王道学園の会計補佐

からくり箱

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気持ち悪い

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真っ暗だった視界に徐々に光が入り込んでき、ボヤけていた周りの景色もしだいにクリアになっていく。ここは物置かなにかだろうか。そもそもどうして俺はこんな場所にいるのか。
口は布を噛まされており声を出せず、手は後ろで縄でキツく縛られている。簡単にはとれなさそうだ。いや、ホントこれどういう状況?
朧げな記憶をなんとか引っ張り出す。頭がズキズキと痛い。確か、歩いていたら突然薬品のようなモノを嗅がされて………その後から記憶がない。



「随分起きるのが早かったじゃねぇか、会計補佐様よぉ」

状況把握に努めている俺に上から声が降ってくる。声の方に視線を向けると、俺をここへ連れてきたと思われる4人がこちらを見てニヤニヤと下卑た笑みを浮かべていた。見た目からして多分上の学年だろう。


はぁー、と内心で大きなため息をつく。最近はなかったからすっかり油断していた。
今でこそ減ったものの、入学してすぐの頃はしょっちゅう色んなとこ、空き教室やら倉庫やら用具入れやらに連れ込まれていた。理由はまあ、場所から察してほしい。幼い頃から周りが男ばかりな思春期の男子が、そういう行動へ走ってしまうことは重々承知していたが、まさか自分がそういう対象になるとは思わなかった。そういう奴らはヤれるならなんでもいいらしい。初めは気絶させて放置するだけに留めたが、一向に数が減らず性懲りも無く手を出してくる奴までいたので、2度と手を出そうと思わないよう徹底的に潰してやった。
勿論、物理的にも社会的にもだ。




目の前の顔は見た記憶がないから、おそらく俺に対しては初犯だろう。前にかなりやらかしたし、連れ込む奴はもういないだろうと思っていたのだが、まだいたようだ。今まで手を出して逆に可哀想な目にあってきた奴が何人もいるというのに、こいつらは学ばなかったらしい。



下品で嫌らしい目で見下ろしてくる。
ネットリとした視線で全身を舐め回すように見られ、ブルッと鳥肌が立つ。視姦されている気分だ。

___気持ち悪い___


俺は見るのは好きだけど当事者になるのはごめんだ。俺を巻き込まないでほしい。これは切実に。まあ無理矢理は俺の地雷だから当事者じゃなくても不愉快だが。


「ハッ、随分と余裕そうじゃねぇか」
「噂の会計補佐だっていうからどんなもんかと思ったら、簡単だったな」

噂の・・・?
何か言ってるが無視して、取りあえず身体を起こす。さっさと片付けよう。

「にしても流石、抱きたい抱かれたいランキング上位なだけあってキレイな顔してんなァ」
「これで男とかまじヤベー……あ、勃った」

……それ言わなくてよくない?
思わず顔を顰める。

「色気もスゲーな」

堂々と下の状況を報告してた奴が1人近づき、顔に手を伸ばしてきた。チャンスだ。かなり近づいて、もう少しで触れるというところで頭突きし、後ろに少しよろけたところで鳩尾に思い切り蹴りをいれる。

ボキッ

「っつぅ、グハッ、、うっ…」


感触からしておそらく肋骨が折れたのだろう。床に横に丸まり、お腹を抱えて痛そうにしている。

「なっ!!テメェ!!!」

残りの3人が一斉に殴りかかってくるが、それを屈んで避け、2人の鳩尾に一発ずつ蹴りをいれる。

「グハッ」「カハッ」

多分どちらも肋骨が折れただろう。
平均身長程度で大柄じゃないからと油断してた自業自得だ。


俺は今、これでも結構怒っている。
そういう対象にされたのもそうだが、なによりせっかく萌を楽しむつもりだったのに邪魔をされたのが本っっ当にムカつく。

残ったリーダー格の奴にこれまた思い切り、踵落としをする。普段ならこれで終わらせるのだが、こいつらにはもう一発いれとかなきゃ気がすまない。前に倒れる直前に顎の下からの上へ蹴り上げて強制的に身体を立たせ、跳躍して胴回し回転蹴りをお見舞いしてやる。

ドゴッ゙

そしてその勢いを使ってバク宙でストンと着地した。











冷静になって考えると少しやりすぎた感も否めないが、正当防衛だからまあいいだろう。

口の布は簡単にずらせたが取ることはできず、手首をキツく縛る縄はピクリとも動かないため、自室でナイフとかで切ることにする。blウォッチングはお預けだな。取りあえずさっさと帰ろう。
誰かに縄を見られるのは気まずいので、授業が終わる前に急いで寮へと帰った。








その様子を陰から見ていた人がいるとも知らないで。




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