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竜将軍大会第三回戦:策士クルシュ VS 魔弓使いナルギス
・カロン・オボロス(職業:貧乏漫画家) - 100%不審者 -
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第二回戦を勝ち抜いたあの後、私は凄まじい激痛に襲われ立てなくなった。
医者には過労と極度の筋肉痛と診断され、せっかくの訓練の機会を失ってしまった。
しかしそのおかげで、私はまた少しココロさんと仲良くなれたような気がする。
ココロさんはその日からずっと、私の側に張り付いてお世話をしてくれた。
こればかりはイーラジュ様も文句を言わなかった。
私とココロさんは部屋にこもり、一緒に漫画を読んだり、話をしたり、菓子を食べたりして、突然やってきたこの休暇を享受した。
できればティティスのやつも呼びたかったのだが、ココロさんいわくティティスは商会の仕事がたまっていて忙しいそうだ。
私という物語にヒロインがいるとすれば、それはココロさんなのではないかと思うくらいに、私は彼女に惹かれていた。
そんな二日間を終えた翌朝、私はまず落胆した。
日も高くなった昼前に爆睡から目覚めると、私の身体から過労と筋肉痛という祝福が消えてしまっていたのである。
さらに昼食の席で、ソウジン殿から第三回戦の開催が2日後であることを伝えられると、もはや遊びほうけている暇はなかった。
「ソウジン殿、今日は暇か?」
「いかにも。そのつもりで空けてある」
「体調が戻った。頼む、稽古を付けてくれ」
「夜ご飯、期待していて下さいねっ。精の付くご飯、ご用意いたしますからっ」
ソウジン殿とココロさんに感謝して、私は再び稽古という名の日常に帰った。
屋敷の人間は、私を竜将大会に勝たせるために、全力のサポートをしてくれていた。
「けどこうしてっとさ、なんかソウジン殿が俺の師匠みてぇだな」
「イーラジュ様には遠く及ばぬ」
「いや、師範としてはイーラジュ様より優れてねぇか? あのジジィは次元が違い過ぎて、あんま参考にならねぇ……」
「それがわかっただけでも成長というもの」
ソウジン殿は私の成長を認めてくれていた。
「イーラジュ様は山だ。近付けば近付くほどに、山は巨大となって立ちはだかる」
「そうだな。だが遠くない将来、俺がその山を乗り越える!」
「ふん……やってみせろ」
手紙をでんぷん糊で繋ぐような頭脳筋ではあるが、ソウジン殿は優れた師範役だった。
私とソウジン殿は時を忘れて稽古に打ち込んだ。
・
空が夕焼けで燃え上がる頃、私たちの訓練は中断された。
「お稽古中すみません。実はあの……、かなり変わった雰囲気の女性が、訪ねてきているのですが……」
ココロさんが何やらとても困った様子で道場にやってきた。
「追い払え……」
「いやそうもいかねぇだろ、ソウジン殿」
「大事な時だ、居留守を使え」
「こんだけガンガン打ち合ってんのに居留守なんて使えるかっ!」
ソウジン殿は剛胆で頼れる男ではあるのだが、時々その剛胆さが行き過ぎて、全身社会不適合者人間となるところが玉にきずである。
「クルシュさんに会いたいそうです……」
「俺に?」
「え、ええ……ただ、なんだか、その……。失礼ながら私の目から見ても、ちょっと……。怪しいんです、そのお客様……」
ココロさんにまで怪しいと言われる女性か。
それはそれで興味深いな。
「私を訪ねてくれる女性なんて、ティティスの他にいないはずなのですが……。わかりました、会ってみます」
「あ、では、応接間でお待ち下さい。中にお通ししますので」
「はい、よろしくお願いします」
私は外廊下に出て応接間に移り、そこにある洋イスで来客を待った。
応接間は異文化の客人を迎えることも想定してか、ちゃぶ台ではなく洋テーブル、畳ではなくフローリングの内装になっている。
しかし思い当たらない。
私の知り合いに不審者などいなかったはずだ。
「こちらへどうぞ。中でクルシュ様がお待ちです」
もうきたようだ。
私はイスから立ち上がり、礼儀を尽くすつもりで客人を迎えた。
ただ、その客人は……。
