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マレニア在籍二年目、一学期
・2年生代表グレイボーンの入学式 - 座学は二度寝の時間 -
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座学はためにはなるが退屈だ。
モンスターの弱点や傾向、急所、習性を知っていれば将来大きく役立つのはわかるのだが、退屈なものは退屈だ。
「起きろ、お前らっ! 座学は二度寝の時間じゃねーと、何度言ったらわかるんだっ!」
ここの座学は生徒たちの物覚えが悪いこと前提で成り立っている。
そのため同じ内容を期間ごとに2度反復して教えるのだが、それが退屈さに拍車をかけてしまってもいる。
教育熱心なクルト教官は不満を訴えるが、ここマレニアにおける座学の立ち位置というものは、ためになる二度寝の時間と言って差し支えなかった。
1日の最初の授業で体力を使っていては、この後の授業で身体がもたないのもある。
なのでクルト教官も、無理に眠っている生徒を起こそうとはしなかった。
「グレイボーン、そろそろ入学式の時間だ、行け。……だがくれぐれも、新入生相手にバカをさらさないでくれよ……?」
「いつも寝ないでやってる俺に、そりゃないだろ、教官」
席を立つとリチェルも立ち上がって隣に寄ってきた。
「お兄ちゃん、ここのボタン、外れてるよ?」
「それは外れてるんじゃなくて外してるんだ」
「ダメだよーっ、新入生のみんな、お兄ちゃんに憧れてるんだよーっ!?」
「ああ、正気とは思えん」
妹に世話をされる兄の姿に、退屈していたクラスメイトたちが私語を始めた。
「よく出来た妹よねー」
リチェルへの賞賛はいくらでも受け付ける。
「グレイボーンは世話してるつもりだけどさ、なんか最近、逆だよなー?」
「てかアイツを1人で行かせて大丈夫か……? またやらかすんじゃ……」
「あははっ、講堂にたどり着けなかったりして!」
だがなんて失礼なやつらだ。
さすがの俺も学内では迷子になったりしないっての。
「確かにあり得る……。リチェルくん、グレイボーンと一緒に入学式に出席してくれないか?」
って教官、お前もか……。
「いいのーっ!? お友達、入学するからっ、リチェルも行きたいですっ!」
「ああ、用務員のあの子のことか。では頼んだぞ。くれぐれもグレイボーンから目を離さないでくれよ?」
「はいっ! お兄ちゃんっ、レーティアちゃんの入学式、見に行こっ!」
扱いに不満はあるがこれはこれで面白い。
俺はリチェルに引率されながら教室を出て、マレニアの講堂に向かった。
廊下に出て鋭い耳を澄ませてみると、どこの学年、クラスでも居眠りの寝息が絶えない。
薄暗い本校舎から出ると、外はまぶしいほどに天気が良く、春らしく清々しい日差しが降り注いでいた。
「ピィィーッ!」
空ではヒバリが力強く鳴いて――いや、違った。
あの空飛ぶ高速の白いふわふわは、うちの飛竜リボンちゃんだった。
「ゲフッッッ?!!」
それが急降下爆撃機のような軌道で急落下して来て、その後、垂直飛行で俺の胸に体当たりをしかけるのも、もはや日常となっていた。
「リボンちゃん! リボンちゃんもね、レーティアちゃんの入学式、見たいって言ってたんだよー!」
「そ、そうか……っ、なら、お前も、ついてくるか……?」
リボンに悪気はない。
リボンからすれば、大好きなパパの胸に飛び込んだだけだ……。
もしも俺が一般パパだったら、今頃は肋骨を骨折されられていただろう。
「ピィ……ッ♪ クルルックルルルルッ♪」
「そうだな、何言ってるのかわからんが、とにかくテンション上がってめでたい」
半年の間に少し重くなったリボンを抱いて、俺は入学式が行われている講堂に入った。
モンスターの弱点や傾向、急所、習性を知っていれば将来大きく役立つのはわかるのだが、退屈なものは退屈だ。
「起きろ、お前らっ! 座学は二度寝の時間じゃねーと、何度言ったらわかるんだっ!」
ここの座学は生徒たちの物覚えが悪いこと前提で成り立っている。
そのため同じ内容を期間ごとに2度反復して教えるのだが、それが退屈さに拍車をかけてしまってもいる。
教育熱心なクルト教官は不満を訴えるが、ここマレニアにおける座学の立ち位置というものは、ためになる二度寝の時間と言って差し支えなかった。
1日の最初の授業で体力を使っていては、この後の授業で身体がもたないのもある。
なのでクルト教官も、無理に眠っている生徒を起こそうとはしなかった。
「グレイボーン、そろそろ入学式の時間だ、行け。……だがくれぐれも、新入生相手にバカをさらさないでくれよ……?」
「いつも寝ないでやってる俺に、そりゃないだろ、教官」
席を立つとリチェルも立ち上がって隣に寄ってきた。
「お兄ちゃん、ここのボタン、外れてるよ?」
「それは外れてるんじゃなくて外してるんだ」
「ダメだよーっ、新入生のみんな、お兄ちゃんに憧れてるんだよーっ!?」
「ああ、正気とは思えん」
妹に世話をされる兄の姿に、退屈していたクラスメイトたちが私語を始めた。
「よく出来た妹よねー」
リチェルへの賞賛はいくらでも受け付ける。
「グレイボーンは世話してるつもりだけどさ、なんか最近、逆だよなー?」
「てかアイツを1人で行かせて大丈夫か……? またやらかすんじゃ……」
「あははっ、講堂にたどり着けなかったりして!」
だがなんて失礼なやつらだ。
さすがの俺も学内では迷子になったりしないっての。
「確かにあり得る……。リチェルくん、グレイボーンと一緒に入学式に出席してくれないか?」
って教官、お前もか……。
「いいのーっ!? お友達、入学するからっ、リチェルも行きたいですっ!」
「ああ、用務員のあの子のことか。では頼んだぞ。くれぐれもグレイボーンから目を離さないでくれよ?」
「はいっ! お兄ちゃんっ、レーティアちゃんの入学式、見に行こっ!」
扱いに不満はあるがこれはこれで面白い。
俺はリチェルに引率されながら教室を出て、マレニアの講堂に向かった。
廊下に出て鋭い耳を澄ませてみると、どこの学年、クラスでも居眠りの寝息が絶えない。
薄暗い本校舎から出ると、外はまぶしいほどに天気が良く、春らしく清々しい日差しが降り注いでいた。
「ピィィーッ!」
空ではヒバリが力強く鳴いて――いや、違った。
あの空飛ぶ高速の白いふわふわは、うちの飛竜リボンちゃんだった。
「ゲフッッッ?!!」
それが急降下爆撃機のような軌道で急落下して来て、その後、垂直飛行で俺の胸に体当たりをしかけるのも、もはや日常となっていた。
「リボンちゃん! リボンちゃんもね、レーティアちゃんの入学式、見たいって言ってたんだよー!」
「そ、そうか……っ、なら、お前も、ついてくるか……?」
リボンに悪気はない。
リボンからすれば、大好きなパパの胸に飛び込んだだけだ……。
もしも俺が一般パパだったら、今頃は肋骨を骨折されられていただろう。
「ピィ……ッ♪ クルルックルルルルッ♪」
「そうだな、何言ってるのかわからんが、とにかくテンション上がってめでたい」
半年の間に少し重くなったリボンを抱いて、俺は入学式が行われている講堂に入った。
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