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竜将大会予選:ソコノネの迷宮編
・大会予選:ソコノネの迷宮 - 麻痺から始まるオーバーラン -
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「あらー、おっきな荷物しょってるわねー♪」
「そこで拾ったんだ。ぬ……?」
チェックポイントではキョウコさんが待っていた。
しかし私は格好良くたどり着く前に、今さら膝を突いていた。
「あらあら、何か悪い物でも食べたー?」
「身体が、なんか、動……いや、痺れ……う……っ」
「あらあら、困ったわー……、どうしましょー……」
「あれ……あれって、本当、に、痺れ、毒……う、うが……っ」
身体が動くような、動かないような、どちらにしろこれでは、これ以上の前進は難しい……。
「これってー、緊急事態よねー……?」
「どう見ても……っ、そう、だろ、が……っ」
マイペースにしたって限度がある……。
いいから、助けてくれ、キョウコさん……。
「大会規定には違反してしまうけど、しょうがないものねー……」
私は今、助けた女に潰されそうになっていた。
「痛い痛いのー、飛んでけー♪ ディスパララーイズ♪」
ところが気の抜けるようなおまじないの声がすると、青白く神々しい光が私たちを包んだ。
とたんに、全身の痺れがスッと引いていった。
「ふぅ……っ、生きた心地がしなかったよ……。ありがとう」
私の呼吸を阻害する彼女が背中から跳ねるようにのいた。
私の身体からも不快な痺れが消えていた。
「これは、魔法、なのか……?」
「そうよー♪ お姉さん、こういう白っぽい魔法が得意なのー♪」
「黒ウサギなのに?」
「それを言うのはー、貴方が百人目よーっ♪」
だったら白ウサギになればいいのに。
私は身を起こして、キョウコさんではなくもう1人の女性の姿を確かめた。
彼女は白く美しい不思議なショートボウを得物とする、華やかな布鎧をまとった弓戦士だった。
「魔法弓使いのナルギスだ。危ないところを助けてくれてありがとう、感謝しているよ」
「魔法弓、使い……?」
「魔法で生み出した弓を使うから、魔法弓使いさ」
「魔法か……」
どういう原理なのだろう。
振れもせずに光だけで毒を身体から除去するなんて、こんなことがあり得るのだろうか。
「ところで行かなくてもいいのかい?」
「あっ!」
キョウコさんのゆるいノリのせいで忘れていた。
私は今、予選中の身だった。
「事態の説明はボクがする。君は先に行くといい」
「……わかった、遠慮せずに行かせてもらう。俺に大金を賭けてるバカがいるんだ」
ナルギスはいわゆるカッコイイ女性だった。
ナルギスが突き出した拳に拳を重ねて、私は彼女たちに背を向けた。
「がんばってねー♪ あ、キョウコさんが治したのはー、秘密にしてちょうだいねー?」
「わかってる! ありがとう、キョウコさん! それよりスタンプを頼む!」
キョウコさんにスタンプを押してもらって、私は次の階層を目指した。
・
「ではボクもそろそろ行くよ」
「あらー、その必要はー、別にないかもー?」
「ん……? それって、どういうことだい?」
「だって二人ともー、もう予選突破ライン、越えているんだものぉー♪」
「…………なら、なぜ彼を先に行かせた? もっとしっかりお礼がしたかったのに……」
「なんでかしらー、なぜかしらねー?」
「ボクに聞かれても困るよ」
「しいて言うならー、若くて熱いからかしらねー? 私が止めても貴方は行くのね……っ。みたいなー?」
「つまり、わざと行かせたのか?」
「そうねー、そういう面もあるかしらー♪」
「貴女も人が悪いな……」
「うふふー、キョウコさんはー、悪いキョウコさんなのでーす♪」
「ボクたちからしたら貴女は救いの女神様だよ」
「あらお上手♪ 一杯どーう?」
「いただくよ」
「……うーん、それにしても、やっぱり変なのよねぇ?」
「変? 変とは?」
「ギリギリの戦いが俺を強くする系? みたいなー? あの子、何かが変なのよー……」
「……よくわからない。だが、確かに変な男だったな。貴女の次に」
