王道学園の会計補佐

からくり箱

文字の大きさ
上 下
7 / 20

懲りない奴等

しおりを挟む





「冥府だ!!冥府がいるぞ!!」
「お前等全員集まれ!!」
「今日こそ彼奴等あいつらをぶっ潰すぞ!!」


「うっわぁ、また来たよ」

周りからウジャウジャと大量の破落戸らが出てきて俺たちを囲んでいく。黒い服を着た奴らが大量に建物の角や狭い通路から出てくるもんだから、ゴ○○リにしか見えなくてちょっとキモい。夕があからさまに嫌な顔をする。かくいう俺も自分でもわかるほど眉間にシワが寄っている。

「ほんと懲りないよね、、、」


諦めの悪さには、もはや呆れを通り越して感心する。


「学習能力のない馬鹿なだけだろ」


りょーちゃん辛辣……否定はしないけど。

彼奴等は自分達から喧嘩売ってきたくせに、俺たちにコテンパンにされたことを恨んで毎回絡んでくるはた迷惑な奴らだ。最近は暴れる前の準備運動代わりにしているのだが、何しろ人数が無駄に多いため面倒なのだ。その熱意をもっと他の事に向けてくれればいいのにといつも思う。
2人の方を見て、目線で言葉を交わす。

『俺は前と右』
『僕は前と左』
『じゃあ俺は後ろと2人の援護』

目線だけで意思伝達できるのは本当に便利だ。周りに話を聞かれなくてすむし、喋らなくていいから時間短縮にもなる。
把握した意を込めて小さく頷き、すぐに身体の向きを変えて後ろへ駆け出す。2人の援護に行けるようさっさと片付けてしまおう。
急に向かってきた俺に吃驚びっくりしたのか慌てた顔で立ち尽くす奴等のうち1人に横から蹴りを入れ、その勢いを利用して横にいた奴を後ろで立ち尽くす奴等めがけて投げ飛ばす。
そこまでして漸く我に返り殴りかかってくるが、それらを少しの動作で躱し鳩尾に一発ずつ入れていく。柔軟な身のこなしで向かってくる奴等に蹴りや拳をおみまいしてやる。どれだけ倒しても一向に減りを見せない多さに流石にウンザリしてくる。実際のゴ○○リ駆除もこんな感じなのだろうか。まあ似たようなもんだろう。にしても血気盛んすぎでしょ。


「なっちゃん後ろ!!!」

「へ?」

何事かと思って後ろを振り向いた途端、顔面に向かって勢いよく拳が飛んできた。

「っぶな!!」

慌てて後ろへ仰け反ってそのまま地面に両手をつき、先程の拳の持ち主を顎の下から思い切り蹴り上げながら足を持ち上げ倒立する。そこから手首と身体をひねりつつ右手を地面から離し、身体の回転と斜めに傾けた右脚を使ってウジャウジャ湧いてくる奴等を横から蹴って薙ぎ払う。そしてその体勢のまま自分の足を近くにいる奴の首に交差させて絡ませ、体勢を戻しながら自分を挟んだ反対側に思いっきり脚で投げ飛ばす。

「「うわっ!!」」
「「グェ゙ッッ!!」」
「グハッ」

投げ飛ばされた奴の落下や転倒に巻き込まれた被害者(俺からしたら加害者だが)達がドサドサッと倒れる。うわぁかわいそ。…なんてことは特に思ってない、というより思えない。自業自得だ。

後ろからの拳を躱してからここまでおよそ5秒。目の前で何が起きたか理解できていないのか、はたまたかろうじて理解はできたが脳の情報処理が追いついていないのか。呆気に取られた様な間抜けヅラで突っ立っている残りを片付けながら、声をかける。

「ゆーちゃん、助かったよ~!ありがとね!」

「どいたま~!」

小柄な身体を活かしてどんどん倒していくゆーちゃん、すごくかっこ可愛い!!








