30 / 36
番外編:花の子ら
収穫祭
しおりを挟む
ウィンクレーへの出張の後、ニコルはときどきヘザーの家に遊びに行くようになった。逆に、ニコルが兄たちのところへ泊まりに行くときに誘うこともある。
ニコルの兄たち二人は、共同で農場を経営している。農場があるのは、北部の丘陵地帯。「小ドラゴンの卵」と呼ばれる果実の栽培のほか、牛や羊を放牧している。
放牧地には夏の終わりから初秋にかけて、ヘザーの花が咲き乱れる。だからニコルは、見渡す限りの丘陵地帯を紫色に染め上げるヘザーの花の美しさをよく知っていた。どこまでも続く紫のじゅうたんは、まさに圧巻としか言いようがない。
それをぜひとも、ヘザーの名を持つ友人に見せたかったのだ。
初めて野に一面、満開のヘザーを見た友人は、言葉もなく立ち尽くしていた。
「すごい……」
「うん。すごいでしょ」
友人の声が少しくぐもっていたのには、気づかない振りをした。なお、ヘザーと一緒に泊まりに来ていたダリオンは、子犬のようにその辺の小道を走り回っていた。情緒なんてものは、かけらもない。
ただし満開のヘザーには何の感銘も受けなかったらしきダリオンにも、農場滞在による影響はしっかりあった。このときを境に、一人称が「僕」から「俺」に変わったのだ。どうやらニコルの兄たちの話し方を真似ているらしかった。
(似合わないからやめればいいのに)
そうは思うものの、まさか本人には言えない。だってきっと、ダリオン本人はそれがかっこいいと思っているに違いないのだ。よけいなことを言ったって、いたずらにプライドを傷つける結果にしかならないだろう。
そんなふうに親しく交流を続け、収穫祭の始まるこの日も、ニコルはヘザーの家に遊びに来ていた。
二日間にわたって開かれるこの祭りは、初日の夜に最も盛り上がる。小ドラゴンの卵の外皮を使ったランタンを飾り、月が沈む時間まで夜祭りが続くのだ。この夜祭りに、ヘザーと一緒にダリオンを連れて遊びに行く約束をしていた。
ところが当日になって、ヘザーに急用が入る。
「ニコ、ごめん! 他に代役を頼める人がいないって言われて……」
「うん、仕方ない。私はいいから、行ってきて」
ヘザーの両親の公演で、ダンサーのひとりが直前にけがをしてしまった。どうしても代役が必要で、ヘザーに話が回ってきたのだとか。ヘザーはダンサーにこそならなかったが、子どもの頃から両親に教わって、ひととおり何でも踊れるのだそうだ。
しかし、ここでへそを曲げたのがダリオンだ。
「今年は連れてってくれるって言ったじゃないか」
「ごめん。行けるはずだったのよ。ほんとごめん。来年は必ず連れてってあげるから」
「去年もそう言ったよ」
ヘザーが平謝りしても、ダリオンは収まらない。だからといって、まだ四歳の子どもをひとりで夜祭りに行かせるわけにもいかなかった。
見かねたニコルは、ここで口を挟む。
「じゃあ、私と二人で行く?」
正直、ほとんど冗談のつもりだった。「ううん、いいや」と言われるのをわかった上で、ただからかっただけ。まさかダリオンが乗ってくるだなんて、思ってもいなかった。
ところが彼は、ニコルの提案にパッと顔を輝かせる。
「いいの?」
「いいわよ」
予想外のこの反応に、ニコルは目をまたたかせた。
(むしろ、あなたこそ本当に私なんかと一緒でいいの?)