「あらやだー、本当にお上手♪」
私は制限時間が尽きる最後まで、ソコノネの迷宮がもたらす万華鏡のような世界を駆け抜けた。
「そこで拾ったんだ。ぬ……?」
チェックポイントではキョウコさんが待っていた。
しかし私は格好良くたどり着く前に、今さら膝を突いていた。
「あらあら、何か悪い物でも食べたー?」
「身体が、なんか、動……いや、痺れ……う……っ」
「あらあら、困ったわー……、どうしましょー……」
「あれ……あれって、本当、に、痺れ、毒……う、うが……っ」
身体が動くような、動かないような、どちらにしろこれでは、これ以上の前進は難しい……。
「これってー、緊急事態よねー……?」
「どう見ても……っ、そう、だろ、が……っ」
マイペースにしたって限度がある……。
いいから、助けてくれ、キョウコさん……。
「大会規定には違反してしまうけど、しょうがないものねー……」
私は今、助けた女に潰されそうになっていた。
「痛い痛いのー、飛んでけー♪ ディスパララーイズ♪」
ところが気の抜けるようなおまじないの声がすると、青白く神々しい光が私たちを包んだ。
とたんに、全身の痺れがスッと引いていった。
「ふぅ……っ、生きた心地がしなかったよ……。ありがとう」
私の呼吸を阻害する彼女が背中から跳ねるようにのいた。
私の身体からも不快な痺れが消えていた。
「これは、魔法、なのか……?」
「そうよー♪ お姉さん、こういう白っぽい魔法が得意なのー♪」
「黒ウサギなのに?」
「それを言うのはー、貴方が百人目よーっ♪」
だったら白ウサギになればいいのに。
私は身を起こして、キョウコさんではなくもう1人の女性の姿を確かめた。
彼女は白く美しい不思議なショートボウを得物とする、華やかな布鎧をまとった弓戦士だった。
「魔法弓使いのナルギスだ。危ないところを助けてくれてありがとう、感謝しているよ」
「魔法弓、使い……?」
「魔法で生み出した弓を使うから、魔法弓使いさ」
「魔法か……」
どういう原理なのだろう。
振れもせずに光だけで毒を身体から除去するなんて、こんなことがあり得るのだろうか。
「ところで行かなくてもいいのかい?」
「あっ!」
キョウコさんのゆるいノリのせいで忘れていた。
私は今、予選中の身だった。
「事態の説明はボクがする。君は先に行くといい」
「……わかった、遠慮せずに行かせてもらう。俺に大金を賭けてるバカがいるんだ」
ナルギスはいわゆるカッコイイ女性だった。
ナルギスが突き出した拳に拳を重ねて、私は彼女たちに背を向けた。
「がんばってねー♪ あ、キョウコさんが治したのはー、秘密にしてちょうだいねー?」
「わかってる! ありがとう、キョウコさん! それよりスタンプを頼む!」
キョウコさんにスタンプを押してもらって、私は次の階層を目指した。
・
「ではボクもそろそろ行くよ」
「あらー、その必要はー、別にないかもー?」
「ん……? それって、どういうことだい?」
「だって二人ともー、もう予選突破ライン、越えているんだものぉー♪」
「…………なら、なぜ彼を先に行かせた? もっとしっかりお礼がしたかったのに……」
「なんでかしらー、なぜかしらねー?」
「ボクに聞かれても困るよ」
「しいて言うならー、若くて熱いからかしらねー? 私が止めても貴方は行くのね……っ。みたいなー?」
「つまり、わざと行かせたのか?」
「そうねー、そういう面もあるかしらー♪」
「貴女も人が悪いな……」
「うふふー、キョウコさんはー、悪いキョウコさんなのでーす♪」
「ボクたちからしたら貴女は救いの女神様だよ」
「あらお上手♪ 一杯どーう?」
「いただくよ」
「……うーん、それにしても、やっぱり変なのよねぇ?」
「変? 変とは?」
「ギリギリの戦いが俺を強くする系? みたいなー? あの子、何かが変なのよー……」
「……よくわからない。だが、確かに変な男だったな。貴女の次に」
「あらやだー、本当にお上手♪」
私は制限時間が尽きる最後まで、ソコノネの迷宮がもたらす万華鏡のような世界を駆け抜けた。
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