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マレニア在籍二年目、一学期
・『ハラペ家の野望』烈風伝 - ハラペ家へようこそ -
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ハラペ子爵領に着いた。
トラムを降りて駅舎を出るなり早々に、俺はある疑問を抱いた。
「貧乏領主の土地って割に、なんか駅前に活気があるな……」
「この辺りは農園が多いんですの」
「ならなんでお前の実家は困窮している?」
「前に少し話しましたが、ハラペ家は貧しさのあまり、土地を全て売り払ってしまいましたの……」
ああ、そういえば土地なし貴族だと、そう言っていたな。
時刻はもう昼頃。
3時間ほどもトラムに揺られていたことになる。
「今は誰が土地を持ってるんだ?」
「商人たちですわ……。彼らは契約農夫をかき集めて、農園を経営してますの……」
「両親に会う前にもう少し詳しく知りたい」
「気乗りしませんが、わかりましたわ……。ハラペ家の没落の歴史、とくと聞くといいですわ……」
道を歩きながらコーデリアに詳しい話を聞いた。
ハラペ家の不幸の始まりは水源の枯渇だ。
15年ほど前、頼りにしていた湖が枯れ始め、やがて水かさが激減し、濁った沼に変わってしまった。
そのためハラペ家とその近隣領主は出資して、水源を持つ領主の土地とここを用水路で繋いだ。
「あれは用水路が完成して、民が種まきを終えた矢先のことでしたわ……。突然、取水権を3倍の料金にすると言われましたの……」
「そりゃ最低だな」
ハラペ家はその法外な料金を払い続けた。
するといつの間にか、土地も事業も屋敷も何もかも売り払っていたという。
「今でも透き通った水を得るために、隣接する未攻略領域に入り込んで、行方不明になる民もいますの……」
「水源があるのか」
そう聞くと、コーデリアは足を止めてこちらに振り返った。
「ええ、ですけど危険なモンスターだけの土地です……。だから水を引くことも叶いませんの……」
「なるほど」
コーデリアはそこから歩き出さない。
この辺りは住宅街のようで、彼女の背には小さな二階建ての家が建っている。
いや家と呼ぶよりも、二階建ての小屋と呼ぶ方が正しいかもしれない。
「着きましたわ……ハラペ家へようこそ、オルヴィン様……」
「そうか、着いたか、では紹介してくれ」
コーデリアの人生はなかなかに壮絶だな……。
コーデリアは小屋――いや、ここは名誉のために実家と呼ぼう。
彼女は実家に帰り、俺は軒先にて話が付くのを待った。
「中へどうぞ、オルヴィン様……」
「そのよそよそしい呼び方は止めてくれ」
「お父様とお母様の前ではお許し下さい」
コーデリア・ハラペはかつてこう言っていた。
ハラペ家は腐っても貴族であると。
「まさか、そっちがお前の素だったりしないよな?」
「そんなのもうわかりませんわ」
俺はハラペ家を訪ね、コーデリアの両親に会った。
トラムを降りて駅舎を出るなり早々に、俺はある疑問を抱いた。
「貧乏領主の土地って割に、なんか駅前に活気があるな……」
「この辺りは農園が多いんですの」
「ならなんでお前の実家は困窮している?」
「前に少し話しましたが、ハラペ家は貧しさのあまり、土地を全て売り払ってしまいましたの……」
ああ、そういえば土地なし貴族だと、そう言っていたな。
時刻はもう昼頃。
3時間ほどもトラムに揺られていたことになる。
「今は誰が土地を持ってるんだ?」
「商人たちですわ……。彼らは契約農夫をかき集めて、農園を経営してますの……」
「両親に会う前にもう少し詳しく知りたい」
「気乗りしませんが、わかりましたわ……。ハラペ家の没落の歴史、とくと聞くといいですわ……」
道を歩きながらコーデリアに詳しい話を聞いた。
ハラペ家の不幸の始まりは水源の枯渇だ。
15年ほど前、頼りにしていた湖が枯れ始め、やがて水かさが激減し、濁った沼に変わってしまった。
そのためハラペ家とその近隣領主は出資して、水源を持つ領主の土地とここを用水路で繋いだ。
「あれは用水路が完成して、民が種まきを終えた矢先のことでしたわ……。突然、取水権を3倍の料金にすると言われましたの……」
「そりゃ最低だな」
ハラペ家はその法外な料金を払い続けた。
するといつの間にか、土地も事業も屋敷も何もかも売り払っていたという。
「今でも透き通った水を得るために、隣接する未攻略領域に入り込んで、行方不明になる民もいますの……」
「水源があるのか」
そう聞くと、コーデリアは足を止めてこちらに振り返った。
「ええ、ですけど危険なモンスターだけの土地です……。だから水を引くことも叶いませんの……」
「なるほど」
コーデリアはそこから歩き出さない。
この辺りは住宅街のようで、彼女の背には小さな二階建ての家が建っている。
いや家と呼ぶよりも、二階建ての小屋と呼ぶ方が正しいかもしれない。
「着きましたわ……ハラペ家へようこそ、オルヴィン様……」
「そうか、着いたか、では紹介してくれ」
コーデリアの人生はなかなかに壮絶だな……。
コーデリアは小屋――いや、ここは名誉のために実家と呼ぼう。
彼女は実家に帰り、俺は軒先にて話が付くのを待った。
「中へどうぞ、オルヴィン様……」
「そのよそよそしい呼び方は止めてくれ」
「お父様とお母様の前ではお許し下さい」
コーデリア・ハラペはかつてこう言っていた。
ハラペ家は腐っても貴族であると。
「まさか、そっちがお前の素だったりしないよな?」
「そんなのもうわかりませんわ」
俺はハラペ家を訪ね、コーデリアの両親に会った。
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