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本編
魔族の言い分
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リーダーらしき男は、ヴァーサ王国の伯爵クレメントと名乗った。国王の義弟だそうだ。ヴァーサ王国というのは、数ある人間の国のうちのひとつで、魔国と国境を面している。だからたぶん、俺たちが人間の国と呼んでいるのは、おそらくヴァーサ王国のことだ。
もっとも、人間たちの版図なんてしょっちゅう変わる。国名だって、長くもってもせいぜい数百年がいいところだろう。覚えることに、さほどの意味はない。
俺は単刀直入に要件を切り出した。
「俺に話があると聞いたが」
「我が国のマーガレット王女を、どうかお返し願えないだろうか」
相手も端的に返してきた。マーガレット王女だとか、返せだとか、何をわけのわからないことを言ってやがる。
「マーガレット王女とは?」
「あなたがアニスと呼んでいる少女のことです。十六年前、生まれてすぐに魔族に連れ去られたと聞いています」
いや、本当に、何を言っている? 魔族が連れ去るわけないだろ。
「それは聞き捨てならないな。魔族が連れ去ったと判断したその根拠は?」
「連れ去った者の姿かたちが、明らかに人間ではなかったそうです。王女を取り上げた産婆と助手が、そのように証言しています。山羊のように先のとがった大きな巻き角があり、瞳は赤く、肌は緑色で、手指には長く鋭いかぎ爪が付いていた、と」
「それはまた、角も爪もえらく邪魔そうだな」
俺はこらえきれずに失笑した。
「シェム、そんな種族がいるなんて聞いたことあるか?」
「ないねえ」
シェムも呆れたように笑っている。魔族の中で角を持つのは、俺の種族だけだ。その俺の角といえば、親指の先ほどの大きさしかない。角というより、こぶと呼んだほうがいいくらいのささやかさ。もちろん尖ってなどいないし、ましてや巻くほどの長さもない。
長いかぎ爪を持つ種族の話だって聞いたことがない。そんな爪じゃ、食事するにも不便しそうだ。もし本当にいたとしても、日常生活に支障が出ない程度の長さに切るんじゃないか?
自分の角をトントンと指さしながらそう説明してやると、クレメントは呆けたような顔をしていた。いや、そんな顔をされてもなあ。
相手が言いたい放題なことを言ってきたので、こちらからも言いたいことを伝えておく。
「そもそも国境を越える者がいたら、結界に記録が残るんだよ。少なくともこの数十年間、アニスが誘拐されたあの日を除けば、魔国内から外へ出た者はひとりもいない。国境警備の責任者は俺だから、そこは保証するよ」
聞く耳など持たないかと思いきや、意外にもクレメントは真剣な顔で俺の話に耳を傾けていた。
「そして俺がアニスを拾った日には、外から中へ入ったという記録が一件だけあった。つまり、アニスは外から放り込まれたってことだ。その報告を警備隊から受けて、俺が拾ったわけ。発見が早かったから無事だったけど、もっと遅けりゃ魔獣に食われてても不思議なかったよ」
俺の説明を聞きながら、クレメントの顔色はどんどん悪くなっていく。
「そんなふうに赤ん坊をポイ捨てした連中から『返してくれ』って言われてもさ、素直に応じる気になると思う? 渡したが最後、どんな扱いをされるかわかったもんじゃないだろ」
せめて納得いく説明があればまだしも、そうじゃない。本物の魔族を見たこともないくせに、想像上の魔族に奪われたなんていう雑な言い訳をしたり、それを真に受けちゃうような連中だ。とてもじゃないが信用できやしない。
それに、たとえ俺が納得したとしても、最後は本人の希望次第だ。俺には無理強いする気がないのはもちろんのこと、説得する動機もない。そう締めくくると、クレメントはぐっと言葉を詰まらせ、肩を落とした。
意気消沈したクレメントに追い打ちをかけるように、俺の後ろからアニスが声をかけた。
「私は行かない。行く理由がないもの。だいたい、返せだの何だの言う前に、まず言わなきゃいけないことがあるはずでしょ?」
「言わなきゃいけないこと?」
クレメントはうなだれていた顔を上げ、アニスを怪訝そうに見つめた。本気で不思議に思っているその様子に、アニスは苛立ちが刺激されたらしい。目じりをつり上げた。
「まず、ごめんなさいが最初でしょう! 嘘をついて、騙して、誘拐して、宝物を奪って、挙げ句に弓矢を射かけて殺そうとしたんだもの。謝って済む話じゃないけど、謝りもしないなんて、ありえない!」
「え? 誘拐……? 殺そうとした?」
もう忘れたかと思っていたのに、あの髪飾りの件は、いまだに根に持っているようだ。アニスはクレメントをにらみつけ、怒りを爆発させたように叫んだ。
「そうよ! この人さらい! 人殺し!」
「いや、俺、生きてるから」
アニスの剣幕に、俺は苦笑した。勝手に殺すな。あの連中は殺すつもりで矢を射かけてきたかもしれないが、幸い、後遺症もなくきれいに治る程度のけがで済んだじゃないか。
事情がわからず混乱した様子のクレメントに、俺は魔族側から見たアニス誘拐事件について話して聞かせた。
子どもを使って騙して連れ去り、腕をつかんで乱暴に引きずって歩き、アニスが大事にしていた髪飾りを取り上げて返さなかったこと。挙げ句にアニスが俺のもとに崖から飛び込んだときには、アニスもろとも殺そうと矢を射かけてきたこと。結界魔法のおかげでアニスは無事だったが、俺は矢をくらってしまったこと。
話すにつれて、人間たちの落ち着きがなくなっていく。
『おい、聞いてた話とまるで違うぞ』
『これが本当の話なら、極悪非道なのは人間のほうじゃないか……』
クレメントの後ろで交わされたささやきを風魔法で拾いながら、俺は苦笑した。やっとまともに状況を理解してきたようだ。
「きっと魔族と話す機会なんかないから、どれだけ嘘をつこうとバレることはないと、たかをくくってたんだろうね」
「だろうな」
シェムの感想に、俺はうなずきを返す。クレメントはますます肩を落としてしまった。やっぱり思ったとおり、こいつはまともっぽい。クレメントは俺に向かって深々と頭を下げた。
「本当に謝って済む問題じゃないけれども、我が国の者が大変に申し訳ないことをしました」
「うん。でも済んだことだし、この子は無事だったから、もういいよ。たださ、今までの経緯を考えたら『返してくれ』って言われても、ふざけるなとしか思えないこちらの気持ちはわかってほしい」
「返す言葉もない……」
うなだれるクレメントに、「ねえ、ちょっといい? 見ててほしいの」とアニスが声をかけた。さっきまで俺の後ろでニコルと並んで仁王立ちし、片手を腰に当てて威嚇するように人間たちをにらみつけていたはずなのに、いつの間にか移動していた。道端にある、大きめの岩の前に。
「あのときは抵抗できなかったから、あの後しっかり護身術を習ったの。もしまた無理強いしようとしたり、ダリオンに手を出そうものなら、こうしてやるんだから!」
そう言いながら、アニスは拳に魔力をまとわせ、密度を上げていく。ついには魔力が飽和して、バチバチと拳から火花が散り始めた。まずい、全力でいく気だ。このお転婆め。「アニス、待て」と声をかけたが、とまる気配がない。
それどころか、俺に向かって得意げな笑顔を向ける始末だ。
「私の本気を見せてあげる。あ、危ないから、みんなシールド張ってね」
「こら、アニス! やめなさい! アニス‼」
しかしアニスはとまらない。だめだ。このままじゃ、ここにいる人間たちが全滅する。
とっさに俺は人間たちの中央に飛び込み、自分を中心に大きめの結界を張った。間一髪だった。──次の瞬間、アニスの拳が岩に叩き込まれ、爆音とともに岩が粉々に砕けて四方八方に飛び散る。
魔族側は全員がそれぞれシールドを張っていたが、もちろん人間たちにシールドなんぞ張れるわけがない。結界のおかげで無事だったが、何が起きたのかもわからない様子で、放心していた。
もっとも、人間たちの版図なんてしょっちゅう変わる。国名だって、長くもってもせいぜい数百年がいいところだろう。覚えることに、さほどの意味はない。
俺は単刀直入に要件を切り出した。
「俺に話があると聞いたが」
「我が国のマーガレット王女を、どうかお返し願えないだろうか」
相手も端的に返してきた。マーガレット王女だとか、返せだとか、何をわけのわからないことを言ってやがる。
「マーガレット王女とは?」
「あなたがアニスと呼んでいる少女のことです。十六年前、生まれてすぐに魔族に連れ去られたと聞いています」
いや、本当に、何を言っている? 魔族が連れ去るわけないだろ。
「それは聞き捨てならないな。魔族が連れ去ったと判断したその根拠は?」
「連れ去った者の姿かたちが、明らかに人間ではなかったそうです。王女を取り上げた産婆と助手が、そのように証言しています。山羊のように先のとがった大きな巻き角があり、瞳は赤く、肌は緑色で、手指には長く鋭いかぎ爪が付いていた、と」
「それはまた、角も爪もえらく邪魔そうだな」
俺はこらえきれずに失笑した。
「シェム、そんな種族がいるなんて聞いたことあるか?」
「ないねえ」
シェムも呆れたように笑っている。魔族の中で角を持つのは、俺の種族だけだ。その俺の角といえば、親指の先ほどの大きさしかない。角というより、こぶと呼んだほうがいいくらいのささやかさ。もちろん尖ってなどいないし、ましてや巻くほどの長さもない。
長いかぎ爪を持つ種族の話だって聞いたことがない。そんな爪じゃ、食事するにも不便しそうだ。もし本当にいたとしても、日常生活に支障が出ない程度の長さに切るんじゃないか?
自分の角をトントンと指さしながらそう説明してやると、クレメントは呆けたような顔をしていた。いや、そんな顔をされてもなあ。
相手が言いたい放題なことを言ってきたので、こちらからも言いたいことを伝えておく。
「そもそも国境を越える者がいたら、結界に記録が残るんだよ。少なくともこの数十年間、アニスが誘拐されたあの日を除けば、魔国内から外へ出た者はひとりもいない。国境警備の責任者は俺だから、そこは保証するよ」
聞く耳など持たないかと思いきや、意外にもクレメントは真剣な顔で俺の話に耳を傾けていた。
「そして俺がアニスを拾った日には、外から中へ入ったという記録が一件だけあった。つまり、アニスは外から放り込まれたってことだ。その報告を警備隊から受けて、俺が拾ったわけ。発見が早かったから無事だったけど、もっと遅けりゃ魔獣に食われてても不思議なかったよ」
俺の説明を聞きながら、クレメントの顔色はどんどん悪くなっていく。
「そんなふうに赤ん坊をポイ捨てした連中から『返してくれ』って言われてもさ、素直に応じる気になると思う? 渡したが最後、どんな扱いをされるかわかったもんじゃないだろ」
せめて納得いく説明があればまだしも、そうじゃない。本物の魔族を見たこともないくせに、想像上の魔族に奪われたなんていう雑な言い訳をしたり、それを真に受けちゃうような連中だ。とてもじゃないが信用できやしない。
それに、たとえ俺が納得したとしても、最後は本人の希望次第だ。俺には無理強いする気がないのはもちろんのこと、説得する動機もない。そう締めくくると、クレメントはぐっと言葉を詰まらせ、肩を落とした。
意気消沈したクレメントに追い打ちをかけるように、俺の後ろからアニスが声をかけた。
「私は行かない。行く理由がないもの。だいたい、返せだの何だの言う前に、まず言わなきゃいけないことがあるはずでしょ?」
「言わなきゃいけないこと?」
クレメントはうなだれていた顔を上げ、アニスを怪訝そうに見つめた。本気で不思議に思っているその様子に、アニスは苛立ちが刺激されたらしい。目じりをつり上げた。
「まず、ごめんなさいが最初でしょう! 嘘をついて、騙して、誘拐して、宝物を奪って、挙げ句に弓矢を射かけて殺そうとしたんだもの。謝って済む話じゃないけど、謝りもしないなんて、ありえない!」
「え? 誘拐……? 殺そうとした?」
もう忘れたかと思っていたのに、あの髪飾りの件は、いまだに根に持っているようだ。アニスはクレメントをにらみつけ、怒りを爆発させたように叫んだ。
「そうよ! この人さらい! 人殺し!」
「いや、俺、生きてるから」
アニスの剣幕に、俺は苦笑した。勝手に殺すな。あの連中は殺すつもりで矢を射かけてきたかもしれないが、幸い、後遺症もなくきれいに治る程度のけがで済んだじゃないか。
事情がわからず混乱した様子のクレメントに、俺は魔族側から見たアニス誘拐事件について話して聞かせた。
子どもを使って騙して連れ去り、腕をつかんで乱暴に引きずって歩き、アニスが大事にしていた髪飾りを取り上げて返さなかったこと。挙げ句にアニスが俺のもとに崖から飛び込んだときには、アニスもろとも殺そうと矢を射かけてきたこと。結界魔法のおかげでアニスは無事だったが、俺は矢をくらってしまったこと。
話すにつれて、人間たちの落ち着きがなくなっていく。
『おい、聞いてた話とまるで違うぞ』
『これが本当の話なら、極悪非道なのは人間のほうじゃないか……』
クレメントの後ろで交わされたささやきを風魔法で拾いながら、俺は苦笑した。やっとまともに状況を理解してきたようだ。
「きっと魔族と話す機会なんかないから、どれだけ嘘をつこうとバレることはないと、たかをくくってたんだろうね」
「だろうな」
シェムの感想に、俺はうなずきを返す。クレメントはますます肩を落としてしまった。やっぱり思ったとおり、こいつはまともっぽい。クレメントは俺に向かって深々と頭を下げた。
「本当に謝って済む問題じゃないけれども、我が国の者が大変に申し訳ないことをしました」
「うん。でも済んだことだし、この子は無事だったから、もういいよ。たださ、今までの経緯を考えたら『返してくれ』って言われても、ふざけるなとしか思えないこちらの気持ちはわかってほしい」
「返す言葉もない……」
うなだれるクレメントに、「ねえ、ちょっといい? 見ててほしいの」とアニスが声をかけた。さっきまで俺の後ろでニコルと並んで仁王立ちし、片手を腰に当てて威嚇するように人間たちをにらみつけていたはずなのに、いつの間にか移動していた。道端にある、大きめの岩の前に。
「あのときは抵抗できなかったから、あの後しっかり護身術を習ったの。もしまた無理強いしようとしたり、ダリオンに手を出そうものなら、こうしてやるんだから!」
そう言いながら、アニスは拳に魔力をまとわせ、密度を上げていく。ついには魔力が飽和して、バチバチと拳から火花が散り始めた。まずい、全力でいく気だ。このお転婆め。「アニス、待て」と声をかけたが、とまる気配がない。
それどころか、俺に向かって得意げな笑顔を向ける始末だ。
「私の本気を見せてあげる。あ、危ないから、みんなシールド張ってね」
「こら、アニス! やめなさい! アニス‼」
しかしアニスはとまらない。だめだ。このままじゃ、ここにいる人間たちが全滅する。
とっさに俺は人間たちの中央に飛び込み、自分を中心に大きめの結界を張った。間一髪だった。──次の瞬間、アニスの拳が岩に叩き込まれ、爆音とともに岩が粉々に砕けて四方八方に飛び散る。
魔族側は全員がそれぞれシールドを張っていたが、もちろん人間たちにシールドなんぞ張れるわけがない。結界のおかげで無事だったが、何が起きたのかもわからない様子で、放心していた。
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