1 / 36
本編
国境付近の不審物
しおりを挟む
「ダリオン将軍閣下! 大変です!」
「国境外からの侵入がありました!」
「怪しい魔力が観測されてます!」
部下のゴブリンが三名、何やらあわてふためいて飛び込んできた。もっとも、こいつらが飛び込んでくるときは、だいたい無駄にあわてている。
そもそも、俺は別に将軍でも閣下でもない。
ただ単に魔王の友人であり、その縁で軍の取りまとめ役を押しつけられただけの、不運な若造にすぎないのである。にもかかわらず、なぜかやつらはこう呼ぶ。
おおかた「将軍」とか「閣下」って言いたいだけじゃないかと思っている。きっと「将軍閣下」なら「将軍」と「閣下」でかっこよさが二倍だとか、そういうくだらない理由と見てまず間違いない。
だが今は、まず状況確認だ。
「怪しい魔力って何だよ?」
「わかりません!」
「おい」
確認くらいしてこいや! ──とは思うものの、どうせ言うだけ無駄だ。こいつらがビビリなことは、よくわかっている。どれくらいのビビリかって、国境警備を志願しちゃうくらいのビビリ。
なんてったって国境警備というのは、とんでもない閑職なのだ。
だって魔国の国境には、がっちり結界が張り巡らされている。侵入者なんてそうそう現れるわけがないような、強固かつ緻密な結界だ。そんな変わり映えのしない国境を、来る日も来る日も点検して回るような、ぬるくてだるい仕事が国境警備。血気盛んな野郎どもが志願するわけがなかった。かくして国境警備は、ビビリたちの天職となっている。
そんなビビリ連中だから、不審物の確認なんぞ期待するだけ無駄ってものだ。怪しいと思ったが最後、おっかながって確認になんぞ行きやしない。
そんなやつらにも、もちろんいいところはある。勤勉なのだ。ビビリだけど。
そしてビビリという特性も、こと国境警備においては長所となり得る。ビビリなだけに、小さな異変も見逃すことがないからだ。
でもまあ、一目散に逃げ帰ってくる程度には、やつらにとっては異常事態だったんだろう。逃げ足が物理的に速いのも、長所と言えば長所かもしれない。俺は小さなため息をひとつこぼして立ち上がった。
「よし、確認してくるか」
「お願いします!」
「誰か案内してくれ」
しかしここで、返事がない。
ゴブリンどもは何やらひじでつつき合って、もじもじしているだけだ。なるほど。押しつけ合っているわけか。戦力としては何の期待もしてないが、案内くらいはしてくれないと困る。とっとと確認しちまいたいんだよ。どうせ何もないんだろうけど。
「じゃあ、ベン、お前が案内してくれ」
「いや! こいつが案内したいと言ってました!」
「やめろ、押すな! 言ってねええ!」
あからさまに目の前で押し付け合いが始まってしまった。めんどくせえ。
「案内してくれたら、魔王からもらったワインを褒美にやろうと思ったんだがなあ」
「俺が行きます!」
「あ、ずりい! 指名されたのは俺だ! 俺が行く!」
わかりやすくワインで釣れた。しかしその代わりに、今度は役目の取り合いが始まる。埒があかないので、最初に志願したゴブリンの首根っこをつかんだ。
「こんなものは、早い者勝ちだ。チャーリー、行くぞ」
「あいさ!」
ところが他の二人も「俺も!」「俺も行く!」と付いてきやがる。
「付いて来たって、ワインは一本しかねーぞ?」
「三人で分けます!」
