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mission 2 オーリオーンの暗闇
・私にもディバインシールドして下さい
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「あ……いい歳したおばさんが、何やっているのだろう、キンモー……などと、思いました……?」
「ううん、そんなことはないけど……でも……」
「でも……?」
「なんでここにいるのっっ?!!!」
真っ先にママの顔が浮かんだ。
これ、ママも共犯だ!
ママはこのことを知っていたから、さっきシルバを引きつけたんだ!
「はい、説明すると長くなるのですが……」
「え、長くなるんだ……」
ミルディンさんの顔が掛け布団の中からニョキリと生えてきた。
ミルディンさんは手を頭上に上げて、星屑のような明かりの魔法をそこに生み出した。
それがいかがわしいピンク色でなければ、俺は幻想的な光景に目を奪われていただろう……。
「長い夜と短い夜、どちらがお好みでしょうか……?」
「もう眠いし、短い方で」
「はい、では簡潔に申し上げます」
もしかして次の作戦がらみだろうか。
つい先日、ミルディンさんはレイクナス王国の国家転覆を果たしたところだ。
シルバはミルディンさんの陰謀とは言わなかったけど、こんなことができる人は他にいない。
次はどんなえげつない作戦を始めるつもりなのやら、俺はミルディンさんの言葉を身構えながら待った。
「ずるいです……」
「へ……?」
まるで子供がすねるような言いぶりだった。
「ファフナばっかり、ずるいです……。私にも、ディバインシールドして下さい……」
ミルディンさんは布団で目から下を隠したまま、瞳で不平不満を訴えてきた。
その姿は500年以上を生きる大先輩にはとても見えなかった。
えっと、要するにこれって、夜這い、なの……?
「ねぇ、ミルディンさん。俺の国でクーデターが起きたみたいなんだけど、その背後にいたのって……」
「はい、黒幕は私です、すみません」
ミルディンさんはそう自白しながら掛け布団を目元まで上げた。
「あっさり自白するんだね……」
「少しでも同胞の被害を減らせるなら、私……なんだってする覚悟ですので……」
天使の生まれ変わりみたいにかわいいのに、恐ろしい人もいたものだった。
ミルディンさんはかわいい。
本当にかわいい。
それが夜這いをかけてきて、ディバインシールドしてと要求している。
そうとらえ直すとなんか、気持ちが無性にソワソワとしてきた……。
「オーリオーンの闇……」
「……え?」
「次の計画、オーリオーンの闇の実現には、私自らが外交活動を行う必要があります……」
いったいどんな計画なのだろう。
闇とはまた不穏だった。
「直接の外交活動……。つまり、ミルディンさんがオルヴァールの外に出て、人間の国と会談を行うってこと……?」
「はい、パンタグリュエルでは、先方のお城を踏み潰してしまいますので……」
「あ、だからディバインシールドが必要なんだね……!」
そうならそうと最初に言ってくれたらいいのに、どうしてこんなに回りくどいやり方をするのだろう。
「はい、そうです。それに……」
「他にも理由があるの?」
「はい……実は、とても大切な訳が……」
「なんだろう? ミルディンさんは参謀なんだから、あまり危ないことは――」
その時、ミルディンさんの顔が布団から飛び出してきた!
「ファフナばかりずるいですっ! 私の魅力はエロコーギー以下ですかっ!? 私のお尻には、発情しませんかっ、どうなのですかっ!?」
「え、ええええーっっ?!」
何を、言っているのかな、この人……。
絶対に口にはできないけど、ミルディンさ
んのお尻は小さくてかわいい。
興味がないと言えば嘘になる。
いやどちらにしろ、無敵のバリアー・ディバインシールドLV500なしで会談に行かせるわけにはいかなかった。
「わかった、ミルディンさんにも同じことをするよ」
「え……っ?!!」
「え?」
「あ、いえ……な、なんでも、なんでもありません……」
して、と言ってきたのはそっちなのに、ミルディンさんはまた目から上だけ残して布団に潜ってしまった。
なんかやりにくい……。
ベッドに忍び込んできたのはあっちなのに、こっちが悪いことをしているような気分になる。
「ど……どうぞ……」
「その状態で、どうぞと言われても……」
ミルディンさんは怯えながら、貝のように布団へ引きこもっている。
「どうぞ……っ、どうぞ一思いに介錯を! 介錯をお願いします……っっ!」
何を言っているのかわからない。
けどとにかくやれと言うので、俺はミルディンさんと同じ深さまで布団にもぐった。
そんなに恥ずかしいなら止めればいいのに、ミルディンさんは固く目をつぶってしまった。
「ううん、そんなことはないけど……でも……」
「でも……?」
「なんでここにいるのっっ?!!!」
真っ先にママの顔が浮かんだ。
これ、ママも共犯だ!
ママはこのことを知っていたから、さっきシルバを引きつけたんだ!
「はい、説明すると長くなるのですが……」
「え、長くなるんだ……」
ミルディンさんの顔が掛け布団の中からニョキリと生えてきた。
ミルディンさんは手を頭上に上げて、星屑のような明かりの魔法をそこに生み出した。
それがいかがわしいピンク色でなければ、俺は幻想的な光景に目を奪われていただろう……。
「長い夜と短い夜、どちらがお好みでしょうか……?」
「もう眠いし、短い方で」
「はい、では簡潔に申し上げます」
もしかして次の作戦がらみだろうか。
つい先日、ミルディンさんはレイクナス王国の国家転覆を果たしたところだ。
シルバはミルディンさんの陰謀とは言わなかったけど、こんなことができる人は他にいない。
次はどんなえげつない作戦を始めるつもりなのやら、俺はミルディンさんの言葉を身構えながら待った。
「ずるいです……」
「へ……?」
まるで子供がすねるような言いぶりだった。
「ファフナばっかり、ずるいです……。私にも、ディバインシールドして下さい……」
ミルディンさんは布団で目から下を隠したまま、瞳で不平不満を訴えてきた。
その姿は500年以上を生きる大先輩にはとても見えなかった。
えっと、要するにこれって、夜這い、なの……?
「ねぇ、ミルディンさん。俺の国でクーデターが起きたみたいなんだけど、その背後にいたのって……」
「はい、黒幕は私です、すみません」
ミルディンさんはそう自白しながら掛け布団を目元まで上げた。
「あっさり自白するんだね……」
「少しでも同胞の被害を減らせるなら、私……なんだってする覚悟ですので……」
天使の生まれ変わりみたいにかわいいのに、恐ろしい人もいたものだった。
ミルディンさんはかわいい。
本当にかわいい。
それが夜這いをかけてきて、ディバインシールドしてと要求している。
そうとらえ直すとなんか、気持ちが無性にソワソワとしてきた……。
「オーリオーンの闇……」
「……え?」
「次の計画、オーリオーンの闇の実現には、私自らが外交活動を行う必要があります……」
いったいどんな計画なのだろう。
闇とはまた不穏だった。
「直接の外交活動……。つまり、ミルディンさんがオルヴァールの外に出て、人間の国と会談を行うってこと……?」
「はい、パンタグリュエルでは、先方のお城を踏み潰してしまいますので……」
「あ、だからディバインシールドが必要なんだね……!」
そうならそうと最初に言ってくれたらいいのに、どうしてこんなに回りくどいやり方をするのだろう。
「はい、そうです。それに……」
「他にも理由があるの?」
「はい……実は、とても大切な訳が……」
「なんだろう? ミルディンさんは参謀なんだから、あまり危ないことは――」
その時、ミルディンさんの顔が布団から飛び出してきた!
「ファフナばかりずるいですっ! 私の魅力はエロコーギー以下ですかっ!? 私のお尻には、発情しませんかっ、どうなのですかっ!?」
「え、ええええーっっ?!」
何を、言っているのかな、この人……。
絶対に口にはできないけど、ミルディンさ
んのお尻は小さくてかわいい。
興味がないと言えば嘘になる。
いやどちらにしろ、無敵のバリアー・ディバインシールドLV500なしで会談に行かせるわけにはいかなかった。
「わかった、ミルディンさんにも同じことをするよ」
「え……っ?!!」
「え?」
「あ、いえ……な、なんでも、なんでもありません……」
して、と言ってきたのはそっちなのに、ミルディンさんはまた目から上だけ残して布団に潜ってしまった。
なんかやりにくい……。
ベッドに忍び込んできたのはあっちなのに、こっちが悪いことをしているような気分になる。
「ど……どうぞ……」
「その状態で、どうぞと言われても……」
ミルディンさんは怯えながら、貝のように布団へ引きこもっている。
「どうぞ……っ、どうぞ一思いに介錯を! 介錯をお願いします……っっ!」
何を言っているのかわからない。
けどとにかくやれと言うので、俺はミルディンさんと同じ深さまで布団にもぐった。
そんなに恥ずかしいなら止めればいいのに、ミルディンさんは固く目をつぶってしまった。
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