「え、えへ……。ど、どうもぉ……っ、え、えへっ、えへっへっへっ……こ、こんにちわぁぁー……」
ココロさんが困り果てるのも納得の不審者だった。
なんとも一言では説明したがたい姿形なのだが、あえて一言で言うなればそれは、【社会性の欠如が瓶底メガネとボロ着をまとっているかのような女性】だった。
嫌でも目に付いたのはその衣類で、彼女のシャツとズボンはあられもなく破け、大穴が空き、絵の具が染み着いて七色に彩られている。
そこまでなら無頓着な芸術家に見えなくもないのだが、彼女の青い髪には白いふけが点々と浮いていた……。
「ど、どうも……。私がクルシュと申しま――うっ!?」
極め付きは体臭だ……。
その女性は非常に皮脂臭く、少なく見積もっても10日は風呂に入っていない独特のスメルを放っていた……。
「あ、あのっ、あのあのっ、あの……あのですねっ!? お、おらっ、おらクルシュ様にぃ……っっ!!」
「は、はいっ、私にですかっ?!」
私には人をあれこれと区別する趣味はない。
姿形や体臭が他の人と少し異なるからといって、仲間外れにするのは真の社会人とは言えないだろう……。
「おらっっ、おら勇気を出してっっ、クルシュ様にお礼を言いにきただぁよぉぉーーっっ!!」
「お礼、ですか……? それは、意外な……んぐっ?!」
だが、近くに寄られるとこれは強烈だ……。
なぜ、ココロさんはこの女性を、門前払いにしなかったのだろうか……?
私は彼女の姿形からその答えを探った。
「クルシュ様はおらの救世主だっ!! クルシュ様、大会でっ、おらの絵巻っ、オススメして下さっただっ!!」
わかったのはその女性が、歯を磨く習慣すら持ち合わせていないということだった……。
彼女の口からはどぶ川の香りがした……。
「それでなっ、それでおらの絵巻がなぁっっ?!」
だが、絵巻だと……?
「在庫全部はけたってっ、問屋さんがなーっ、言ってなぁーっ、だ、大重版かかったんべぇよーっっ!!?」
私はココロさんに目を向けた。
ココロさんも口をあんぐりと空けて驚いていた。
まさかこの女性が、私たちが愛する青騎士物語の作者その人なのだろうか……?
自分を作者だと思い込んでいる異常者に見えなくもない、完璧に社会性が抜け落ちた漫画家が私たちの前に立っていた。
医者には過労と極度の筋肉痛と診断され、せっかくの訓練の機会を失ってしまった。
しかしそのおかげで、私はまた少しココロさんと仲良くなれたような気がする。
ココロさんはその日からずっと、私の側に張り付いてお世話をしてくれた。
こればかりはイーラジュ様も文句を言わなかった。
私とココロさんは部屋にこもり、一緒に漫画を読んだり、話をしたり、菓子を食べたりして、突然やってきたこの休暇を享受した。
できればティティスのやつも呼びたかったのだが、ココロさんいわくティティスは商会の仕事がたまっていて忙しいそうだ。
私という物語にヒロインがいるとすれば、それはココロさんなのではないかと思うくらいに、私は彼女に惹かれていた。
そんな二日間を終えた翌朝、私はまず落胆した。
日も高くなった昼前に爆睡から目覚めると、私の身体から過労と筋肉痛という祝福が消えてしまっていたのである。
さらに昼食の席で、ソウジン殿から第三回戦の開催が2日後であることを伝えられると、もはや遊びほうけている暇はなかった。
「ソウジン殿、今日は暇か?」
「いかにも。そのつもりで空けてある」
「体調が戻った。頼む、稽古を付けてくれ」
「夜ご飯、期待していて下さいねっ。精の付くご飯、ご用意いたしますからっ」
ソウジン殿とココロさんに感謝して、私は再び稽古という名の日常に帰った。
屋敷の人間は、私を竜将大会に勝たせるために、全力のサポートをしてくれていた。
「けどこうしてっとさ、なんかソウジン殿が俺の師匠みてぇだな」
「イーラジュ様には遠く及ばぬ」
「いや、師範としてはイーラジュ様より優れてねぇか? あのジジィは次元が違い過ぎて、あんま参考にならねぇ……」
「それがわかっただけでも成長というもの」
ソウジン殿は私の成長を認めてくれていた。
「イーラジュ様は山だ。近付けば近付くほどに、山は巨大となって立ちはだかる」
