最中に、
アランさんが突然吹き出した理由がわかった。

「サラちゃん、その詠唱で魔法が使えるの?」
「う、うん。」

アミーちゃんはすごく驚いている。
私にとっては普通のことだけど、学校に行ったら真面目に詠唱の勉強をした方が良さそうだ。

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