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ざまぁされちゃった王子の回想録

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 私は子爵に叙せられ、ミミの養父が治める領地に隣接した、小さな貧しい領地を賜った。小麦どころかライ麦さえも育たない、やせた土地だ。

 領主館は、一般的な農家よりは多少広いだけの、質素な屋敷だった。それでも私の育った離宮よりは広々としていたのだが、ミミにとってはどうだっただろう。

 結婚した当初、私はミミを泣かせてばかりだった。
 何しろ私はミミにプロポーズするどころか、甘い言葉をささやく時間さえ与えられずに、結婚させられたのだ。私はよくても、ミミにとっては喜ばしいことではなかったに違いない。彼女の危機にあって、助けるどころか、騙されて陥れられるような能なしの男と一緒にさせられて。

 結婚した後も、私は間違ってばかりだった。
 泣かせたくないのに。笑顔でいてほしいのに。

 私が間違ったことをするたびに、ミミは怒ったり泣いたりして私をなじる。そのたびに私は、心臓がえぐられる思いがした。彼女に捨てられるのではないかという恐怖で、居ても立ってもいられなくなる。決して逃げられないよう腕の中に囲って、ただひたすらに謝罪して、許しを乞う。

 ミミは怒ったり泣いたりすることはあっても、私を見捨てることはなかった。その都度、私が何を間違えたのかを教えてくれる。何度目かの失敗を経て、やっと私は彼女を悩ませているものの本質を理解した。金だ。金がない。要するに、生活苦だ。

 家計管理は自分がするというミミの言葉に甘えて、丸投げしていたことを心から反省した。彼女に見せてもらった家計簿からは、生活費を切り詰めるために四苦八苦している様子が手に取るように読み取れた。必要な支出に対して、収入が足りていない。これでは苦しいわけだ。

 そこで私は、家計管理も引き受けることにした。と言っても、家計簿の管理はミミにお願いしたままだ。変えたのは、生活費の渡し方。定期的に決まった額を渡すのではなく、手持ちが減ったらその都度渡す。彼女は決して浪費などしないのだから、やりくりを気にする必要はない。それは私の仕事だ。

 家計も領地の歳費に組み込んで、一括管理することにした。
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