「そうだな。だが遠くない将来、俺がその山を乗り越える!」
「ふん……やってみせろ」
手紙をでんぷん糊で繋ぐような頭脳筋ではあるが、ソウジン殿は優れた師範役だった。
私とソウジン殿は時を忘れて稽古に打ち込んだ。
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空が夕焼けで燃え上がる頃、私たちの訓練は中断された。
「お稽古中すみません。実はあの……、かなり変わった雰囲気の女性が、訪ねてきているのですが……」
ココロさんが何やらとても困った様子で道場にやってきた。
「追い払え……」
「いやそうもいかねぇだろ、ソウジン殿」
「大事な時だ、居留守を使え」
「こんだけガンガン打ち合ってんのに居留守なんて使えるかっ!」
ソウジン殿は剛胆で頼れる男ではあるのだが、時々その剛胆さが行き過ぎて、全身社会不適合者人間となるところが玉にきずである。
「クルシュさんに会いたいそうです……」
「俺に?」
「え、ええ……ただ、なんだか、その……。失礼ながら私の目から見ても、ちょっと……。怪しいんです、そのお客様……」
ココロさんにまで怪しいと言われる女性か。
それはそれで興味深いな。
「私を訪ねてくれる女性なんて、ティティスの他にいないはずなのですが……。わかりました、会ってみます」
「あ、では、応接間でお待ち下さい。中にお通ししますので」
「はい、よろしくお願いします」
私は外廊下に出て応接間に移り、そこにある洋イスで来客を待った。
応接間は異文化の客人を迎えることも想定してか、ちゃぶ台ではなく洋テーブル、畳ではなくフローリングの内装になっている。
しかし思い当たらない。
私の知り合いに不審者などいなかったはずだ。
「こちらへどうぞ。中でクルシュ様がお待ちです」
もうきたようだ。
私はイスから立ち上がり、礼儀を尽くすつもりで客人を迎えた。
ただ、その客人は……。
「え、えへ……。ど、どうもぉ……っ、え、えへっ、えへっへっへっ……こ、こんにちわぁぁー……」
ココロさんが困り果てるのも納得の不審者だった。
なんとも一言では説明したがたい姿形なのだが、あえて一言で言うなればそれは、【社会性の欠如が瓶底メガネとボロ着をまとっているかのような女性】だった。
嫌でも目に付いたのはその衣類で、彼女のシャツとズボンはあられもなく破け、大穴が空き、絵の具が染み着いて七色に彩られている。
そこまでなら無頓着な芸術家に見えなくもないのだが、彼女の青い髪には白いふけが点々と浮いていた……。
「ど、どうも……。私がクルシュと申しま――うっ!?」
極め付きは体臭だ……。
その女性は非常に皮脂臭く、少なく見積もっても10日は風呂に入っていない独特のスメルを放っていた……。
「あ、あのっ、あのあのっ、あの……あのですねっ!? お、おらっ、おらクルシュ様にぃ……っっ!!」
「は、はいっ、私にですかっ?!」
私には人をあれこれと区別する趣味はない。
姿形や体臭が他の人と少し異なるからといって、仲間外れにするのは真の社会人とは言えないだろう……。
「おらっっ、おら勇気を出してっっ、クルシュ様にお礼を言いにきただぁよぉぉーーっっ!!」
「お礼、ですか……? それは、意外な……んぐっ?!」
だが、近くに寄られるとこれは強烈だ……。
なぜ、ココロさんはこの女性を、門前払いにしなかったのだろうか……?
私は彼女の姿形からその答えを探った。
「クルシュ様はおらの救世主だっ!! クルシュ様、大会でっ、おらの絵巻っ、オススメして下さっただっ!!」
わかったのはその女性が、歯を磨く習慣すら持ち合わせていないということだった……。
彼女の口からはどぶ川の香りがした……。
「それでなっ、それでおらの絵巻がなぁっっ?!」
だが、絵巻だと……?
「在庫全部はけたってっ、問屋さんがなーっ、言ってなぁーっ、だ、大重版かかったんべぇよーっっ!!?」
私はココロさんに目を向けた。
ココロさんも口をあんぐりと空けて驚いていた。
まさかこの女性が、私たちが愛する青騎士物語の作者その人なのだろうか……?
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