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第2章 王都へ
74 安心できませんでした
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二人が衝撃から立ち直った後、私たちは改めて自己紹介することにした。
フェ様は私たちがおしゃべりしてても特に注意することもなく、本を読んでいたので、安心して話すことができた。
「じゃあ、2人は幼馴染みなんだね」
「そうなんだ」
キャシーちゃんとハル君は同じ村の出身だった。
仲が良いなとは思ってたけど、幼馴染みなら納得だ。
「キャシーは私たちと能力鑑定を受けたけど、一緒には来ていたの?」
「アルム村から能力鑑定を受けたのは俺たちも含めて4人だったから、俺と他の2人は先に呼ばれたんだ」
「他の2人も好意持ちだったんだけど、他の能力が入学基準を満たしてなかったらしくって、アルム村からはわたしたち二人だけが入学を勧められたのよ」
キャシーちゃんは魔法学校に行けるのが本当に嬉しいみたいで、瞳をキラキラと輝かせながら教えてくれた。
でも、気になることがひとつ。
「称号持ちなら、学校に行けるんじゃないの?」
「そんな訳ないじゃないっ!」
的はずれな質問だったようで、キャシーちゃんがとても驚いている。
「珍しい属性の精霊様からの好意持ちであれば、他の能力が低くても入学できるかもしれないけど、王立魔法学校は全ての能力が高い人だけが入学することができるの。つまり、わたしたちは選ばれし者と言うことよ!」
キャシーちゃんは椅子から立ち上がり、左手を腰に当てて、右の人差し指を空に向かって突き上げる。
すごいっ!何かよくわかんないけど、ポーズが決まってて格好いい!
今度真似してみよう。
私とマーブルがキャシーちゃんのポーズに感動していると、アミーちゃんに肩を叩かれる。
「サラちゃんは今のままが良いよ。あれは悪い見本だから、真似しちゃダメ」
どうやら声に出してたみたい。
アミーちゃんの冷静な声に、キャシーちゃんが恥ずかしそうに椅子に座り直す。ハル君は苦笑いだ。
「キャシーは小さい頃から光魔法が使えてたから、アルム村で初めて王立魔法学校に行くんじゃないかって言われてたんけど、俺まで入学できるとは思ってなくって、みんな驚いてたよ」
「あたしは火と水の精霊様からの好意持ちなの。キャシーは光の精霊様よね。ハルは?」
「俺は土の精霊様だよ。相性が高かったことと魔力が人より多かったから、今回入学できたんだ」
思ったより、称号持ちの子は多いみたいだ。
あれ?じゃあ、クルル村の子供たちも称号持ちと言うだけでは目立つことはないのかな?
少し希望が見えた気がした。
でも、リードの言葉で希望ははかなく散る。
『姐さん、心配すんな。クルル村の子供たちは全員、複数の称号持ちだから、王立魔法学校に行けるはずだぜっ!』
全然安心できない情報をありがとう。
くすん。
リードの言葉に落ち込むが、気持ちを切り替えよう。
王立魔法学校に入学できるのは名誉なことみたいだしね。
「でも、今年は称号持ちの子が多かったみたいね。普通じゃあり得ないことらしいけど。あたしの友だちもほぼ称号持ちだったわ」
アミーちゃんの言葉にどきりとする。
「町長さんに学校入学の報告に行ったんだけど、その時にこの町始まって以来の豊作だ~って喜んでたわ。あたしたちは作物かっ!って思ったのを思い出した」
アミーちゃんはそう言って、肩をすくめる。
「アルム村の村長さんも同じようなこと言ってた。サラのところはどうだったの?」
「あ。うちの村は今年は私1人だけだったの。結果を伝えたら、村長さんは号泣してた。今日も村を出る前に村のみんな総出で胴上げしてくれたんだよ」
「な、何かすごい村ね」
キャシーちゃんは私の話に少し引き気味のようだ。あれー?
「でも、今年は何でこんなに称号持ちが多いんだろうな?」
ハル君が首をかしげていると、今まで静かに本を読んでいたフェ様が話し出す。
「確かに今年は例年の3倍程、称号持ちが増えてましたね。他の所がどうだったかは知りませんが」
「そうなんですか?」
思った以上に多くてビックリする。
「ですが、称号があっても他の能力が入学基準を満たしておりませんでしたので、今回入学を勧めたのは貴方たちの4名だけです。━━普段ならあの能力結果で称号を授かることはあり得ないのですが」
フェ様は後半は私にしか聞こえない声で話すと、こちらをちらりと見る。
きっと、私が何か知っていると思ったのかな?
