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マレニア在籍二年目、一学期
・開拓省のジュリオ、青爪の塔のトマス - 遙か彼方 -
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五月下旬、夕飯に誘われた。
一日の教練を終えた俺は入浴をカラスの行水で済ませ、青のトラムに乗り込み、バロック邸を訪ねた。
「あっ、グレイッ、いらっしゃい!」
呼び鈴を鳴らすと玄関からトマスが出て来た。
「よう、学者の衣がキマってるな」
「ありがとう、自分でも気に入ってるんだ!」
それは質のいい絹の衣で、トマスは自慢するようにクルリと回る。
イザヤ卒業後もトマスは立派な合法ショタだった。
「ジュリオは?」
「中でシチュー作ってるよ」
「ん……いつもの家政婦さんは?」
「今日は無し。次官も今日は遅いって」
「おお、なら今日は羽目を外せるな。酒でも買って来るか?」
「僕たちまだ未成年だってば……」
トマスと並んでバロック邸に入った。
厨房を訪ねると本当にジュリオがかまどの前に立っていた。
「ジュリオ、僕お腹空いちゃった」
「後は皿に盛るだけだよ。いらっしゃい、グレイ、今日は僕の手料理を食べて帰ってもらうよ」
料理まで出来るのか、このイケメンは……。
俺にはエプロン姿のジュリオが、こちらにやさしく微笑んでいるように見えた。
「大事な話があるって、お前ら言ってなかったか?」
「それはそれ、これはこれだよ。すぐに運ぶから食堂で待っていて」
「だってせっかくグレイと会うんだから、楽しまないと損じゃないか!」
「それもそうか。わかった、あっちで待ってる」
トマスはジュリオを手伝うようだ。
俺は男3人で厨房にひしめきたくなかったので、バロック家の食堂に移った。
少し待つと、イケメンとかわいい合法ショタが笑顔で料理を運んで来て、俺を少し複雑な気分にさせた。
こうしているとなんか、BL漫画の世界に迷い込んだような気分になるというか……。
どちらも顔がいいのに彼女がいないところが謎だった。
「それ、グレイに言われたくない」
「ふふ、僕も同感だね」
その疑問を口にしてみると、向こうも同じことを思っていたらしい。
「俺はリチェルの伴侶が見つかるまで、彼女なんてものはいらん」
「グレイだしそう言うと思ったよ」
「僕らも僕らで、今は仕事の方が楽しくてね。女性に時間を奪われるなんてお断りかな」
コイツ、本当にノンケなんだよな……?
色恋よりも友情と夢を優先するところが、相変わらずのジュリオだった。
「研究で手一杯なのは本当だけど、僕は欲しいよ? でも僕、背も低いし、顔は子供っぽいし、半分諦めてる……」
「いやお前はお前で、かなり需要があると思うが」
イケメンのビーフシチューと、イケメンのオニオンサラダと、イケメンの温野菜に、イケメンが仕入れたパンをかじりながら、俺は友人たちとの食事を楽しんだ。
男同士、全く気を使うことのない間柄で、どうでもいいことを語り合った。
「ちょっと喋り過ぎちゃったね。そろそろ本題、聞く?」
「聞かせてくれ。これはなんのための集まりなんだ?」
「うん、実は。ジュリオの開拓省と、うちの青爪の塔で、共同調査をすることになったんだ」
「それを俺に手伝えと?」
「護衛として君を雇いたい。君なら手が空いているだろう?」
詳細はまだわからないが面白そうな話だった。
一緒にまた活動出来るというのだから、断る理由なんてない。
「喜んで手伝おう。2人の頼みなら、たとえ皆勤賞を逃すことになっても参加する」
「よかったーっ、これ、2日がかりの調査なんだよーっ!」
「まさか国外にでも行くのか……?」
「ああ、ある意味で国外かもしれない」
「遠回しな言い方をするな、目的地はどこだ?」
「未攻略領域の遙か彼方さ」
一日の教練を終えた俺は入浴をカラスの行水で済ませ、青のトラムに乗り込み、バロック邸を訪ねた。
「あっ、グレイッ、いらっしゃい!」
呼び鈴を鳴らすと玄関からトマスが出て来た。
「よう、学者の衣がキマってるな」
「ありがとう、自分でも気に入ってるんだ!」
それは質のいい絹の衣で、トマスは自慢するようにクルリと回る。
イザヤ卒業後もトマスは立派な合法ショタだった。
「ジュリオは?」
「中でシチュー作ってるよ」
「ん……いつもの家政婦さんは?」
「今日は無し。次官も今日は遅いって」
「おお、なら今日は羽目を外せるな。酒でも買って来るか?」
「僕たちまだ未成年だってば……」
トマスと並んでバロック邸に入った。
厨房を訪ねると本当にジュリオがかまどの前に立っていた。
「ジュリオ、僕お腹空いちゃった」
「後は皿に盛るだけだよ。いらっしゃい、グレイ、今日は僕の手料理を食べて帰ってもらうよ」
料理まで出来るのか、このイケメンは……。
俺にはエプロン姿のジュリオが、こちらにやさしく微笑んでいるように見えた。
「大事な話があるって、お前ら言ってなかったか?」
「それはそれ、これはこれだよ。すぐに運ぶから食堂で待っていて」
「だってせっかくグレイと会うんだから、楽しまないと損じゃないか!」
「それもそうか。わかった、あっちで待ってる」
トマスはジュリオを手伝うようだ。
俺は男3人で厨房にひしめきたくなかったので、バロック家の食堂に移った。
少し待つと、イケメンとかわいい合法ショタが笑顔で料理を運んで来て、俺を少し複雑な気分にさせた。
こうしているとなんか、BL漫画の世界に迷い込んだような気分になるというか……。
どちらも顔がいいのに彼女がいないところが謎だった。
「それ、グレイに言われたくない」
「ふふ、僕も同感だね」
その疑問を口にしてみると、向こうも同じことを思っていたらしい。
「俺はリチェルの伴侶が見つかるまで、彼女なんてものはいらん」
「グレイだしそう言うと思ったよ」
「僕らも僕らで、今は仕事の方が楽しくてね。女性に時間を奪われるなんてお断りかな」
コイツ、本当にノンケなんだよな……?
色恋よりも友情と夢を優先するところが、相変わらずのジュリオだった。
「研究で手一杯なのは本当だけど、僕は欲しいよ? でも僕、背も低いし、顔は子供っぽいし、半分諦めてる……」
「いやお前はお前で、かなり需要があると思うが」
イケメンのビーフシチューと、イケメンのオニオンサラダと、イケメンの温野菜に、イケメンが仕入れたパンをかじりながら、俺は友人たちとの食事を楽しんだ。
男同士、全く気を使うことのない間柄で、どうでもいいことを語り合った。
「ちょっと喋り過ぎちゃったね。そろそろ本題、聞く?」
「聞かせてくれ。これはなんのための集まりなんだ?」
「うん、実は。ジュリオの開拓省と、うちの青爪の塔で、共同調査をすることになったんだ」
「それを俺に手伝えと?」
「護衛として君を雇いたい。君なら手が空いているだろう?」
詳細はまだわからないが面白そうな話だった。
一緒にまた活動出来るというのだから、断る理由なんてない。
「喜んで手伝おう。2人の頼みなら、たとえ皆勤賞を逃すことになっても参加する」
「よかったーっ、これ、2日がかりの調査なんだよーっ!」
「まさか国外にでも行くのか……?」
「ああ、ある意味で国外かもしれない」
「遠回しな言い方をするな、目的地はどこだ?」
「未攻略領域の遙か彼方さ」
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