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一日目がおわ…らない!

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マイクの土下座騒動のあと、すぐに村長の家に返ろうとするラインハルトをマイクがひき止め、一緒に夕飯を食べることになった。
ノーラもそのつもりで夕飯の準備をしていたようで、家に戻ったときにはラインハルト用の食器も用意されていた。
ご飯を食べているときはローラもノーラも無言で食事に集中するため、会話はもっぱらマイクとラインハルトの二人で行われた。
今日一日村で過ごしてみてどうだったか聞くマイクに、言葉少なにまだよくわからないと答えるラインハルト。
一日目にもかかわらず衝撃の事実がありすぎて、まだラインハルト自身の中で整理がつかないでいるようだった。

「では、また明日もお伺いいたします」

夕飯を食べ終えたラインハルトは明日もローラのもとに来ると宣言すると、村長の家に帰っていった。
マイクに言われ、渋々家の外でラインハルトを見送ったローラは明日も来るのかとうんざりしつつも、家の中に入ろうといそいそと扉に手をかける。

「ローラ!」

声をかけられローラが振り向くと、木の陰からこちらを伺う一人の少女の姿があった。

「ナーシャ!」

ナーシャはローラの幼馴染の少女で、ウェーブのかかった茶色の髪を一つにまとめ、空色の瞳は今は好奇心で光り輝いていた。

「こんな遅い時間にどうしたんですか?」

ローラの質問に、一転に楽しげだった表情は悲し気な表情に変わる。しかし、ローラにはわかっていた。これはローラに罪悪感を抱かせるための演技であることを。

「そう、貴女の親友のナーシャよ。ねぇローラ、あたしは今とっても悲しい気分よ。なぜだかわかる?」
「な、なぜでしょうかね?」
「すっとぼけないで!あんたが王都からやってきた騎士様に求婚されて、この村を出てくらしいじゃないの!そんな重要なことを何で、あたしに教えてくれないのよ!」
「……は?」
「んもうっ!恋愛のれの字も興味を持とうとしなかったあんたがあたしより先に結婚するなんて、びっくりよ!あんな素敵な男性に惚れられるなんて、今日は朝まで寝かせないから、すべて話してもらうわよ!」
「ちょ、ちょっと待ってください!一体誰がそんなでたらめを」
「え?村中のみんなが知ってる話だけど。マイクおじさんが娘は絶対に渡さないって話してたらしいわよ」
「お父さんったら、誤解を招くような言い方をしてっ!もうっ、もうっ!」

マイクは娘を心配してそんな話をしたのかもしれないが、間際らしい言い方をしたマイクにローラは苛立ちを覚える。

(絶対にお母さんにお父さんを叱ってもらおう!)

「今日も一日あんたから離れようとしないし、絶対にそうだと思ってたのに、……違うの?」
「違いますっ!」
「なぁんだ!でも、じゃあなんで騎士様がこんな所までやってきたのよ?」

必死に否定をしたことでナーシャは納得してくれたようだが、そうなったらそうなったで新たな疑問が出るのは仕方がないことである。

「えっと、それは」

まさか、勇者パーティーに選ばれたのでラインハルトが来ましたと言えるわけもなく、言葉に詰まるローラに迫力のある笑顔で迫るナーシャ。

「ローラにも関係あることなんでしょう?じゃないとマイクおじさんの態度に説明がつかないし、……さっさと白状したほうがアンタのためよ?」

残念ながら、ローラの一日はまだ終わらないようだ。
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