「はぁーー、やっとおわった~!」

「ようやくだな」

「だね。疲れた~!」

諦めずに何度も喧嘩売ってくる割には諦めが早いようで、ボコられた奴はどんどん離脱していき、比較的渋とかったリーダーも離脱すると今までのカオス状態が嘘のように解消されていき、ついには俺たち3人だけになった。

「いい加減、彼奴等こりてくれないかなぁ」

「準備運動にはちょっとハードだしね」

「時間と労力の無駄づか「「あー!冥府だ!」」…うげっ」

そういいながら此方へ走ってくるのは見慣れた顔だ。なんならほぼ毎日見てる。

「げっ…」

「うわぁ…」



俺たちはつくづく運がないらしい。





しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

【完結】試練の塔最上階で待ち構えるの飽きたので下階に降りたら騎士見習いに惚れちゃいました

むらびっと
BL
塔のラスボスであるイミルは毎日自堕落な生活を送ることに飽き飽きしていた。暇つぶしに下階に降りてみるとそこには騎士見習いがいた。騎士見習いのナーシンに取り入るために奮闘するバトルコメディ。

王道学園の冷徹生徒会長、裏の顔がバレて総受けルート突入しちゃいました!え?逃げ場無しですか?

名無しのナナ氏
BL
王道学園に入学して1ヶ月でトップに君臨した冷徹生徒会長、有栖川 誠(ありすがわ まこと)。常に冷静で無表情、そして無言の誠を生徒達からは尊敬の眼差しで見られていた。 そんな彼のもう1つの姿は… どの企業にも属さないにも関わらず、VTuber界で人気を博した個人VTuber〈〈 アイリス 〉〉!? 本性は寂しがり屋の泣き虫。色々あって周りから誤解されまくってしまった結果アイリスとして素を出していた。そんなある日、生徒会の仕事を1人で黙々とやっている内に疲れてしまい__________ ※ ・非王道気味 ・固定カプ予定は無い ・悲しい過去🐜のたまにシリアス ・話の流れが遅い

顔だけが取り柄の俺、それさえもひたすら隠し通してみせる!!

彩ノ華
BL
顔だけが取り柄の俺だけど… …平凡に暮らしたいので隠し通してみせる!! 登場人物×恋には無自覚な主人公 ※溺愛 ❀気ままに投稿 ❀ゆるゆる更新 ❀文字数が多い時もあれば少ない時もある、それが人生や。知らんけど。

幼馴染みのセクハラに耐えかねています。

世咲
BL
性格クズな学園の王子様×美形のちょろヤンキー。 (絶対に抱きたい生徒会長VS絶対に抱かれたくないヤンキーの幼馴染みBL) 「二人って同じ名字なんだ」「結婚してるからな!」「違うな???」

俺が総受けって何かの間違いですよね?

彩ノ華
BL
生まれた時から体が弱く病院生活を送っていた俺。 17歳で死んだ俺だが女神様のおかげで男同志が恋愛をするのが普通だという世界に転生した。 ここで俺は青春と愛情を感じてみたい! ひっそりと平和な日常を送ります。 待って!俺ってモブだよね…?? 女神様が言ってた話では… このゲームってヒロインが総受けにされるんでしょっ!? 俺ヒロインじゃないから!ヒロインあっちだよ!俺モブだから…!! 平和に日常を過ごさせて〜〜〜!!!(泣) 女神様…俺が総受けって何かの間違いですよね? モブ(無自覚ヒロイン)がみんなから総愛されるお話です。

不良高校に転校したら溺愛されて思ってたのと違う

らる
BL
幸せな家庭ですくすくと育ち普通の高校に通い楽しく毎日を過ごしている七瀬透。 唯一普通じゃない所は人たらしなふわふわ天然男子である。 そんな透は本で見た不良に憧れ、勢いで日本一と言われる不良学園に転校。 いったいどうなる!? [強くて怖い生徒会長]×[天然ふわふわボーイ]固定です。 ※更新頻度遅め。一日一話を目標にしてます。 ※誤字脱字は見つけ次第時間のある時修正します。それまではご了承ください。

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました

まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。 性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。 (ムーンライトノベルにも掲載しています)

囚われた元王は逃げ出せない

スノウ
BL
異世界からひょっこり召喚されてまさか国王!?でも人柄が良く周りに助けられながら10年もの間、国王に準じていた そうあの日までは 忠誠を誓ったはずの仲間に王位を剥奪され次々と手篭めに なんで俺にこんな事を 「国王でないならもう俺のものだ」 「僕をあなたの側にずっといさせて」 「君のいない人生は生きられない」 「私の国の王妃にならないか」 いやいや、みんな何いってんの?

処理中です...