「三人で見つけたんだから、三人で分ける!」
だったら最初からそうしろや。脱力して気の抜けた笑いをこぼしながらも、ゴブリンの後ろをついて行く。まずは転移陣こと転移用の魔法陣で国境へ移動だ。
転移陣は魔国内での移動の主要な手段で、ある程度以上の規模の村や町にはだいたいどこにでもある。そして国境警備用にも使われている。転移先は、結界装置の置かれている場所の近くだ。
三人は「ワイン! ワイン! おいしいワイン!」と機嫌よく歌いながら先導していたが、やがて急に静かになったと思ったら、ぴたりと足をとめた。
「この茂みの向こうです」
「何かいる」
「魔力のかたまり」
三人が口々にささやき声で報告する。言われて俺も茂みの先に目をこらすと、確かに見慣れない魔力の気配がした。
「じゃあ、見てくるわ。お前たちは、もし何か危険を感じたらすぐ逃げろよ」
俺がそう言い終わるか終わらないかのうちに、茂みの向こうから「ふやああああ」という、猫の仔のようなか細い鳴き声がした。ゴブリンどもは三人とも一斉に、ビクッと飛び上がった。かと思うと、まっしぐらに逃げていく。さすがビビリ。筋金入りだ。
もっとも、それくらい逃げ足が速いほうが、俺にとってはありがたい。万が一にも戦闘になぞなったら、やつらは足手まといにしかならないからだ。
ゴブリンどもがまっすぐに転移陣のほうに向かって逃げて行ったのをチラリと確認し、俺は意識を茂みに戻した。慎重に茂みをかき分け、先に進む。あの鳴き声から判断して、小型の何かだろう。足もとから逃げ出してくるかもしれない。
体が小さくとも、身に危険が迫ると凶暴化するのは、どんな動物も一緒だ。しかも相手は小型とはいえ、上級魔族に匹敵するほどの魔力量の持ち主。何をしでかすか、わかったものではない。
相手が何だろうと負けるつもりはないものの、隙をつかれたら逃してしまう可能性は十分ある。油断なく構えながら茂みを抜けると、そこから国境の結界までは、小さく開けた場所になっていた。その結界ギリギリの場所に、布に包まれた何かがいる。
「なんだこりゃ。赤ん坊じゃないか」
だが、ただの赤ん坊じゃない。外から侵入してきた赤ん坊だ。つまり、人間。
人間を通さないための結界なのに、人間の赤ん坊が結界の内側にいる──ということになる。結界を通れている時点で、普通の人間ではない。実際、この赤ん坊からは大きな魔力の気配がした。これの意味するところは──。
「おいおいおい、聖女かよ」
俺は頭を抱えた。聖女は魔族の天敵だ。
人間は通常、魔力を持たない。だから魔国の結界は、魔力を持つ者だけを通すようにできている。人間を通さないためだ。ところが百年から数百年に一度、人間の間に魔力を持つ者が生まれることがある。これを人間たちは「勇者」や「聖女」と呼ぶ。そこそこの魔力持ちが勇者、膨大な魔力持ちが聖女だ。
この赤ん坊は、人間であり、かつ魔力量が多いから、聖女と見て間違いない。
勇者や聖女がなぜ魔族の天敵なのかといえば、なぜか必ず魔国に攻め入ってくるから。しかも、十分に準備をして迎え撃たないと大損害を受ける程度に強い。にもかかわらず、こいつらには結界が役に立たない。何しろ人間のくせに魔力持ちだから、魔族と同じように通れてしまうのだ。
そんな聖女が無防備な赤ん坊の状態で落ちている。──もしかして、これはチャンスでは?
