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ざまぁされちゃった王子の回想録

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 あの後、私はがむしゃらに動いた。愛する者を取り戻すために。以前、私が弱く愚かだったばかりにのさばらせてしまった不正を正すために。私たちに本来あるべき地位を回復するために。

 私も頑張ったが、もちろんそれは義父の一家の支援あってのことだ。
 義理の兄弟たちは、義父が誇るだけのことはある。ひとりひとりが優秀なのはもちろんだが、五人そろったときの機動力が並外れている。

 義父が会頭を務める商会を通じて、情報収集の能力に長けた上の義兄。
 敵を法的に追い込むための知識と手段を持つ弁護士である、下の義兄。
 伯爵家に嫁ぎ、地味ながらも手広く人脈をつないできた義姉。
 医者と結婚し、薬物だけでなく毒にも造詣の深い上の義妹。
 新聞記者と結婚し、新聞記事を通じて社会的影響力を持ちうる下の義妹。

 これだけそろっていたら、たとい王太子という地位に就いている弟が相手であろうとも、渡り合えないわけがない。しかもこちらは、相手の策に落ちたと見せかけておいてからの奇襲だ。負ける要素がなかった。

 あのとき義父は、私に向かって「どうするかは、まかせる」と言いつつも、事前に父とは話を通してあったらしい。その後のやり取りは、非常に円滑だった。

 最終的に、弟は王族の謀殺を企んだ罪で、処刑された。
 しかも彼は、処刑の前にあらゆる身分を剥奪された。王太子でなくなったのみならず、王族でもない、父親のわからない私生児とされたのだ。ずっと彼も私も、互いを異母兄弟だと思っていたけれども、実は赤の他人だったらしい。彼は月足らずで生まれ、髪の色も濃く、家族の中でひとりだけ色が違う。

 継母が父と結婚する前の婚約期間中に、元恋人と一夜の過ちを犯し、そのときに身ごもった子なのだと言う。すでに父と婚約していたわけだから、不倫である。だが父は哀れに思い、当時は目をつぶっていたそうだ。

 その元恋人とは継母の元婚約者であり、父に嫁がせるために破談にさせられていたのだ。

 王位を継がせるわけにはいかないが、王子として育てて身分を与えるくらいはしてやってもよいと、父は考えていた。だから暫定的に王太子の身分を与えはしたが、時期を見て私を呼び戻すつもりでいたそうだ。

 だがその前に、このような凶行を企んだばかりか、実行してしまった。
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