心の中の疑問は、ダリオンのうれしそうな顔を見たら言葉にはならなかった。ダリオンは上機嫌でヘザーに手を振る。
「ヘザー、もういいよ」
「ぶっ。現金な子ねえ」
ヘザーは吹き出しながらも、せわしなく支度をして家を出て行った。出かけに「ニコ、本当にありがとう。助かった」とニコルに耳打ちをして。
この頃はもう、だいぶ日も短くなっている。ヘザーが出かけて行ってあまり時間をおかず、日暮れ前に家を出た。きっとたくさん買い食いするだろうとの予測のもと、夕食はとっていない。
首都の中央広場が、夜祭りの会場だ。近づくにつれて、人通りとともに露店が増えていく。その中に、懐かしいものを見つけた。ホタルの輪と呼ばれる、子ども向けの髪飾りだ。名前のとおり、輪が光る。環状に取り付けられたビーズが、まるでホタルのように明滅するのだ。
ダリオンにも買おうかと、ニコルは振り向いて尋ねた。
「ホタルの輪、買う?」
「ううん」
ところが彼は「もうそんな年じゃない」と首を横に振った。
(誰が見たって、そんな年でしょうよ)
ニコルは笑ってしまいそうになる。が、もちろん口には出さなかった。正直なところ、変な見栄を張らずにホタルの輪を着けてくれるほうが、連れとしてはありがたい。暗くなったら子どもの姿は見失いやすいから。
案の定、暗くなってじきに、はぐれそうになった。見るものすべてが新鮮なダリオンは、気になるものがあると、すぐに足をとめてしまうのだ。それに気づかずニコルが先に進めば、人の波にのまれて簡単に見失ってしまう。
(だから本当は、ホタルの輪を着けててほしかったんだけど)
そこでニコルは、次善の策をとることにした。
「はぐれたら困るから、手をつないでてもらってもいい?」
「うん、いいよ」
渋られるかと思いきや、これには素直に手を出してきた。
(子どものプライドって、ツボがわからない……)
素直に応じてくれて助かった。でもニコルには、ホタルの輪は嫌で、手をつなぐのはかまわない心理がさっぱり理解できない。
(ホタルの輪よりも、手をつなぐほうが子どもっぽくない? 謎だわ)
まあ、理解できずとも、迷子にならなければそれでいい。それ以上は深く考えることなく、ずっと手をつないだまま夜祭りを回った。
ひょんなことから謎が解けたのは、それから何年も経ってからのことだ。
ニコルの兄たち二人は、共同で農場を経営している。農場があるのは、北部の丘陵地帯。「小ドラゴンの卵」と呼ばれる果実の栽培のほか、牛や羊を放牧している。
放牧地には夏の終わりから初秋にかけて、ヘザーの花が咲き乱れる。だからニコルは、見渡す限りの丘陵地帯を紫色に染め上げるヘザーの花の美しさをよく知っていた。どこまでも続く紫のじゅうたんは、まさに圧巻としか言いようがない。
それをぜひとも、ヘザーの名を持つ友人に見せたかったのだ。
初めて野に一面、満開のヘザーを見た友人は、言葉もなく立ち尽くしていた。
「すごい……」
「うん。すごいでしょ」
友人の声が少しくぐもっていたのには、気づかない振りをした。なお、ヘザーと一緒に泊まりに来ていたダリオンは、子犬のようにその辺の小道を走り回っていた。情緒なんてものは、かけらもない。
ただし満開のヘザーには何の感銘も受けなかったらしきダリオンにも、農場滞在による影響はしっかりあった。このときを境に、一人称が「僕」から「俺」に変わったのだ。どうやらニコルの兄たちの話し方を真似ているらしかった。
(似合わないからやめればいいのに)
そうは思うものの、まさか本人には言えない。だってきっと、ダリオン本人はそれがかっこいいと思っているに違いないのだ。よけいなことを言ったって、いたずらにプライドを傷つける結果にしかならないだろう。
そんなふうに親しく交流を続け、収穫祭の始まるこの日も、ニコルはヘザーの家に遊びに来ていた。
二日間にわたって開かれるこの祭りは、初日の夜に最も盛り上がる。小ドラゴンの卵の外皮を使ったランタンを飾り、月が沈む時間まで夜祭りが続くのだ。この夜祭りに、ヘザーと一緒にダリオンを連れて遊びに行く約束をしていた。
ところが当日になって、ヘザーに急用が入る。
「ニコ、ごめん! 他に代役を頼める人がいないって言われて……」
