王道学園の会計補佐

blウォッチングするはずが

久々に校内をぶらつく。最近寮と生徒会室を往復しかしてなかったからか、毎日来ている校舎にも関わらず、どこか違う場所にいるような錯覚に陥る。
いつもなら休み時間に寮に帰って防犯カメラでblウォッチングをするのだが、生憎と今日は授業が始まってすぐという嫌なタイミングで仕事が終わったため、校内のblウォッチングの穴場へ向かうことにした。当然、生徒会室で時間を潰すという案は居心地が悪いので却下だ。
どの学年も授業中で校内は不気味なほど静まり返っているせいで、自分の足音があたりに反響する。どうしてか自分が悪いことをしているように感じてしまい、少し歩くスピードを早めた。いや、別に悪いことはしてないんだけどね？生徒会役員になったことで授業は免除されているし。




しばらく歩いて漸く目的地が見えてきた。といってもまだ距離はあるけど。相変わらずこの学園は無駄に広い。勿論小さいよりは大きい方がいいけどさ、限度ってものがあると思う。設計するとき大きすぎるとは思わなかったのかな。

俺が今向かっている目的地というのは、保健室＿＿＿＿の窓から12mほど離れた場所にある、それなりに大きい木だ。幹は太くてずっしりしていて座り心地がよく、保健室の中を覗き見るのにちょうどいい位置にあるため、結構気に入っている。
なんで保健室なのかっていうと、保健室は昼間から授業をサボって盛る奴らのヤリ部屋と化しているからだ。勿論、違う場所でヤる人もいるし本当に体調が悪い人もいるけど。
ヤリ部屋とは言ったが、皆が皆ヤる訳では無い。半数くらいの人はヤりそうだけどヤらない、という丁度俺のblウォッチングの許容範囲内でイチャついてくれるので、この場所はそれなりに重宝しているのだ。まあ日によっては見ちゃいけない日もあるし、それは行って見てみないとわからないのが不便なんだけどね。1番いいのは保健室にも防犯カメラをつけることだ。そうしたら自室でハッキングして見れるのに。ああでも、生で見れなくなるのはちょっと残念だな。

ちなみに、自分でカメラつけちゃえばいいじゃんという発想には今まで何度もたどり着いているのだが、バレたときを思うとなかなか実行できないのだ。







そんなことを考えていたときだった＿＿＿


「うわっ！！」

突然後ろから手が出てきたかと思ったら口と鼻を布のようなもので塞がれ、抵抗しようと後ろから顔を覆う手の腕を掴もうとするが、さらに左右から出てきた手によってあっさり阻止される。頭が少しぼんやりしてくる。腕を捻って掴む手をとろうとするも上手くいかない。それならばと掴まれておらず自由な足で後ろの奴の急所を蹴るが力が入らずそっと当てるだけになってしまう。
＿＿＿＿なにかおかしい……

そこで目の前が真っ暗になり、意識が途絶えた。