上 下
57 / 69
mission 2 オーリオーンの暗闇

・飛竜ファフナと第二次イチャラブデート - 軽蔑して止まない変態極まる最低最悪の許されざる方法 -

しおりを挟む
「先に俺の部屋に行ってて」
「わ、わかった……そなたを待つ……」

 ファフナさんの聞き分けがよくて助かった。
 店のお兄さんに聞くと、ママは厨房にいるというので中に入った。

 銀色のボウルの中に絞り器に入ったクリームが3本も用意され、ママが残った物をつまみ食いをしながら待ってくれていた。

「無理を言ってごめんね、ママ」
「ああ、それはこっちのセリフさ」

「え、それ、どういうこと?」
「ガルガンチュアさ……。アイツはねぇ……あの姿だと、本当にどうしようもないのさ……」

「あの姿……?」

 そのままの意味か、比喩表現か、ちょっとわからなかった。

「あのバカ犬には別の顔があるのさ」
「んん……? 本当は、コーギーじゃないってことですか……?」

「あっはっはっ、惜しいけどハズレだよ。さ、彼女のところに行きな。あんまりファフナを泣かせるんじゃないよ」
「大丈夫だよ、俺はただ、教わった通りにするだけだから」

 俺はコギ仙人を信じる。
 オーリオーンの闇計画を確実に成功させるには、そんじゃそこらのぬるいエッチじゃダメなんだ。

「そうかい、ならアタイは後で尻を蹴飛ばしておくよ」
「それ、虐待……」

「早く行きなっ、ほらっ!」

 ママがボウルを叩くので、俺はそれを持って自分の部屋の前に戻った。

「おおっ、遅いぞ、パルヴァス……ッ。なかなかこないから、不安になったではないか……」

 ノックしたら中から足音がした。
 普段剛胆なファフナさんが中からかんぬきをかけていた。

「ごめん、ちょっと打ち合わせがあって」
「よい、我も覚悟を決めた……。我はザナームの仲間のためなら、どんなことも受け止めて、見せ――――ぇ…………?」

 扉が開かれた。
 ファフナさんの目がボウルの中の絞り器に落ちて、そのまま目玉ごと体が動かなくなった。

 間をおいて、恐る恐るといった様子で、その視線が俺を見下ろした。
 上からなのに卑屈そうな目だった。

「パルヴァス……それは……なんだ……? 猛烈かつ痛烈に、嫌な予感が、するのだが……」
「これ? 生クリームだけど?」

「なぜ……それが、ここにある……?」
「これをファフナさんの胸に盛り付けるためだよ」

 ファフナさんは呆然とした。
 急に言葉がわからなくなってしまったかのように、ただただぼんやりと俺を見ていた。
 目の焦点が合ってなさそうだった。

「そしてその胸を吸うんだ。ファフナさんの生還と、ザナーム騎士団の勝利のために」

 俺に迷いはない。
 相手が本気だと悟ると、ファフナさんの顔が青ざめていった。

「ファフナさんには本当に申し訳ないけど、俺はこのエッチを完遂する。誰かが戦死して心を痛めるくらいなら、どんな恥ずかしいことだってやってのけてみせるよ」

 気持ちを彼女の叩き付けた。
 するとファフナさんの口元がヒクついた。

「ク、クク、クククク……そうか、これもまた、ガルガンチュアの甘言だな……?」
「うん、コギ仙人に教わった」

「そうか……今、我は理解したぞ……」
「本当?」

「ああ……あの下着ドロを生かしておいたのは、我の大いなる失策であった……。殺してやる……殺してやるぞ、ガルガンチュア……ッッ」
「いい人なのに……」

「下着ドロに善人などいないっっ!!」

 俺は唇に手を当てて少し考えた。
 この際コギ仙人はどうでもいい。
 教わった通りの行為を、どうやってファフナさんに実行するかが問題だ。

「ファフナさん、裸になってあそこに横たわって」
「するわけなかろうバカ者めぇぇっっ!!」

「ダメ?」
「無理だっ、そんなことしたら心臓が止まって死んでしまうわっ!!」

「でも世界を救うにはこれが必要なんだ」
「グァッ、ガルガンチュアアアアアアア!!!!」

 この調子ではお願いを聞いてもらえそうになさそうだ。
 このままでは宿から飛び出し、コギ仙人の殺戮に走りかねなかった。

 ファフナさんの強化はできませんでした。
 そんな報告をミルディンさんにするわけにはいかない。
 ファフナさんの身を最も案じているのは、他でもないミルディンさんだ。

「仕方ない……できれば、使いたくなかったのだけど……」

 俺はベッドサイドのチェストに寄って、引き出しから白銀の輝く鱗を取り出した。
 これで嫌われようとも致し方ない。

 ファフナさんの生還のためなら、俺は鬼畜の卑怯者にだってなれる。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話

矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」 「あら、いいのかしら」 夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……? 微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。 ※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。 ※小説家になろうでも同内容で投稿しています。 ※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

金貨1,000万枚貯まったので勇者辞めてハーレム作ってスローライフ送ります!!