「うん、仕方ない。私はいいから、行ってきて」
ヘザーの両親の公演で、ダンサーのひとりが直前にけがをしてしまった。どうしても代役が必要で、ヘザーに話が回ってきたのだとか。ヘザーはダンサーにこそならなかったが、子どもの頃から両親に教わって、ひととおり何でも踊れるのだそうだ。
しかし、ここでへそを曲げたのがダリオンだ。
「今年は連れてってくれるって言ったじゃないか」
「ごめん。行けるはずだったのよ。ほんとごめん。来年は必ず連れてってあげるから」
「去年もそう言ったよ」
ヘザーが平謝りしても、ダリオンは収まらない。だからといって、まだ四歳の子どもをひとりで夜祭りに行かせるわけにもいかなかった。
見かねたニコルは、ここで口を挟む。
「じゃあ、私と二人で行く?」
正直、ほとんど冗談のつもりだった。「ううん、いいや」と言われるのをわかった上で、ただからかっただけ。まさかダリオンが乗ってくるだなんて、思ってもいなかった。
ところが彼は、ニコルの提案にパッと顔を輝かせる。
「いいの?」
「いいわよ」
予想外のこの反応に、ニコルは目をまたたかせた。
(むしろ、あなたこそ本当に私なんかと一緒でいいの?)
心の中の疑問は、ダリオンのうれしそうな顔を見たら言葉にはならなかった。ダリオンは上機嫌でヘザーに手を振る。
「ヘザー、もういいよ」
「ぶっ。現金な子ねえ」
ヘザーは吹き出しながらも、せわしなく支度をして家を出て行った。出かけに「ニコ、本当にありがとう。助かった」とニコルに耳打ちをして。
この頃はもう、だいぶ日も短くなっている。ヘザーが出かけて行ってあまり時間をおかず、日暮れ前に家を出た。きっとたくさん買い食いするだろうとの予測のもと、夕食はとっていない。
首都の中央広場が、夜祭りの会場だ。近づくにつれて、人通りとともに露店が増えていく。その中に、懐かしいものを見つけた。ホタルの輪と呼ばれる、子ども向けの髪飾りだ。名前のとおり、輪が光る。環状に取り付けられたビーズが、まるでホタルのように明滅するのだ。
ダリオンにも買おうかと、ニコルは振り向いて尋ねた。
「ホタルの輪、買う?」
「ううん」
ところが彼は「もうそんな年じゃない」と首を横に振った。
(誰が見たって、そんな年でしょうよ)
ニコルは笑ってしまいそうになる。が、もちろん口には出さなかった。正直なところ、変な見栄を張らずにホタルの輪を着けてくれるほうが、連れとしてはありがたい。暗くなったら子どもの姿は見失いやすいから。
案の定、暗くなってじきに、はぐれそうになった。見るものすべてが新鮮なダリオンは、気になるものがあると、すぐに足をとめてしまうのだ。それに気づかずニコルが先に進めば、人の波にのまれて簡単に見失ってしまう。
(だから本当は、ホタルの輪を着けててほしかったんだけど)
そこでニコルは、次善の策をとることにした。
「はぐれたら困るから、手をつないでてもらってもいい?」
「うん、いいよ」
渋られるかと思いきや、これには素直に手を出してきた。
(子どものプライドって、ツボがわからない……)
素直に応じてくれて助かった。でもニコルには、ホタルの輪は嫌で、手をつなぐのはかまわない心理がさっぱり理解できない。
(ホタルの輪よりも、手をつなぐほうが子どもっぽくない? 謎だわ)
まあ、理解できずとも、迷子にならなければそれでいい。それ以上は深く考えることなく、ずっと手をつないだまま夜祭りを回った。
ひょんなことから謎が解けたのは、それから何年も経ってからのことだ。
42
お気に入りに追加
193
あなたにおすすめの小説
ドアマットヒロインはごめん被るので、元凶を蹴落とすことにした
月白ヤトヒコ
ファンタジー
お母様が亡くなった。
それから程なくして――――
お父様が屋敷に見知らぬ母子を連れて来た。
「はじめまして! あなたが、あたしのおねえちゃんになるの?」
にっこりとわたくしを見やるその瞳と髪は、お父様とそっくりな色をしている。
「わ~、おねえちゃんキレイなブローチしてるのね! いいなぁ」
そう、新しい妹? が、言った瞬間・・・
頭の中を、凄まじい情報が巡った。
これ、なんでも奪って行く異母妹と家族に虐げられるドアマット主人公の話じゃね?
