57 / 57
・ドラゴンズ・ティアラ第一章 偽典となりてここに終幕する
しおりを挟む
7月21日――
1日遅れの終業式を迎えた俺は、教室で解散するなり食堂を訪れた。
魔界での約87時間は、こちらでの24時間ほどだった。
こちらの世界の人たちからすれば、カテドラルごと魔法学院が消滅したことになる。
当然大騒ぎとなり、昨日は終業式どころではなかった。
「なんだい、アンタかい! あっちでは世話になったね! 特別におまけしてあげるよ!」
「ふっふっふっ……その前にこれを見ろっ、食堂のお姉さんっ!」
「ひかえろぉぃ、ひかえろぉぃ!」
『ぽいんぽいん』と跳ねるまおー様が俺の学生証をお姉さんに見せた。
そこには『学生ランクA』とある。そう、この学生証があれば、憧れのAランクのランチが食べられるのだ!!
「あっはっはっはっ、もちろん聞いてるよ! 恩賞ですぐにAランクにしてもらったんだってねぇ! 謙虚じゃないかい、見直したよ!」
「みんな戦ったんだ、あんま欲張るとまた陰口が増えちまう。……それに、お姉さんの美味しいご飯が食べたかったんだ」
「そうかいそうかい。ん……そうだね、なら今度うちの家で食事でもどうだい? ごちそうしてあげるよ」
「すまん、それは遠慮する」
「そう言わないで来なよ。取って食おうってんじゃないからさ……? ね……? ああもうっ、いいから来なっ、良いねっ!?」
「か……考えておく……」
今日のAランクのランチは、牛フィレ肉のワイン煮と、ふわふわのバターたっぷりのデニッシュパン、トマトと赤タマネギのマリネに、デザートにホイップの乗ったメロンが付く。
「おにくー、おにくー、さいこーだぜー。がんばって、よかったなー、しもべー」
「おう、こりゃ美味過ぎるぜっ! Dランクの飯もまあ美味かったが、満足感が違うな……」
まおー様を突っつきながら最高のランチを平らげた。
最後に残したのは当然、トマトのマリネだ。
そのマリネの前に俺はくすんだ青色の石を置く。
「それ、なんですか?」
「ヴァレリーッ、姿を消すならメメに一言言うのが礼儀でしゅよっ!!」
するとそこにいつもの2人がやって来た。
どうやら探してくれていたようだ。
「すまん、どうしてもここのAランクが今すぐ食いたくて」
「どんだけ食い意地張っとるでしゅかっ!!」
俺は石の前で両手を重ねて軽く祈った。
それから赤々としたトマトのマリネをフォークで刺し、生タマネギと一緒に口へ運んだ。
「美味い……美味過ぎるぜ、ネルヴァ」
「えっ、ネルヴァ、様……?」
「おう、コレ、ネルヴァ」
フォークで叩くと、ネルヴァの癖にガラス質の綺麗な音がした。
「ああ、そんな、ヴァー様……。お兄様を殺めてしまった罪悪感で、お心が……」
「壊れてねーよ、拾ったんだよ、あの後」
あの後、裏世界でこれを拾った。
場所は時計塔マップ付近。バグ・フラグメントとはならず、本来の姿を取っていた。
俺はミシェーラ皇女たちの前で、青い石にアイデンティファイをかけて、その正体を明かしてやった。
―――――――――――――――――――――
【名称】ネルヴァ・Vの核
【区分】錬成アイテム
【効果】錬成でネルヴァ・Vが誕生?