まさしくその通りなので、どこかで二人っきりになる場面があったら、言ったほうが良いかなぁ?
私がマーブルの頭を撫でながら悩んでいると、キャシーちゃんの視線を感じる。
「ねぇ。さっきから気になってたんだけど、学校に猫って持ち込んで大丈夫なの?」
「マーブルは私の使い魔にするつもりなの」
マーブルをキャシーちゃんから見やすいように、抱き上げて見せる。
「にゃんっ」
「使い魔?」
「そう」
これはフェ様たちと相談して決めたことだ。使い魔なら私と常に一緒にいてもおかしくないもんね。
「普通の猫よね?猫でも使い魔にできるの?」
私の使い魔発言にキャシーちゃんが首をかしげる。
「えーと、詳しくはよくわからないんだけど、契約をすれば、魔力のない動物でも、使い魔にすることは可能なんだって。その場合は自分の魔力を使い魔に与える事で、使い魔も魔法が使えるようになるみたいだよ」
「「「へーっ!」」」
マーブルの場合は使い魔になった振りをするだけだけど。
「普通は魔力のある動物を召喚して、使い魔にすることのが多いのですが。サラ様のように自分のペットを使い魔にする人もいないわけではありません」
フェ様が更に補足してくれる。
「学校に行ったら、俺たちも使い魔を持つことができるのかな?」
「授業を受ければ持てますよ」
ハル君は興味があるのか嬉しそうだ。
しばらくの間、私たちはフェ様を交えて楽しく過ごした。
---
12/26 一部文章を修正しました
誤:《サラちゃん》は椅子から立ち上がり、左手を腰に当てて、右の人差し指を空に向かって突き上げる。
正:《キャシーちゃん》は椅子から立ち上がり、左手を腰に当てて、右の人差し指を空に向かって突き上げる。
誤:マーブルを《キャーちゃん》から見やすいように、抱き上げて見せる。
正:マーブルを《キャシーちゃん》から見やすいように、抱き上げて見せる。
2/2 訂正を追加しました。
誤:《あたしたちは》は作物かっ!
正:《あたしたち》は作物かっ!
フェ様は私たちがおしゃべりしてても特に注意することもなく、本を読んでいたので、安心して話すことができた。
「じゃあ、2人は幼馴染みなんだね」
「そうなんだ」
キャシーちゃんとハル君は同じ村の出身だった。
仲が良いなとは思ってたけど、幼馴染みなら納得だ。
「キャシーは私たちと能力鑑定を受けたけど、一緒には来ていたの?」
「アルム村から能力鑑定を受けたのは俺たちも含めて4人だったから、俺と他の2人は先に呼ばれたんだ」
「他の2人も好意持ちだったんだけど、他の能力が入学基準を満たしてなかったらしくって、アルム村からはわたしたち二人だけが入学を勧められたのよ」
キャシーちゃんは魔法学校に行けるのが本当に嬉しいみたいで、瞳をキラキラと輝かせながら教えてくれた。
でも、気になることがひとつ。
「称号持ちなら、学校に行けるんじゃないの?」
「そんな訳ないじゃないっ!」
的はずれな質問だったようで、キャシーちゃんがとても驚いている。
「珍しい属性の精霊様からの好意持ちであれば、他の能力が低くても入学できるかもしれないけど、王立魔法学校は全ての能力が高い人だけが入学することができるの。つまり、わたしたちは選ばれし者と言うことよ!」
キャシーちゃんは椅子から立ち上がり、左手を腰に当てて、右の人差し指を空に向かって突き上げる。
すごいっ!何かよくわかんないけど、ポーズが決まってて格好いい!
今度真似してみよう。
私とマーブルがキャシーちゃんのポーズに感動していると、アミーちゃんに肩を叩かれる。
「サラちゃんは今のままが良いよ。あれは悪い見本だから、真似しちゃダメ」
どうやら声に出してたみたい。
アミーちゃんの冷静な声に、キャシーちゃんが恥ずかしそうに椅子に座り直す。ハル君は苦笑いだ。
「キャシーは小さい頃から光魔法が使えてたから、アルム村で初めて王立魔法学校に行くんじゃないかって言われてたんけど、俺まで入学できるとは思ってなくって、みんな驚いてたよ」
「あたしは火と水の精霊様からの好意持ちなの。キャシーは光の精霊様よね。ハルは?」
「俺は土の精霊様だよ。相性が高かったことと魔力が人より多かったから、今回入学できたんだ」
思ったより、称号持ちの子は多いみたいだ。
あれ?じゃあ、クルル村の子供たちも称号持ちと言うだけでは目立つことはないのかな?
