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竜将軍大会第一回戦:至上最強の素人クルシュ VS 棒術王バース
・第一回戦:VS棒術王バース・マルティネス - おじさんはガールフレンドを手に入れた -
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竜将大会第一戦、バース・マルティネスとの対戦の日がやってきた。
俺は今回応援にきてくれることになったティティスとココロさんと、満員の大闘技場を訪れた。
「竜将大会を特等席で見れるなんて、クルシュと友達で得しちゃった!」
「大商会のお嬢様がよく言うぜ」
「ですけどタダですわよ、タダ! タダというところが非常に大事なところのですわっ!」
「ま、わからんでもない、タダは気分がいい」
「そういうことですわ!」
二人のおかげで緊張なんてどこにもなかった。
「このたびは特別な観覧席にお招き下さりありがとうございます。一生懸命、クルシュさんを応援しますね……!」
「はい、本日はココロさんに勝利を捧げてみせましょう」
「ありがとうございます。それにこれなら、クルシュさんの賞金も管理できて、一石二鳥ですねっ」
「え……っっ?!」
「え?」
「あいつにムダ使いさせないように、ってイーラジュ様に言われてんだから、あたしたち」
「余計なことしやがってあのジジィ……ッ」
私はお小遣いの管理ができない小中学生ではない!
まあ金40もの大金を安全に保管する場所など、私にないのも事実なのだが……。
「がんばってね! あんな野蛮なオヤジに負けたらだめだよ!」
「ホームランされるくらいなら、ホームランしてしまって下さい!」
「はい、必ずやホームランしてきます!」
私のガールフレンドたちは私の返事をおかしそうに笑いながら、受付隣の階段から関係者専用の観覧席へと上がっていった。
ああ、ガールフレンド……。
おお、なんと美しい響きだろうか……。
転生して、よかった……。
感激の涙に鼻をすすると、私は受付にサファイアの埋め込まれたあのコインを見せた。
「はい、クルシュ様ですね。西控え室にどうぞ」
受付に感謝して西控え室に向かった。
控え室の前には守衛が立っており、私を見ると彼は中に通してくれた。
控え室のイスには先客がいた。
黒髪をオールバックにした男が、私を見つけるとハグをしたそうに両手を広げてこちらにやってきた。
そういう趣味はないので遠慮した。
「待っていたわ、ミスター!」
「ミ、ミスター……?」
「どうぞ初めまして。あちしは実況・解説のアーツ・モーリーという者よ。ちょっとだけ、取材いいかしら?」
「こ、濃いな、なんとなく……」
なぜかはわからないが、彼は私にウインクを飛ばした。
「ごめんなさいねぇ、64選手もいるとどいつがどんな感じなのか、把握しきれなくて」
「それはそうだろな」
「あちしね、この大会に出場した理由を知りたいの。ミスターはどうして、この竜将大会に出場したのかしら?」
「最強になるためだ」
別に珍しくもない返しだ。
モーリーは淡々とメモに筆を滑らせた。
「そう。一月前まではド素人だったと聞いているけど、それは本当?」
「ああ、本当だぜ。俺は最強の男になるために、遠方ククルクルスからキョウにきた」
「聖帝様に叶えてほしい願いは何? あ、言いたくないならいいのよ、ミスター」
「願いなんてない。優勝するために参加した」
「グッド! なかなかいい実況ができそうよ!」
「そりゃよかった」
「では行きましょ、ミスター!」
「……どこへ?」
「観客という満天の星きらめく試合会場へ! 試合開始までなんと、あと、15秒!」
モーリーは私に銀の腕時計を見せてくれた。
そう、それは小さくておしゃれな腕時計だった。
「聖帝様から貰ったの。あちしがそそっかしいからって」
時計の針が針が0を示した。
すると控え室の東にある大扉が重い音を立てて外側から開かれてゆく。
「さあ、観客席のお客様がお待ちよ。ミスター・ルーキー、今日は盛り上げてちょうだいよね?」
「任せろ、あの勘違いベースボーラーに賭けてる連中に泡吹かせてやる」
白くまぶしい大闘技場の舞台に踏み込むと、モーリーは言った。
オッズはバースが1.05倍で、クルシュが18倍。
穴党たちが逆張りしているだけで、誰もルーキーが勝つとは本気で思っていない。
俺は今回応援にきてくれることになったティティスとココロさんと、満員の大闘技場を訪れた。
「竜将大会を特等席で見れるなんて、クルシュと友達で得しちゃった!」
「大商会のお嬢様がよく言うぜ」
「ですけどタダですわよ、タダ! タダというところが非常に大事なところのですわっ!」
「ま、わからんでもない、タダは気分がいい」
「そういうことですわ!」
二人のおかげで緊張なんてどこにもなかった。
「このたびは特別な観覧席にお招き下さりありがとうございます。一生懸命、クルシュさんを応援しますね……!」
「はい、本日はココロさんに勝利を捧げてみせましょう」
「ありがとうございます。それにこれなら、クルシュさんの賞金も管理できて、一石二鳥ですねっ」
「え……っっ?!」
「え?」
「あいつにムダ使いさせないように、ってイーラジュ様に言われてんだから、あたしたち」
「余計なことしやがってあのジジィ……ッ」
私はお小遣いの管理ができない小中学生ではない!