夕凪五月雨影法師
ファンタジー
AIイラストあり! 追放された世界最強の勇者が、ハーレムの女の子たちと自由気ままなスローライフを送る、ちょっとエッチでハートフルな異世界ラブコメディ!! 国内最強の勇者パーティを率いる勇者ユーリが、突然の引退を宣言した。 幼い頃に神託を受けて勇者に選ばれて以来、寝る間も惜しんで人々を助け続けてきたユーリ。 彼はもう限界だったのだ。 「これからは好きな時に寝て、好きな時に食べて、好きな時に好きな子とエッチしてやる!! ハーレム作ってやるーーーー!!」 そんな発言に愛想を尽かし、パーティメンバーは彼の元から去っていくが……。 その引退の裏には、世界をも巻き込む大規模な陰謀が隠されていた。 その陰謀によって、ユーリは勇者引退を余儀なくされ、全てを失った……。 かのように思われた。 「はい、じゃあ僕もう勇者じゃないから、こっからは好きにやらせて貰うね」 勇者としての条約や規約に縛られていた彼は、力をセーブしたまま活動を強いられていたのだ。 本来の力を取り戻した彼は、その強大な魔力と、金貨1,000万枚にものを言わせ、好き勝手に人々を救い、気ままに高難度ダンジョンを攻略し、そして自身をざまぁした巨大な陰謀に立ち向かっていく!! 基本的には、金持ちで最強の勇者が、ハーレムの女の子たちとまったりするだけのスローライフコメディです。 異世界版の光源氏のようなストーリーです! ……やっぱりちょっと違います笑 また、AIイラストは初心者ですので、あくまでも小説のおまけ程度に考えていただければ……(震え声)

分析スキルで美少女たちの恥ずかしい秘密が見えちゃう異世界生活

SenY
ファンタジー
"分析"スキルを持って異世界に転生した主人公は、相手の力量を正確に見極めて勝てる相手にだけ確実に勝つスタイルで短期間に一財を為すことに成功する。 クエスト報酬で豪邸を手に入れたはいいものの一人で暮らすには広すぎると悩んでいた主人公。そんな彼が友人の勧めで奴隷市場を訪れ、記憶喪失の美少女奴隷ルナを購入したことから、物語は動き始める。 これまで危ない敵から逃げたり弱そうな敵をボコるのにばかり"分析"を活用していた主人公が、そのスキルを美少女の恥ずかしい秘密を覗くことにも使い始めるちょっとエッチなハーレム系ラブコメ。

性奴隷を飼ったのに

お小遣い月3万
ファンタジー
10年前に俺は日本から異世界に転移して来た。 異世界に転移して来たばかりの頃、辿り着いた冒険者ギルドで勇者認定されて、魔王を討伐したら家族の元に帰れるのかな、っと思って必死になって魔王を討伐したけど、日本には帰れなかった。 異世界に来てから10年の月日が流れてしまった。俺は魔王討伐の報酬として特別公爵になっていた。ちなみに領地も貰っている。 自分の領地では奴隷は禁止していた。 奴隷を売買している商人がいるというタレコミがあって、俺は出向いた。 そして1人の奴隷少女と出会った。 彼女は、お風呂にも入れられていなくて、道路に落ちている軍手のように汚かった。 彼女は幼いエルフだった。 それに魔力が使えないように処理されていた。 そんな彼女を故郷に帰すためにエルフの村へ連れて行った。 でもエルフの村は魔力が使えない少女を引き取ってくれなかった。それどころか魔力が無いエルフは処分する掟になっているらしい。 俺の所有物であるなら彼女は処分しない、と村長が言うから俺はエルフの女の子を飼うことになった。 孤児になった魔力も無いエルフの女の子。年齢は14歳。 エルフの女の子を見捨てるなんて出来なかった。だから、この世界で彼女が生きていけるように育成することに決めた。 ※エルフの少女以外にもヒロインは登場する予定でございます。 ※帰る場所を無くした女の子が、美しくて強い女性に成長する物語です。

俺のスキル『性行為』がセクハラ扱いで追放されたけど、実は最強の魔王対策でした

宮富タマジ
ファンタジー
アレンのスキルはたった一つ、『性行為』。職業は『愛の剣士』で、勇者パーティの中で唯一の男性だった。 聖都ラヴィリス王国から新たな魔王討伐任務を受けたパーティは、女勇者イリスを中心に数々の魔物を倒してきたが、突如アレンのスキル名が原因で不穏な空気が漂い始める。 「アレン、あなたのスキル『性行為』について、少し話したいことがあるの」 イリスが深刻な顔で切り出した。イリスはラベンダー色の髪を少し掻き上げ、他の女性メンバーに視線を向ける。彼女たちは皆、少なからず戸惑った表情を浮かべていた。 「……どうしたんだ、イリス?」 アレンのスキル『性行為』は、女性の愛の力を取り込み、戦闘中の力として変えることができるものだった。 だがその名の通り、スキル発動には女性の『愛』、それもかなりの性的な刺激が必要で、アレンのスキルをフルに発揮するためには、女性たちとの特別な愛の共有が必要だった。 そんなアレンが周りから違和感を抱かれることは、本人も薄々感じてはいた。 「あなたのスキル、なんだか、少し不快感を覚えるようになってきたのよ」 女勇者イリスが口にした言葉に、アレンの眉がぴくりと動く。

処理中です...