少し希望が見えた気がした。
でも、リードの言葉で希望ははかなく散る。
『姐さん、心配すんな。クルル村の子供たちは全員、複数の称号持ちだから、王立魔法学校に行けるはずだぜっ!』
全然安心できない情報をありがとう。
くすん。
リードの言葉に落ち込むが、気持ちを切り替えよう。
王立魔法学校に入学できるのは名誉なことみたいだしね。
「でも、今年は称号持ちの子が多かったみたいね。普通じゃあり得ないことらしいけど。あたしの友だちもほぼ称号持ちだったわ」
アミーちゃんの言葉にどきりとする。
「町長さんに学校入学の報告に行ったんだけど、その時にこの町始まって以来の豊作だ~って喜んでたわ。あたしたちは作物かっ!って思ったのを思い出した」
アミーちゃんはそう言って、肩をすくめる。
「アルム村の村長さんも同じようなこと言ってた。サラのところはどうだったの?」
「あ。うちの村は今年は私1人だけだったの。結果を伝えたら、村長さんは号泣してた。今日も村を出る前に村のみんな総出で胴上げしてくれたんだよ」
「な、何かすごい村ね」
キャシーちゃんは私の話に少し引き気味のようだ。あれー?
「でも、今年は何でこんなに称号持ちが多いんだろうな?」
ハル君が首をかしげていると、今まで静かに本を読んでいたフェ様が話し出す。
「確かに今年は例年の3倍程、称号持ちが増えてましたね。他の所がどうだったかは知りませんが」
「そうなんですか?」
思った以上に多くてビックリする。
「ですが、称号があっても他の能力が入学基準を満たしておりませんでしたので、今回入学を勧めたのは貴方たちの4名だけです。━━普段ならあの能力結果で称号を授かることはあり得ないのですが」
フェ様は後半は私にしか聞こえない声で話すと、こちらをちらりと見る。
きっと、私が何か知っていると思ったのかな?
まさしくその通りなので、どこかで二人っきりになる場面があったら、言ったほうが良いかなぁ?
私がマーブルの頭を撫でながら悩んでいると、キャシーちゃんの視線を感じる。
「ねぇ。さっきから気になってたんだけど、学校に猫って持ち込んで大丈夫なの?」
「マーブルは私の使い魔にするつもりなの」
マーブルをキャシーちゃんから見やすいように、抱き上げて見せる。
「にゃんっ」
「使い魔?」
「そう」
これはフェ様たちと相談して決めたことだ。使い魔なら私と常に一緒にいてもおかしくないもんね。
「普通の猫よね?猫でも使い魔にできるの?」
私の使い魔発言にキャシーちゃんが首をかしげる。
「えーと、詳しくはよくわからないんだけど、契約をすれば、魔力のない動物でも、使い魔にすることは可能なんだって。その場合は自分の魔力を使い魔に与える事で、使い魔も魔法が使えるようになるみたいだよ」
「「「へーっ!」」」
マーブルの場合は使い魔になった振りをするだけだけど。
「普通は魔力のある動物を召喚して、使い魔にすることのが多いのですが。サラ様のように自分のペットを使い魔にする人もいないわけではありません」
フェ様が更に補足してくれる。
「学校に行ったら、俺たちも使い魔を持つことができるのかな?」
「授業を受ければ持てますよ」
ハル君は興味があるのか嬉しそうだ。
しばらくの間、私たちはフェ様を交えて楽しく過ごした。
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12/26 一部文章を修正しました
誤:《サラちゃん》は椅子から立ち上がり、左手を腰に当てて、右の人差し指を空に向かって突き上げる。
正:《キャシーちゃん》は椅子から立ち上がり、左手を腰に当てて、右の人差し指を空に向かって突き上げる。
誤:マーブルを《キャーちゃん》から見やすいように、抱き上げて見せる。
正:マーブルを《キャシーちゃん》から見やすいように、抱き上げて見せる。
2/2 訂正を追加しました。
誤:《あたしたちは》は作物かっ!
正:《あたしたち》は作物かっ!
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