まあ金40もの大金を安全に保管する場所など、私にないのも事実なのだが……。
「がんばってね! あんな野蛮なオヤジに負けたらだめだよ!」
「ホームランされるくらいなら、ホームランしてしまって下さい!」
「はい、必ずやホームランしてきます!」
私のガールフレンドたちは私の返事をおかしそうに笑いながら、受付隣の階段から関係者専用の観覧席へと上がっていった。
ああ、ガールフレンド……。
おお、なんと美しい響きだろうか……。
転生して、よかった……。
感激の涙に鼻をすすると、私は受付にサファイアの埋め込まれたあのコインを見せた。
「はい、クルシュ様ですね。西控え室にどうぞ」
受付に感謝して西控え室に向かった。
控え室の前には守衛が立っており、私を見ると彼は中に通してくれた。
控え室のイスには先客がいた。
黒髪をオールバックにした男が、私を見つけるとハグをしたそうに両手を広げてこちらにやってきた。
そういう趣味はないので遠慮した。
「待っていたわ、ミスター!」
「ミ、ミスター……?」
「どうぞ初めまして。あちしは実況・解説のアーツ・モーリーという者よ。ちょっとだけ、取材いいかしら?」
「こ、濃いな、なんとなく……」
なぜかはわからないが、彼は私にウインクを飛ばした。
「ごめんなさいねぇ、64選手もいるとどいつがどんな感じなのか、把握しきれなくて」
「それはそうだろな」
「あちしね、この大会に出場した理由を知りたいの。ミスターはどうして、この竜将大会に出場したのかしら?」
「最強になるためだ」
別に珍しくもない返しだ。
モーリーは淡々とメモに筆を滑らせた。
「そう。一月前まではド素人だったと聞いているけど、それは本当?」
「ああ、本当だぜ。俺は最強の男になるために、遠方ククルクルスからキョウにきた」
「聖帝様に叶えてほしい願いは何? あ、言いたくないならいいのよ、ミスター」
「願いなんてない。優勝するために参加した」
「グッド! なかなかいい実況ができそうよ!」
「そりゃよかった」
「では行きましょ、ミスター!」
「……どこへ?」
「観客という満天の星きらめく試合会場へ! 試合開始までなんと、あと、15秒!」
モーリーは私に銀の腕時計を見せてくれた。
そう、それは小さくておしゃれな腕時計だった。
「聖帝様から貰ったの。あちしがそそっかしいからって」
時計の針が針が0を示した。
すると控え室の東にある大扉が重い音を立てて外側から開かれてゆく。
「さあ、観客席のお客様がお待ちよ。ミスター・ルーキー、今日は盛り上げてちょうだいよね?」
「任せろ、あの勘違いベースボーラーに賭けてる連中に泡吹かせてやる」
白くまぶしい大闘技場の舞台に踏み込むと、モーリーは言った。
オッズはバースが1.05倍で、クルシュが18倍。
穴党たちが逆張りしているだけで、誰もルーキーが勝つとは本気で思っていない。
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