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一方その頃

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一方その頃、ローラとラインハルトがいなくなった家の中では村長とマイクが話し合いを続けていた。

「しかし、良かったのか?」
「何がじゃ?」
「先程ラインハルト様にファミル村がこの森唯一の村と話してたじゃないか。騎士様にあんな嘘を教えて、ばれたら大変なことになるのはわかってるだろうに」
「ワシは嘘は言っておらんもん。人間の村はファミル村しかないのは本当じゃろう?」
「人間の村はね。でも、他の種族はあちこちに村があるじゃないか。まあ、俺たちもそこまで交流があるわけではないから、質問されても困るけど」
「まあ、騎士様がいるのが一週間だけなら、どうとでもなるじゃろ。魔族を見かけていないのも本当じゃし、こんな平和な村で一週間もおったら、諦めて都に帰るじゃろうて」
「魔族、か。本当にいるのかね、魔王なんて存在は」
「わからんが、ワシが街に出掛けた当時の厳戒体制はすごかったぞい。噂では魔族は魔物よりも遥かに強い存在らしいぞ。魔王はそんな魔族を束ねる強者じゃ。ローラなんて戦う前に一捻りじゃろうよ」
「っ!!ローラは絶対に連れていかせないぞ!あの娘は畑泥棒を退治するぐらいがちょうど良いんだっ!」
「おお、そう言えば、最近あの小僧はやってこんな。前に来たときはローラにこてんぱんにされて泣いて帰っていったんじゃったっけ?」
「ローラとノーラは食べ物のこととなるとすごい力を発揮するからなぁ。我が妻、娘ながら何であんな風になってしまったのか…。そう言えば、ここ数ヵ月見かけてないな。ブフフッ!多分、お尻ペンペンの刑が効いたんじゃないか?」
「ひょっひょっひょっ!そんな事もあったのう。さすがに懲りてこなくなったのかのう?」
「そうだったら良いんだけどな。ところで今さらだけど、あの少年の種族が何か村長は知ってるか?」
「わしは知らん。外見もわしらとそう変わらんし、エルフとかかのう?」
「ああ。耳がとんがってたな。でも、肌の色が俺が知るエルフとは違うような?」

マイクと村長がファミル村によく遊びに来る少年の種族について考えていると、そこに忍び寄る黒い影が…。

「マイク?今日は一体何時になったら狩りに行くのですか?」

マイクの背後にひっそりと忍よったノーラがマイクの肩にそっと手を乗せる。

「ひっ!!今から!今から行こうと思ってたところだったんだ!」
「そう?それなら良いのですけど。もし、今日も獲物を狩ってこなかったら、…わかってるわね?」
「イエス、マム!」

わかっているわねの所で肩に乗せた手に力を込めるノーラ。マイクには骨がきしむ音が聞こえた気がした。

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