「国境外からの侵入がありました!」
「怪しい魔力が観測されてます!」
部下のゴブリンが三名、何やらあわてふためいて飛び込んできた。もっとも、こいつらが飛び込んでくるときは、だいたい無駄にあわてている。
そもそも、俺は別に将軍でも閣下でもない。
ただ単に魔王の友人であり、その縁で軍の取りまとめ役を押しつけられただけの、不運な若造にすぎないのである。にもかかわらず、なぜかやつらはこう呼ぶ。
おおかた「将軍」とか「閣下」って言いたいだけじゃないかと思っている。きっと「将軍閣下」なら「将軍」と「閣下」でかっこよさが二倍だとか、そういうくだらない理由と見てまず間違いない。
だが今は、まず状況確認だ。
「怪しい魔力って何だよ?」
「わかりません!」
「おい」
確認くらいしてこいや! ──とは思うものの、どうせ言うだけ無駄だ。こいつらがビビリなことは、よくわかっている。どれくらいのビビリかって、国境警備を志願しちゃうくらいのビビリ。
なんてったって国境警備というのは、とんでもない閑職なのだ。
だって魔国の国境には、がっちり結界が張り巡らされている。侵入者なんてそうそう現れるわけがないような、強固かつ緻密な結界だ。そんな変わり映えのしない国境を、来る日も来る日も点検して回るような、ぬるくてだるい仕事が国境警備。血気盛んな野郎どもが志願するわけがなかった。かくして国境警備は、ビビリたちの天職となっている。
そんなビビリ連中だから、不審物の確認なんぞ期待するだけ無駄ってものだ。怪しいと思ったが最後、おっかながって確認になんぞ行きやしない。
そんなやつらにも、もちろんいいところはある。勤勉なのだ。ビビリだけど。
そしてビビリという特性も、こと国境警備においては長所となり得る。ビビリなだけに、小さな異変も見逃すことがないからだ。
でもまあ、一目散に逃げ帰ってくる程度には、やつらにとっては異常事態だったんだろう。逃げ足が物理的に速いのも、長所と言えば長所かもしれない。俺は小さなため息をひとつこぼして立ち上がった。
「よし、確認してくるか」
「お願いします!」
「誰か案内してくれ」
しかしここで、返事がない。
ゴブリンどもは何やらひじでつつき合って、もじもじしているだけだ。なるほど。押しつけ合っているわけか。戦力としては何の期待もしてないが、案内くらいはしてくれないと困る。とっとと確認しちまいたいんだよ。どうせ何もないんだろうけど。
「じゃあ、ベン、お前が案内してくれ」
「いや! こいつが案内したいと言ってました!」
「やめろ、押すな! 言ってねええ!」
あからさまに目の前で押し付け合いが始まってしまった。めんどくせえ。
「案内してくれたら、魔王からもらったワインを褒美にやろうと思ったんだがなあ」
「俺が行きます!」
「あ、ずりい! 指名されたのは俺だ! 俺が行く!」
わかりやすくワインで釣れた。しかしその代わりに、今度は役目の取り合いが始まる。埒があかないので、最初に志願したゴブリンの首根っこをつかんだ。
「こんなものは、早い者勝ちだ。チャーリー、行くぞ」
「あいさ!」
ところが他の二人も「俺も!」「俺も行く!」と付いてきやがる。
「付いて来たって、ワインは一本しかねーぞ?」
「三人で分けます!」
「三人で見つけたんだから、三人で分ける!」
だったら最初からそうしろや。脱力して気の抜けた笑いをこぼしながらも、ゴブリンの後ろをついて行く。まずは転移陣こと転移用の魔法陣で国境へ移動だ。
転移陣は魔国内での移動の主要な手段で、ある程度以上の規模の村や町にはだいたいどこにでもある。そして国境警備用にも使われている。転移先は、結界装置の置かれている場所の近くだ。
三人は「ワイン! ワイン! おいしいワイン!」と機嫌よく歌いながら先導していたが、やがて急に静かになったと思ったら、ぴたりと足をとめた。
「この茂みの向こうです」
「何かいる」
「魔力のかたまり」
三人が口々にささやき声で報告する。言われて俺も茂みの先に目をこらすと、確かに見慣れない魔力の気配がした。
「じゃあ、見てくるわ。お前たちは、もし何か危険を感じたらすぐ逃げろよ」
俺がそう言い終わるか終わらないかのうちに、茂みの向こうから「ふやああああ」という、猫の仔のようなか細い鳴き声がした。ゴブリンどもは三人とも一斉に、ビクッと飛び上がった。かと思うと、まっしぐらに逃げていく。さすがビビリ。筋金入りだ。
もっとも、それくらい逃げ足が速いほうが、俺にとってはありがたい。万が一にも戦闘になぞなったら、やつらは足手まといにしかならないからだ。
ゴブリンどもがまっすぐに転移陣のほうに向かって逃げて行ったのをチラリと確認し、俺は意識を茂みに戻した。慎重に茂みをかき分け、先に進む。あの鳴き声から判断して、小型の何かだろう。足もとから逃げ出してくるかもしれない。
体が小さくとも、身に危険が迫ると凶暴化するのは、どんな動物も一緒だ。しかも相手は小型とはいえ、上級魔族に匹敵するほどの魔力量の持ち主。何をしでかすか、わかったものではない。
相手が何だろうと負けるつもりはないものの、隙をつかれたら逃してしまう可能性は十分ある。油断なく構えながら茂みを抜けると、そこから国境の結界までは、小さく開けた場所になっていた。その結界ギリギリの場所に、布に包まれた何かがいる。
「なんだこりゃ。赤ん坊じゃないか」
だが、ただの赤ん坊じゃない。外から侵入してきた赤ん坊だ。つまり、人間。
人間を通さないための結界なのに、人間の赤ん坊が結界の内側にいる──ということになる。結界を通れている時点で、普通の人間ではない。実際、この赤ん坊からは大きな魔力の気配がした。これの意味するところは──。
「おいおいおい、聖女かよ」
俺は頭を抱えた。聖女は魔族の天敵だ。
人間は通常、魔力を持たない。だから魔国の結界は、魔力を持つ者だけを通すようにできている。人間を通さないためだ。ところが百年から数百年に一度、人間の間に魔力を持つ者が生まれることがある。これを人間たちは「勇者」や「聖女」と呼ぶ。そこそこの魔力持ちが勇者、膨大な魔力持ちが聖女だ。
この赤ん坊は、人間であり、かつ魔力量が多いから、聖女と見て間違いない。
勇者や聖女がなぜ魔族の天敵なのかといえば、なぜか必ず魔国に攻め入ってくるから。しかも、十分に準備をして迎え撃たないと大損害を受ける程度に強い。にもかかわらず、こいつらには結界が役に立たない。何しろ人間のくせに魔力持ちだから、魔族と同じように通れてしまうのだ。
そんな聖女が無防備な赤ん坊の状態で落ちている。──もしかして、これはチャンスでは?
68
お気に入りに追加
193
あなたにおすすめの小説
神のいとし子は追放された私でした〜異母妹を選んだ王太子様、今のお気持ちは如何ですか?〜
星河由乃(旧名:星里有乃)
恋愛
「アメリアお姉様は、私達の幸せを考えて、自ら身を引いてくださいました」
「オレは……王太子としてではなく、一人の男としてアメリアの妹、聖女レティアへの真実の愛に目覚めたのだ!」
(レティアったら、何を血迷っているの……だって貴女本当は、霊感なんてこれっぽっちも無いじゃない!)
美貌の聖女レティアとは対照的に、とにかく目立たない姉のアメリア。しかし、地味に装っているアメリアこそが、この国の神のいとし子なのだが、悪魔と契約した妹レティアはついに姉を追放してしまう。
やがて、神のいとし子の祈りが届かなくなった国は災いが増え、聖女の力を隠さなくなったアメリアに救いの手を求めるが……。
* 2023年01月15日、連載完結しました。
* ヒロインアメリアの相手役が第1章は精霊ラルド、第2章からは隣国の王子アッシュに切り替わります。最終章に該当する黄昏の章で、それぞれの関係性を決着させています。お読みくださった読者様、ありがとうございました!
* 初期投稿ではショートショート作品の予定で始まった本作ですが、途中から長編版に路線を変更して完結させました。
* この作品は小説家になろうさんとアルファポリスさんに投稿しております。
* ブクマ、感想、ありがとうございます。
[完結]回復魔法しか使えない私が勇者パーティを追放されたが他の魔法を覚えたら最強魔法使いになりました
mikadozero
ファンタジー
3月19日 HOTランキング4位ありがとうございます。三月二十日HOTランキング2位ありがとうございます。
ーーーーーーーーーーーーー
エマは突然勇者パーティから「お前はパーティを抜けろ」と言われて追放されたエマは生きる希望を失う。
そんなところにある老人が助け舟を出す。
そのチャンスをエマは自分のものに変えようと努力をする。
努力をすると、結果がついてくるそう思い毎日を過ごしていた。
エマは一人前の冒険者になろうとしていたのだった。
【完結】物置小屋の魔法使いの娘~父の再婚相手と義妹に家を追い出され、婚約者には捨てられた。でも、私は……
buchi
恋愛
大公爵家の父が再婚して新しくやって来たのは、義母と義妹。当たり前のようにダーナの部屋を取り上げ、義妹のマチルダのものに。そして社交界への出入りを禁止し、館の隣の物置小屋に移動するよう命じた。ダーナは亡くなった母の血を受け継いで魔法が使えた。これまでは使う必要がなかった。だけど、汚い小屋に閉じ込められた時は、使用人がいるので自粛していた魔法力を存分に使った。魔法力のことは、母と母と同じ国から嫁いできた王妃様だけが知る秘密だった。
みすぼらしい物置小屋はパラダイスに。だけど、ある晩、王太子殿下のフィルがダーナを心配になってやって来て……
【完結】私を断罪するのが神のお告げですって?なら、本人を呼んでみましょうか
あーもんど
恋愛
聖女のオリアナが神に祈りを捧げている最中、ある女性が現れ、こう言う。
「貴方には、これから裁きを受けてもらうわ!」
突然の宣言に驚きつつも、オリアナはワケを聞く。
すると、出てくるのはただの言い掛かりに過ぎない言い分ばかり。
オリアナは何とか理解してもらおうとするものの、相手は聞く耳持たずで……?
最終的には「神のお告げよ!」とまで言われ、さすがのオリアナも反抗を決意!
「私を断罪するのが神のお告げですって?なら、本人を呼んでみましょうか」
さて、聖女オリアナを怒らせた彼らの末路は?
◆小説家になろう様でも掲載中◆
→短編形式で投稿したため、こちらなら一気に最後まで読めます
〖完結〗私は旦那様には必要ないようですので国へ帰ります。
藍川みいな
恋愛
辺境伯のセバス・ブライト侯爵に嫁いだミーシャは優秀な聖女だった。セバスに嫁いで3年、セバスは愛人を次から次へと作り、やりたい放題だった。
そんなセバスに我慢の限界を迎え、離縁する事を決意したミーシャ。
私がいなければ、あなたはおしまいです。
国境を無事に守れていたのは、聖女ミーシャのおかげだった。ミーシャが守るのをやめた時、セバスは破滅する事になる…。
設定はゆるゆるです。
本編8話で完結になります。
美しい姉と痩せこけた妹
サイコちゃん
ファンタジー
若き公爵は虐待を受けた姉妹を引き取ることにした。やがて訪れたのは美しい姉と痩せこけた妹だった。姉が夢中でケーキを食べる中、妹はそれがケーキだと分からない。姉がドレスのプレゼントに喜ぶ中、妹はそれがドレスだと分からない。公爵はあまりに差のある姉妹に疑念を抱いた――
悪役令嬢が残した破滅の種
八代奏多
恋愛
妹を虐げていると噂されていた公爵令嬢のクラウディア。
そんな彼女が婚約破棄され国外追放になった。
その事実に彼女を疎ましく思っていた周囲の人々は喜んだ。
しかし、その日を境に色々なことが上手く回らなくなる。
断罪した者は次々にこう口にした。
「どうか戻ってきてください」
しかし、クラウディアは既に隣国に心地よい居場所を得ていて、戻る気は全く無かった。
何も知らずに私欲のまま断罪した者達が、破滅へと向かうお話し。
※小説家になろう様でも連載中です。
9/27 HOTランキング1位、日間小説ランキング3位に掲載されました。ありがとうございます。
私は聖女(ヒロイン)のおまけ
音無砂月
ファンタジー
ある日突然、異世界に召喚された二人の少女
100年前、異世界に召喚された聖女の手によって魔王を封印し、アルガシュカル国の危機は救われたが100年経った今、再び魔王の封印が解かれかけている。その為に呼ばれた二人の少女
しかし、聖女は一人。聖女と同じ色彩を持つヒナコ・ハヤカワを聖女候補として考えるアルガシュカルだが念のため、ミズキ・カナエも聖女として扱う。内気で何も自分で決められないヒナコを支えながらミズキは何とか元の世界に帰れないか方法を探す。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる