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村の場所が問題でした

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「私はただの村娘ですよ?」

ローラからの告白を受けて、騎士はしばし固まる。

「…失礼ですが、なにか武術をされていたりは」
「いえ、特に何も」
「では、魔法は?」
「全くです」
「・・・」

ただの村娘が魔法なんて使えるわけがないのに、おかしな事を聞くものだ。
騎士もいくつかの問答の末、ようやくローラが勇者パーティーのメンバーにふさわしくないことに気づいたようで、「そんな、しかし、巫女の様の神託では」とぶつぶつと呟いている。

「あの、たぶん人間違いだと思うので、帰られてはどうでしょうか?」

騎士に早く家から出ていって欲しいローラは、これ幸いと畳み掛ける。

「し、しかし、こんな場所に村があって戦うことができないなど、信じられませんっ!」

しかし、騎士にも言い分があるようで、手ぶらで帰る気はないようだ。

「この村が何か?」

心当たりのないローラは首をかしげる。
ローラの両親も首をかしげているところを見ると、同じく心当たりがないようだ。

「初めは私も国王陛下より勅命を受けた時は驚きました。こんな場所で村が存続しているなど信じられなかったからです」
「先程からこんな場所、こんな場所と失礼じゃないですかっ」
「あ、いえ。私はそう言うつもりで言ったわけではなく」

騎士には悪気はないようだが、この村の事をよく知りもしないのに、けなされたようでムッとする。

「確かにこの村は寂れてますよ。村の外からやって来る人なんて滅多に居ませんし、娯楽なんて全くありません。旅商人なんて道に迷ってここに来るぐらいで、その後は二度と来ませんし。お父さんは足が臭いですし、お母さんは食い意地がはってるし、それにそれに「ローラ?後半は関係ないと思うのですが?」」

おっと、いけない。いつの間にか家族の愚痴になってしまった。
ローラは片手で口を塞ぐと、ちらりとノーラを見る。ノーラの背後に修羅が見えた気がした。

「こ、こほんっ!とにかく私たちはこの村で楽しく暮らしているんです!こんな場所何て言わないで下さい」
「そんなつもりで言ったわけでは無かったのですが、申し訳ありません」
「ローラのが酷い事を言ってた気がするのは父さんの気のせいかなぁ?」
「じゃあ、どんなつもりだったんですかっ!」

マイクが何かぼそぼそ呟いていたけれど、聞こえなかった事にして騎士に聞く。素直に謝ってくれたし、返答次第では許してあげるのもやぶさかさではない。
と言うか、このまま話を推し進めて先程の失言を誤魔化してしまおう。
騎士は少し悩んだ後、理由を話し出したが、それはローラ達には思いもよらぬものであった。

「この村の場所が問題なんです」
「場所ですか?」

この村は森に囲まれていて、初めて来る人には「こんな場所に村があるなんてっ!」と必ず言われてきた。その事だろうか?
おや、そう考えると騎士様がこんな場所と言ったのも仕方がないことなのかも…。

「この村が魔王領の中にあるのはご存じですよね?」
「「「え?」」」

騎士様の理由は全く違うところにあったようだ。
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