王道学園の会計補佐

からくり箱

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懲りない奴等

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「冥府だ!!冥府がいるぞ!!」
「お前等全員集まれ!!」
「今日こそ彼奴等あいつらをぶっ潰すぞ!!」


「うっわぁ、また来たよ」

周りからウジャウジャと大量の破落戸らが出てきて俺たちを囲んでいく。黒い服を着た奴らが大量に建物の角や狭い通路から出てくるもんだから、ゴ○○リにしか見えなくてちょっとキモい。夕があからさまに嫌な顔をする。かくいう俺も自分でもわかるほど眉間にシワが寄っている。

「ほんと懲りないよね、、、」


諦めの悪さには、もはや呆れを通り越して感心する。


「学習能力のない馬鹿なだけだろ」


りょーちゃん辛辣……否定はしないけど。

彼奴等は自分達から喧嘩売ってきたくせに、俺たちにコテンパンにされたことを恨んで毎回絡んでくるはた迷惑な奴らだ。最近は暴れる前の準備運動代わりにしているのだが、何しろ人数が無駄に多いため面倒なのだ。その熱意をもっと他の事に向けてくれればいいのにといつも思う。
2人の方を見て、目線で言葉を交わす。

『俺は前と右』
『僕は前と左』
『じゃあ俺は後ろと2人の援護』

目線だけで意思伝達できるのは本当に便利だ。周りに話を聞かれなくてすむし、喋らなくていいから時間短縮にもなる。
把握した意を込めて小さく頷き、すぐに身体の向きを変えて後ろへ駆け出す。2人の援護に行けるようさっさと片付けてしまおう。
急に向かってきた俺に吃驚びっくりしたのか慌てた顔で立ち尽くす奴等のうち1人に横から蹴りを入れ、その勢いを利用して横にいた奴を後ろで立ち尽くす奴等めがけて投げ飛ばす。
そこまでして漸く我に返り殴りかかってくるが、それらを少しの動作で躱し鳩尾に一発ずつ入れていく。柔軟な身のこなしで向かってくる奴等に蹴りや拳をおみまいしてやる。どれだけ倒しても一向に減りを見せない多さに流石にウンザリしてくる。実際のゴ○○リ駆除もこんな感じなのだろうか。まあ似たようなもんだろう。にしても血気盛んすぎでしょ。


「なっちゃん後ろ!!!」

「へ?」

何事かと思って後ろを振り向いた途端、顔面に向かって勢いよく拳が飛んできた。

「っぶな!!」

慌てて後ろへ仰け反ってそのまま地面に両手をつき、先程の拳の持ち主を顎の下から思い切り蹴り上げながら足を持ち上げ倒立する。そこから手首と身体をひねりつつ右手を地面から離し、身体の回転と斜めに傾けた右脚を使ってウジャウジャ湧いてくる奴等を横から蹴って薙ぎ払う。そしてその体勢のまま自分の足を近くにいる奴の首に交差させて絡ませ、体勢を戻しながら自分を挟んだ反対側に思いっきり脚で投げ飛ばす。

「「うわっ!!」」
「「グェ゙ッッ!!」」
「グハッ」

投げ飛ばされた奴の落下や転倒に巻き込まれた被害者(俺からしたら加害者だが)達がドサドサッと倒れる。うわぁかわいそ。…なんてことは特に思ってない、というより思えない。自業自得だ。

後ろからの拳を躱してからここまでおよそ5秒。目の前で何が起きたか理解できていないのか、はたまたかろうじて理解はできたが脳の情報処理が追いついていないのか。呆気に取られた様な間抜けヅラで突っ立っている残りを片付けながら、声をかける。

「ゆーちゃん、助かったよ~!ありがとね!」

「どいたま~!」

小柄な身体を活かしてどんどん倒していくゆーちゃん、すごくかっこ可愛い!!








「はぁーー、やっとおわった~!」

「ようやくだな」

「だね。疲れた~!」

諦めずに何度も喧嘩売ってくる割には諦めが早いようで、ボコられた奴はどんどん離脱していき、比較的渋とかったリーダーも離脱すると今までのカオス状態が嘘のように解消されていき、ついには俺たち3人だけになった。

「いい加減、彼奴等こりてくれないかなぁ」

「準備運動にはちょっとハードだしね」

「時間と労力の無駄づか「「あー!冥府だ!」」…うげっ」

そういいながら此方へ走ってくるのは見慣れた顔だ。なんならほぼ毎日見てる。

「げっ…」

「うわぁ…」



俺たちはつくづく運がないらしい。





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