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ざまぁされちゃった王子の回想録

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 義父はこうした事情を語った後、これまでに調べ上げたすべての証拠を私に託した。

「これをどうするかは、おまかせします」
「私は、この者たちが許せない。不正を正すのを、手伝ってくれますか」

 私の言葉に、義父は「もちろんです」と即座にうなずいた。
 だがその様子に、私はふと違和感を抱いた。何かがおかしい。なぜそう感じるのだろうかとしばらく考え込み、理由がわかった。あまりにもすべてに滞りがなくて、不自然なのだ。まるで、以前から準備してあったかのように。

 ずっと前から侯爵家に探りを入れていたことは、聞いている。だが、そこまでわかっていたのなら、なぜミミと子どもたちは犠牲にならねばならなかったのか。

 私は苛立ちを抑えながら、義父に尋ねた。

「ミミたちが狙われていることは、ご存じなかったんですか」

 私の問いに、義父はわずかに眉を上げ、それから満足そうに微笑んで「知ってましたよ」と答えた。だが、ここで笑顔になる意味がわからない。眉をひそめる私に、義父は一枚の封筒を手渡した。宛名には、義父の名前が書かれている。

 いぶかしく思いながら差出人の名前を確認して、驚いた。そこには、子どもの頃に母の生国からやってきた、あの大使の名前が書かれていたのだ。

 封筒の中から手紙を取り出して広げてみれば、そこには「ミミと子どもたちの滞在を歓迎する」という意味のことが書かれていた。そして「国王陛下は、ご令孫とお会いになるのを大変楽しみにしておいでです」と締めくくられていた。

 どういうことだ。ミミと子どもたちが母の生国を訪ねるなんて話は、聞いていない。
 私が眉間にしわを寄せて義父を振り返ると、彼は笑みを深くした。

「そろそろ到着する頃でしょうな」

 義父の言葉が頭の中に染み渡るまで、私は呆けた顔をしていたと思う。
 そろそろ到着する? 誰が、どこへ?
 混乱する私に、義父が答えを教えてくれた。

「殿下には、すべてが片付くまで内緒にしておく予定でしたがね。あの子たちは無事ですよ」

 毒入りの菓子は証拠品として押収し、ミミと子どもたちが口にしたのは仮死状態になる薬だったそうだ。それを聞いたときの私の気持ちは、何とも表現のしようがない。
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