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突然の勧誘
しおりを挟む「凪沙、仕事中すみませんが少し良いですか?」
急いで終わらせるために黙々仕事をしていると、不意に話しかけられた。何かあったのかと顔をあげると、みんなが期待するような、緊張してるような、でも真面目な顔をしてこちらを見ていた。
えー、なに?俺なんかしたっけ?
「えっと、どうかしましたか?」
「貴方に少し話というか提案があるのですが…」
珍しく歯切れの悪い副会長の言葉に少し戸惑う。何かあったのだろうか。
「もしよければ、私達のグループ「黒狼」に入りませんか?」
「はい?」
驚いて思わず間抜けな声が出てしまった。いや、だってまさか勧誘されると思わなかったし、それ以前にもっと違う話かと思ってたし。
「驚くかもしれませんが、私達6人は「黒狼」というグループを結成していまして。ストレス発散用の所謂族なのですが。貴方さえよければそこに入らないかと。」
「強制してるわけじゃねーから、嫌だったら断ってくれればいい。」
「…お誘いは嬉しいんですけど、俺、戦えるほど強くないし運動神経もないから役に立てないと思うので、すみません…」
「そっか~残念」
流石に違うグループの族なので、とは言わなかった。どういう反応されるかわからないし、敵視してるグループのメンバーだと知ったら今までのように接してくれないかもしれないから。この人たちのことは結構好きだから、今のこの関係を壊したくなかった。
その後はみんな、いつも通りに接してくれたからありがたかった。ずっと引きずられたら、断った身としてもかなり気まずいしね。
そんなこんなで仕事が終わった頃には昼休みになっていたため、みんなと生徒会役員専用の食堂で昼食を取り、その後は自室でやる仕事の書類と共に寮の部屋へ帰った。
生徒会役員専用の食堂とは、生徒会塔にある生徒会役員しか使えない食堂で、役員は無料で食べれる。にも関わらず、一般生徒が使う食堂より内装もメニューも豪華になっている。これも生徒会役員の特権だ。
部屋に帰ったら早速仕事に取り掛かる___ことはなく、自分のパソコンを開いた。
素早く操作し、画面にいくつものハッキングした学園の防犯カメラ映像を表示する。そしてお目当ての映像があるか探していく。
急がなければ昼休みが終わってしまうというのに、なかなか見つからない。学園の生徒の萌を堪能するには昼休みが絶好のタイミングなのだ。今を逃すと放課後まで待たなければいけない。まあ今逃さなくても放課後も萌を堪能するつもりだが。しかし、そうなったらわざわざ急いで部屋に戻ってきた意味がなくなる。それにしても全くいない…帰るのが遅かったのかな?いやでも昼休みはまだ20分残ってるし1組くらいはいるずだ。
「あ、いた!!」
画面に表示された1つの映像の中には、2人の男子生徒が旧校舎の空き教室に映し出されている。1人は可愛らしいチワワでもう1人は少しキリッとした感じのワンコだ。確か2人共同級生だった気がする。
顔を真っ赤にして目をトロンとさせるチワワとそれを見つめるワンコに、思わずほぅとため息が出る。
やっぱいいよね~!!凄く興奮するよ!あ、もちろん性的にじゃないよ?
俺を腐男子にしてくれたお姉様にはすごく感謝だ
姉に感謝しつつ、まだまだ萌を堪能するつもりでいたのだが、2人の動きから次の段階に進むことがわかり、そっと映像を画面から消す。さすがの俺も人の情事を見るのは気が引ける。罪悪感もすごいしね。
少し物足りない気もするが、少しでも得られただけよしとしよう。
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