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ざまぁされちゃった王子の回想録
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まんまと騙され、胸が張り裂けるような思いをさせられたことを怒るべきだったのかもしれない。けれどもそんなことより、私の大事なミミと子どもたちが実は生きていると聞いて、安堵のあまりへたりこみそうになった。
「どうして事前に教えてくれなかったんですか」
恨み言を口にしながら、ミミの声が聞こえてくるような気がした。「だって、あなた大根なんですもの」と、彼女ならすました顔で言いそうだ。おそらくミミたちの最期を看取りに来た神官は、弟の息の掛かった者だったのではないか。その目をあざむく必要があったのだろう。
「あの子たちは、殿下の弱みになるからです。あの子たちがいると、あなたは強くなれないでしょう」
義父の言葉は、私の胸を鋭く深く突いた。「そんなことはない」と言いたかったが、自分のこれまでの行いを省みれば、とても口にはできない。
でも、だったらなぜ、無事を知らせてくれたのだろう。
私のもの問いたげな視線に、義父は苦笑をこぼしてから答えた。
「あの子を弱みにしないでいただきたい。あの子は、あなたの強みになれる子です。そのように育てました」
そして「うちの子はみんなそうですがね」と誇らしげに付け加える。
義父が危ぶんでいたのは、ミミと子どもたちがそばにいる限り、なすべきことをなすだけの強さが私にはないのではないか、ということだった。だが今の私は、以前の私とは違う、とも義父は言う。
以前の私は窮地に陥ったときに、誰に相談することもなく、ひとりで完結して答えを出していた。そう言われると確かにそのとおりで、返す言葉もない。
けれども、ミミと一緒になってからは、他人の話に真摯に耳を傾けることがどれほど大事かを学んだ。それと同時に、信頼できる周囲の人間を頼ることもできるようになった。
だから今の私であれば、妻子の無事を知らせても大丈夫だろう、と義父は判断したそうだ。その信頼を、決して裏切るまい。
私の決意を、義父は微笑んで受け入れた。
別れ際に義父は、ふと思い出したというように振り返る。
「そうそう、あの子から伝言があります」
私が続きをうながすように首をかしげると、義父は言葉を続けた。
「『ジョルジュ、愛してる』と」
それを聞いて再び、私の目に涙がこみ上げてきた。
義父は困ったように微笑んで私の肩を叩き、涙がこぼれ落ちる前に背を向けて去って行った。
「どうして事前に教えてくれなかったんですか」
恨み言を口にしながら、ミミの声が聞こえてくるような気がした。「だって、あなた大根なんですもの」と、彼女ならすました顔で言いそうだ。おそらくミミたちの最期を看取りに来た神官は、弟の息の掛かった者だったのではないか。その目をあざむく必要があったのだろう。
「あの子たちは、殿下の弱みになるからです。あの子たちがいると、あなたは強くなれないでしょう」
義父の言葉は、私の胸を鋭く深く突いた。「そんなことはない」と言いたかったが、自分のこれまでの行いを省みれば、とても口にはできない。
でも、だったらなぜ、無事を知らせてくれたのだろう。
私のもの問いたげな視線に、義父は苦笑をこぼしてから答えた。
「あの子を弱みにしないでいただきたい。あの子は、あなたの強みになれる子です。そのように育てました」
そして「うちの子はみんなそうですがね」と誇らしげに付け加える。
義父が危ぶんでいたのは、ミミと子どもたちがそばにいる限り、なすべきことをなすだけの強さが私にはないのではないか、ということだった。だが今の私は、以前の私とは違う、とも義父は言う。
以前の私は窮地に陥ったときに、誰に相談することもなく、ひとりで完結して答えを出していた。そう言われると確かにそのとおりで、返す言葉もない。
けれども、ミミと一緒になってからは、他人の話に真摯に耳を傾けることがどれほど大事かを学んだ。それと同時に、信頼できる周囲の人間を頼ることもできるようになった。
だから今の私であれば、妻子の無事を知らせても大丈夫だろう、と義父は判断したそうだ。その信頼を、決して裏切るまい。
私の決意を、義父は微笑んで受け入れた。
別れ際に義父は、ふと思い出したというように振り返る。
「そうそう、あの子から伝言があります」
私が続きをうながすように首をかしげると、義父は言葉を続けた。
「『ジョルジュ、愛してる』と」
それを聞いて再び、私の目に涙がこみ上げてきた。
義父は困ったように微笑んで私の肩を叩き、涙がこぼれ落ちる前に背を向けて去って行った。
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