ドアマットヒロイン……物語の主人公としての、奪われる人生の、最初の一手。
だから、わたしは・・・よし、とりあえず馬鹿なことを言い出したこのアホをぶん殴っておこう。
ドアマットヒロインはごめん被るので、これからビシバシ躾けてやるか。
ついでに、「政略に使うための駒として娘を必要とし、そのついでに母親を、娘の世話係としてただで扱き使える女として連れて来たものかと」
そう言って、ヒロインのクズ親父と異母妹の母親との間に亀裂を入れることにする。
フハハハハハハハ! これで、異母妹の母親とこの男が仲良くわたしを虐げることはないだろう。ドアマットフラグを一つ折ってやったわっ!
うん? ドアマットヒロインを拾って溺愛するヒーローはどうなったかって?
そんなの知らん。
設定はふわっと。
無一文で追放される悪女に転生したので特技を活かしてお金儲けを始めたら、聖女様と呼ばれるようになりました
結城芙由奈
恋愛
スーパームーンの美しい夜。仕事帰り、トラックに撥ねらてしまった私。気づけば草の生えた地面の上に倒れていた。目の前に見える城に入れば、盛大なパーティーの真っ最中。目の前にある豪華な食事を口にしていると見知らぬ男性にいきなり名前を呼ばれて、次期王妃候補の資格を失ったことを聞かされた。理由も分からないまま、家に帰宅すると「お前のような恥さらしは今日限り、出ていけ」と追い出されてしまう。途方に暮れる私についてきてくれたのは、私の専属メイドと御者の青年。そこで私は2人を連れて新天地目指して旅立つことにした。無一文だけど大丈夫。私は前世の特技を活かしてお金を稼ぐことが出来るのだから――
※ 他サイトでも投稿中
神のいとし子は追放された私でした〜異母妹を選んだ王太子様、今のお気持ちは如何ですか?〜
星井柚乃(旧名:星里有乃)
恋愛
「アメリアお姉様は、私達の幸せを考えて、自ら身を引いてくださいました」
「オレは……王太子としてではなく、一人の男としてアメリアの妹、聖女レティアへの真実の愛に目覚めたのだ!」
(レティアったら、何を血迷っているの……だって貴女本当は、霊感なんてこれっぽっちも無いじゃない!)
美貌の聖女レティアとは対照的に、とにかく目立たない姉のアメリア。しかし、地味に装っているアメリアこそが、この国の神のいとし子なのだが、悪魔と契約した妹レティアはついに姉を追放してしまう。
やがて、神のいとし子の祈りが届かなくなった国は災いが増え、聖女の力を隠さなくなったアメリアに救いの手を求めるが……。
* 2023年01月15日、連載完結しました。
* ヒロインアメリアの相手役が第1章は精霊ラルド、第2章からは隣国の王子アッシュに切り替わります。最終章に該当する黄昏の章で、それぞれの関係性を決着させています。お読みくださった読者様、ありがとうございました!
* 初期投稿ではショートショート作品の予定で始まった本作ですが、途中から長編版に路線を変更して完結させました。
* この作品は小説家になろうさんとアルファポリスさんに投稿しております。
* ブクマ、感想、ありがとうございます。
追放された聖女の悠々自適な側室ライフ
白雪の雫
ファンタジー
「聖女ともあろう者が、嫉妬に狂って我が愛しのジュリエッタを虐めるとは!貴様の所業は畜生以外の何者でもない!お前との婚約を破棄した上で国外追放とする!!」
平民でありながらゴーストやレイスだけではなくリッチを一瞬で倒したり、どんな重傷も完治してしまうマルガレーテは、幼い頃に両親と引き離され聖女として教会に引き取られていた。
そんな彼女の魔力に目を付けた女教皇と国王夫妻はマルガレーテを国に縛り付ける為、王太子であるレオナルドの婚約者に据えて、「お妃教育をこなせ」「愚民どもより我等の病を治療しろ」「瘴気を祓え」「不死王を倒せ」という風にマルガレーテをこき使っていた。
そんなある日、レオナルドは居並ぶ貴族達の前で公爵令嬢のジュリエッタ(バスト100cm以上の爆乳・KかLカップ)を妃に迎え、マルガレーテに国外追放という死刑に等しい宣言をしてしまう。
「王太子殿下の仰せに従います」
(やっと・・・アホ共から解放される。私がやっていた事が若作りのヒステリー婆・・・ではなく女教皇と何の力もない修道女共に出来る訳ないのにね~。まぁ、この国がどうなってしまっても私には関係ないからどうでもいいや)
表面は淑女の仮面を被ってレオナルドの宣言を受け入れたマルガレーテは、さっさと国を出て行く。
今までの鬱憤を晴らすかのように、着の身着のままの旅をしているマルガレーテは、故郷である幻惑の樹海へと戻っている途中で【宮女狩り】というものに遭遇してしまい、大国の後宮へと入れられてしまった。
マルガレーテが悠々自適な側室ライフを楽しんでいる頃
聖女がいなくなった王国と教会は滅亡への道を辿っていた。
【完結】聖女を害した公爵令嬢の私は国外追放をされ宿屋で住み込み女中をしております。え、偽聖女だった? ごめんなさい知りません。
藍生蕗
恋愛
かれこれ五年ほど前、公爵令嬢だった私───オリランダは、王太子の婚約者と実家の娘の立場の両方を聖女であるメイルティン様に奪われた事を許せずに、彼女を害してしまいました。しかしそれが王太子と実家から不興を買い、私は国外追放をされてしまいます。
そうして私は自らの罪と向き合い、平民となり宿屋で住み込み女中として過ごしていたのですが……
偽聖女だった? 更にどうして偽聖女の償いを今更私がしなければならないのでしょうか? とりあえず今幸せなので帰って下さい。
※ 設定は甘めです
※ 他のサイトにも投稿しています
私は聖女(ヒロイン)のおまけ
音無砂月
ファンタジー
ある日突然、異世界に召喚された二人の少女
100年前、異世界に召喚された聖女の手によって魔王を封印し、アルガシュカル国の危機は救われたが100年経った今、再び魔王の封印が解かれかけている。その為に呼ばれた二人の少女
しかし、聖女は一人。聖女と同じ色彩を持つヒナコ・ハヤカワを聖女候補として考えるアルガシュカルだが念のため、ミズキ・カナエも聖女として扱う。内気で何も自分で決められないヒナコを支えながらミズキは何とか元の世界に帰れないか方法を探す。
【完結】聖女にはなりません。平凡に生きます!
暮田呉子
ファンタジー
この世界で、ただ平凡に、自由に、人生を謳歌したい!
政略結婚から三年──。夫に見向きもされず、屋敷の中で虐げられてきたマリアーナは夫の子を身籠ったという女性に水を掛けられて前世を思い出す。そうだ、前世は慎ましくも充実した人生を送った。それなら現世も平凡で幸せな人生を送ろう、と強く決意するのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる