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本編
アニス、四歳
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アニスは、もうじき四歳になる。
目が離せないのは相変わらずだが、危険の種類が変化してきた。種類というか、質というか。より油断がならなくなったのだ。ちょろちょろと走り回るようになり、目を離した隙に突っ込んでいけてしまう危険の範囲が広がった。
この間なんて、俺がトイレに入っている隙に屋根裏に上がり込んでいやがった。トイレくらいゆっくり入らせてくれよ……。トイレから出てきて、アニスの姿が消えていたときの焦燥感と言ったらない。
屋根裏には、アニスが不用意にいじり回したら危ないものが、いろいろと置いてある。特に武器類。だからそもそも入ってほしくないのだ。幸い、と言えるかどうかはあやしいところだが、あいつは部屋の中のものには目もくれなかった。そしてなんと、よりによって高窓の台によじ登っていやがった。
よじ登りきる寸前に捕獲できたからよかったようなものの、あのままならやばかった。間違いなく窓を開けて、身を乗り出していただろう。そして頭から転落するんだよ。確信を持って断言できる。
その日のうちにドワーフに頼み、屋根裏の入り口に鍵をつけてもらったのは言うまでもない。
こんなのが日常茶飯事なわけだが、前よりよくなったこともある。きちんと話せば、こちらの言いたいことを理解して、言うことを聞くようになったのだ。そして、俺が風呂に入っている間は居間で遊ぶこと、という約束をした。
アニスはきちんと約束を守った。そして俺が油断した頃に、事件が起きた。
ある日、風呂から上がったら、居間にアニスがいなかったのだ。また屋根裏部屋にでも入り込んだか、と疑ったが、屋根裏の入り口は鍵が閉まったままだ。いったいどこへ行っちまったんだ。焦りながら寝室やダイニングを探し回っていると、ゴトンと何か硬いものの落ちる音がした。キッチンのほうから。
なーんかやらかしてんなー。いったい今度は何をしでかしたんだ。
灯りのついていない薄暗いキッチンをのぞき込むと、果たしてアニスはそこにいた。流し台の前で、何かを隠すようにしてうずくまっている。
「どうしたんだ? こんなところで何してる?」
尋ねてもアニスは答えない。いぶかしく思いながら近づくと、それまで暗くて見えていなかったが、アニスがひどく汚れていることに気がついた。いや、汚れているなんて生やさしい状態じゃない。まるで黒インクを頭からかぶったかのように、ポタポタと黒い水を髪からしたたらせているではないか。
そしてアニスが隠していたのは、まさに黒インクのボトルだった。いつの間にか、俺の部屋から予備のボトルを持ち出していたらしい。どうやらインクを頭からかぶり、挙げ句に手をすべらせてボトルを落とした、ということのようだ。
「どうしてこんなことをしたんだ?」
叱りつけたわけではない。ただ不思議に思って尋ねただけなのに、アニスは顔をくしゃくしゃにして泣き出した。甘えているときの嘘泣きとは違う。大粒の涙がポロポロとこぼれ落ちていた。かんしゃくを起こしたときの泣き方とも違う。ヒステリックではなかった。
「どうした? どこか痛いのか?」
アニスは首を横に振る。うわ、やめろ。インクが飛び散るじゃないか。しょうのないやつだなあ。タオルを頭に掛けてやり、隠していたインクボトルを取り上げて、流しに放り込む。アニスの服にはボタボタと黒インクがしたたり落ちて、大きな染みを作っていた。
アニスを抱き上げてから、もう一度穏やかに尋ねる。
「どうしてこんなことをしたんだ? ん?」
泣くばかりで、なかなか答えようとしない。抱き上げた体を軽く揺すったり、背中をポンポンと叩いてやりながら、辛抱強く何度も繰り返して尋ねてみる。するとしゃくり上げながらも、やっとボソボソと答えが返ってきた。
「黒がいい……」
「黒?」
いや、何の話だ? さっぱりわからん。
「アニスも黒がいいの……!」
顔を歪ませて大粒の涙をこぼしながら「黒がいいの……」とアニスが繰り返す言葉に、やっと俺にも事情がのみ込めてきた。誰かから何かを聞いちまったんだろう。俺が黒髪なのに、アニスは金髪だ、みたいなことを。
それがこの子には、悲しかったんだろう。こんなふうに身も世もなく泣くほど、心が痛かったんだ。俺はインクがにじむのもかまわず、タオルの上からアニスをぎゅうっと抱き締めた。さて、どうするかなあ。俺はため息をついた。
アニスを浴室に連れていってバスタブに入れ、服を脱がせて体を洗ってやる。そうしてやりながら、俺は頭の中で忙しく策をめぐらせた。できるだけ嘘はつきたくない。それでいてアニスを納得させるには、どうしたらいいか──。そして方針を固めた。
何度か洗ってはシャワーですすぐのを繰り返し、やっときれいになったアニスを風呂から出す。髪と体を拭いてやりながら、俺はアニスに質問した。
「アニスの名前は、誰がつけたか知ってる?」
「ダリオンじゃないの?」
「残念ながら違う。俺が考えたのは、全部ボツになった。センスがないらしい」
今ならわかる。ニコルの言うとおりだった。俺の出した案は、ありゃ名前じゃない。ニコルに付けてもらって、よかった。本当によかった。
アニスは不安そうに尋ねてきた。
「じゃあ、誰?」
「ニコルだよ。ニコルがアニスの名付け親だ。いい名前をつけてもらったよな」
まだ鼻をすすってはいるが、アニスの涙がとまった。
「アニスの金髪は、ニコルとおそろいだ。ニコルと一緒は、嫌なのか?」
「やじゃない!」
俺の質問に、アニスはあわてたように大きく首を横に振る。そうだろう、そうだろう。ニコルにはよく懐いてるもんな。
「せっかくニコルと同じ、きれいな金髪なんだから、汚したらもったいないだろう」
「うん」
新しい下着と衣類に着替えさせ、髪を拭いて乾かしてから、俺はアニスをキッチンに連れて行った。
「これを見なさい。お前があんなふうにボトルをぶちまけたから、インクで床が汚れちまったじゃないか」
「ごめんなさい……」
「わかればいい。でもここを汚したのはお前なんだから、自分できれいにしなさいよ」
「わかった」
「はい、これが雑巾な。こうやってギュッと絞って、汚れを拭く。ほら、やってごらん」
アニスは文句を言うこともなく、教えたとおりに掃除を始めた。正直なところ、まともな仕上がりは期待していなかった。だが意外にも、すっかり汚れが落ちるまで、アニスは根気よく拭き掃除を続けた。
汚れが服につかないようにするところまでは気が回らなかったようだが、そこは汚れてもいい服を着せておかなかった俺の落ち度だ。
「お、きれいになったな。よくやった」
「うん」
さっきまで大泣きしていたのが嘘のように、アニスは満面の笑みを見せた。
* * *
そしてアニス四歳の誕生日。
四歳以降の誕生日祝いには、特にこれといった料理は決まっていない。もともと小型種の風習に乗っかった行事なので、小型種が成人する三歳までしか、決まり事がないのだ。中型種は一般的に、小型種に比べると社会性に乏しい。よく言えば個人主義。だから全体に共通した風習というものが育ちにくい。
この日、俺は事前にアニスへの贈り物を用意しておいた。
「誕生日おめでとう」
リボンで飾った箱を手渡すと、アニスは目を輝かせた。夢中でリボンをほどき、箱を開ける。中に入っているのは、髪飾り。成人するときに生え替わった俺の角を使い、ドワーフに特注して作ってもらった。これを着ければ、小さな角が生えているように見える、という寸法だ。生え替わった記念に残してあったものが、思いがけず役に立った。
アニスの頭に着けてやってから、トントンと自分の角を指で差す。
「ほら、これでおそろいだ」
「おそろい!」
本当は、角なんて男にしか生えないんだけど。そういう細かいことは、今はどうでもいい。アニスは大喜びで「おそろい! おそろい!」と飛びついてきた。これでもう、あんなふうに泣くことがなくなるといいな。
目が離せないのは相変わらずだが、危険の種類が変化してきた。種類というか、質というか。より油断がならなくなったのだ。ちょろちょろと走り回るようになり、目を離した隙に突っ込んでいけてしまう危険の範囲が広がった。
この間なんて、俺がトイレに入っている隙に屋根裏に上がり込んでいやがった。トイレくらいゆっくり入らせてくれよ……。トイレから出てきて、アニスの姿が消えていたときの焦燥感と言ったらない。
屋根裏には、アニスが不用意にいじり回したら危ないものが、いろいろと置いてある。特に武器類。だからそもそも入ってほしくないのだ。幸い、と言えるかどうかはあやしいところだが、あいつは部屋の中のものには目もくれなかった。そしてなんと、よりによって高窓の台によじ登っていやがった。
よじ登りきる寸前に捕獲できたからよかったようなものの、あのままならやばかった。間違いなく窓を開けて、身を乗り出していただろう。そして頭から転落するんだよ。確信を持って断言できる。
その日のうちにドワーフに頼み、屋根裏の入り口に鍵をつけてもらったのは言うまでもない。
こんなのが日常茶飯事なわけだが、前よりよくなったこともある。きちんと話せば、こちらの言いたいことを理解して、言うことを聞くようになったのだ。そして、俺が風呂に入っている間は居間で遊ぶこと、という約束をした。
アニスはきちんと約束を守った。そして俺が油断した頃に、事件が起きた。
ある日、風呂から上がったら、居間にアニスがいなかったのだ。また屋根裏部屋にでも入り込んだか、と疑ったが、屋根裏の入り口は鍵が閉まったままだ。いったいどこへ行っちまったんだ。焦りながら寝室やダイニングを探し回っていると、ゴトンと何か硬いものの落ちる音がした。キッチンのほうから。
なーんかやらかしてんなー。いったい今度は何をしでかしたんだ。
灯りのついていない薄暗いキッチンをのぞき込むと、果たしてアニスはそこにいた。流し台の前で、何かを隠すようにしてうずくまっている。
「どうしたんだ? こんなところで何してる?」
尋ねてもアニスは答えない。いぶかしく思いながら近づくと、それまで暗くて見えていなかったが、アニスがひどく汚れていることに気がついた。いや、汚れているなんて生やさしい状態じゃない。まるで黒インクを頭からかぶったかのように、ポタポタと黒い水を髪からしたたらせているではないか。
そしてアニスが隠していたのは、まさに黒インクのボトルだった。いつの間にか、俺の部屋から予備のボトルを持ち出していたらしい。どうやらインクを頭からかぶり、挙げ句に手をすべらせてボトルを落とした、ということのようだ。
「どうしてこんなことをしたんだ?」
叱りつけたわけではない。ただ不思議に思って尋ねただけなのに、アニスは顔をくしゃくしゃにして泣き出した。甘えているときの嘘泣きとは違う。大粒の涙がポロポロとこぼれ落ちていた。かんしゃくを起こしたときの泣き方とも違う。ヒステリックではなかった。
「どうした? どこか痛いのか?」
アニスは首を横に振る。うわ、やめろ。インクが飛び散るじゃないか。しょうのないやつだなあ。タオルを頭に掛けてやり、隠していたインクボトルを取り上げて、流しに放り込む。アニスの服にはボタボタと黒インクがしたたり落ちて、大きな染みを作っていた。
アニスを抱き上げてから、もう一度穏やかに尋ねる。
「どうしてこんなことをしたんだ? ん?」
泣くばかりで、なかなか答えようとしない。抱き上げた体を軽く揺すったり、背中をポンポンと叩いてやりながら、辛抱強く何度も繰り返して尋ねてみる。するとしゃくり上げながらも、やっとボソボソと答えが返ってきた。
「黒がいい……」
「黒?」
いや、何の話だ? さっぱりわからん。
「アニスも黒がいいの……!」
顔を歪ませて大粒の涙をこぼしながら「黒がいいの……」とアニスが繰り返す言葉に、やっと俺にも事情がのみ込めてきた。誰かから何かを聞いちまったんだろう。俺が黒髪なのに、アニスは金髪だ、みたいなことを。
それがこの子には、悲しかったんだろう。こんなふうに身も世もなく泣くほど、心が痛かったんだ。俺はインクがにじむのもかまわず、タオルの上からアニスをぎゅうっと抱き締めた。さて、どうするかなあ。俺はため息をついた。
アニスを浴室に連れていってバスタブに入れ、服を脱がせて体を洗ってやる。そうしてやりながら、俺は頭の中で忙しく策をめぐらせた。できるだけ嘘はつきたくない。それでいてアニスを納得させるには、どうしたらいいか──。そして方針を固めた。
何度か洗ってはシャワーですすぐのを繰り返し、やっときれいになったアニスを風呂から出す。髪と体を拭いてやりながら、俺はアニスに質問した。
「アニスの名前は、誰がつけたか知ってる?」
「ダリオンじゃないの?」
「残念ながら違う。俺が考えたのは、全部ボツになった。センスがないらしい」
今ならわかる。ニコルの言うとおりだった。俺の出した案は、ありゃ名前じゃない。ニコルに付けてもらって、よかった。本当によかった。
アニスは不安そうに尋ねてきた。
「じゃあ、誰?」
「ニコルだよ。ニコルがアニスの名付け親だ。いい名前をつけてもらったよな」
まだ鼻をすすってはいるが、アニスの涙がとまった。
「アニスの金髪は、ニコルとおそろいだ。ニコルと一緒は、嫌なのか?」
「やじゃない!」
俺の質問に、アニスはあわてたように大きく首を横に振る。そうだろう、そうだろう。ニコルにはよく懐いてるもんな。
「せっかくニコルと同じ、きれいな金髪なんだから、汚したらもったいないだろう」
「うん」
新しい下着と衣類に着替えさせ、髪を拭いて乾かしてから、俺はアニスをキッチンに連れて行った。
「これを見なさい。お前があんなふうにボトルをぶちまけたから、インクで床が汚れちまったじゃないか」
「ごめんなさい……」
「わかればいい。でもここを汚したのはお前なんだから、自分できれいにしなさいよ」
「わかった」
「はい、これが雑巾な。こうやってギュッと絞って、汚れを拭く。ほら、やってごらん」
アニスは文句を言うこともなく、教えたとおりに掃除を始めた。正直なところ、まともな仕上がりは期待していなかった。だが意外にも、すっかり汚れが落ちるまで、アニスは根気よく拭き掃除を続けた。
汚れが服につかないようにするところまでは気が回らなかったようだが、そこは汚れてもいい服を着せておかなかった俺の落ち度だ。
「お、きれいになったな。よくやった」
「うん」
さっきまで大泣きしていたのが嘘のように、アニスは満面の笑みを見せた。
* * *
そしてアニス四歳の誕生日。
四歳以降の誕生日祝いには、特にこれといった料理は決まっていない。もともと小型種の風習に乗っかった行事なので、小型種が成人する三歳までしか、決まり事がないのだ。中型種は一般的に、小型種に比べると社会性に乏しい。よく言えば個人主義。だから全体に共通した風習というものが育ちにくい。
この日、俺は事前にアニスへの贈り物を用意しておいた。
「誕生日おめでとう」
リボンで飾った箱を手渡すと、アニスは目を輝かせた。夢中でリボンをほどき、箱を開ける。中に入っているのは、髪飾り。成人するときに生え替わった俺の角を使い、ドワーフに特注して作ってもらった。これを着ければ、小さな角が生えているように見える、という寸法だ。生え替わった記念に残してあったものが、思いがけず役に立った。
アニスの頭に着けてやってから、トントンと自分の角を指で差す。
「ほら、これでおそろいだ」
「おそろい!」
本当は、角なんて男にしか生えないんだけど。そういう細かいことは、今はどうでもいい。アニスは大喜びで「おそろい! おそろい!」と飛びついてきた。これでもう、あんなふうに泣くことがなくなるといいな。
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