【解説】忠誠心ゼロ、要・服従化推奨
どんな姿になるかは触媒次第
―――――――――――――――――――――
つくづく運のないやつだ。
ネルヴァはボスモンスターと融合しため、錬成アイテムである核が残るようになってしまったようだ。
それをまさか、憎しみ合っていた弟に拾われるとか、マジついてねーな、コイツ。
「へへへ、何に創り替えてやろうかなぁ……? バッタ? ヒキガエル? タコ? カブトムシ? ロバ? カメムシ? うーん、迷う……」
フォークで何度もチンチン鳴らしてやった。
「悪魔がいるでしゅ……」
「へっへっへーっ、こきつかってもー、こころ、いたまねー、わく? みてーなー?」
「おう、そういうことだよな。やさしくされるくらいなら、こき使われる方が喜ぶよな、アイツ、プライドくそたけーし」
ネルヴァの前で俺はまおー様とトマトのマリネをシェアした。
お前が食べたくても食べられなかった憧れのAランチだぞ、ネルヴァ、羨ましかろう。
「ドン引きでしゅ……」
「でしたら、かわいい猫ちゃんにされてはどうでしょう……?」
「ま、それはそれで面白そうだな。ゆっくり考えるとするよ」
最後のマリネをまおー様にあげて完食した。過去最高に優雅なランチだった。これ以上の満足度のランチをこの先食べられるかもわからないほどの、過去最高級の味わいだった。
「それでヴァー様、夏休みのご予定は?」
「聞くまでもない。真っ白だ」
「でしたら私と、メメは抜きで――」
「それはまかり通りることなきにごじゃりましゅ、姫様」
ミシェーラ皇女は子供みたいに唇を突き出して、メメさんと見つめ合う。
こうして見るとどっちが姉貴分なのかわからない。
「残念ながらメメ込みで、私と夏のバカンスでもいかがでしょうか?」
「貧乏なのは知ってるでしゅ。予算はこちらで持ってやるでしゅよ、ありがたく思うでしゅ!」
「そういうことですので、夏休みは私たちと、どこか遠くに遊びに行きませんか……?」
「それ、俺なんかで良いのか?」
「はい! ヴァー様の他に候補は居ません! ヴァー様が行かないなら、私も寮に残ります!」
「そうか、なら行くしかないな。一緒に遊びに行こう、ミシェーラッ! メメさんっ!」
2章は夏休み編。
ミシェーラ皇女に主人公が誘われる形で始まる。
原作【ドラゴンズ・ティアラ】で描かれた最高に刺激的な夏が、乗っ取りを果たした俺を主人公にして始まろうとしていた。
俺はネルヴァだったものを乱雑にポケットへ突っ込むと、ミシェーラ皇女たちとこれからの予定を立てるために旅行本を求め、図書館へと歩き出した。
食べ物の恨みは恐いのだよ、ネルヴァくん。
お前の運命はあの日、俺のトマトをかじった瞬間に決まったのだ。あの仕打ちさえなければ、俺はお前との和解ルートを望んだだろう。
しかしお前は俺のトマトを食った。有罪!
あの日無惨に食われたトマトの仇を討った俺の胸は、魔界帰りに見上げたあの青空よりも晴れやかだった。
ー 偽典ドラゴンズ・ティアラ第一章 終幕 ー
1日遅れの終業式を迎えた俺は、教室で解散するなり食堂を訪れた。
魔界での約87時間は、こちらでの24時間ほどだった。
こちらの世界の人たちからすれば、カテドラルごと魔法学院が消滅したことになる。
当然大騒ぎとなり、昨日は終業式どころではなかった。
「なんだい、アンタかい! あっちでは世話になったね! 特別におまけしてあげるよ!」
「ふっふっふっ……その前にこれを見ろっ、食堂のお姉さんっ!」
「ひかえろぉぃ、ひかえろぉぃ!」
『ぽいんぽいん』と跳ねるまおー様が俺の学生証をお姉さんに見せた。
そこには『学生ランクA』とある。そう、この学生証があれば、憧れのAランクのランチが食べられるのだ!!
「あっはっはっはっ、もちろん聞いてるよ! 恩賞ですぐにAランクにしてもらったんだってねぇ! 謙虚じゃないかい、見直したよ!」
「みんな戦ったんだ、あんま欲張るとまた陰口が増えちまう。……それに、お姉さんの美味しいご飯が食べたかったんだ」
「そうかいそうかい。ん……そうだね、なら今度うちの家で食事でもどうだい? ごちそうしてあげるよ」
「すまん、それは遠慮する」
「そう言わないで来なよ。取って食おうってんじゃないからさ……? ね……? ああもうっ、いいから来なっ、良いねっ!?」
「か……考えておく……」
今日のAランクのランチは、牛フィレ肉のワイン煮と、ふわふわのバターたっぷりのデニッシュパン、トマトと赤タマネギのマリネに、デザートにホイップの乗ったメロンが付く。
「おにくー、おにくー、さいこーだぜー。がんばって、よかったなー、しもべー」
「おう、こりゃ美味過ぎるぜっ! Dランクの飯もまあ美味かったが、満足感が違うな……」
まおー様を突っつきながら最高のランチを平らげた。
最後に残したのは当然、トマトのマリネだ。
そのマリネの前に俺はくすんだ青色の石を置く。
「それ、なんですか?」
「ヴァレリーッ、姿を消すならメメに一言言うのが礼儀でしゅよっ!!」
するとそこにいつもの2人がやって来た。
どうやら探してくれていたようだ。
「すまん、どうしてもここのAランクが今すぐ食いたくて」
「どんだけ食い意地張っとるでしゅかっ!!」
俺は石の前で両手を重ねて軽く祈った。
それから赤々としたトマトのマリネをフォークで刺し、生タマネギと一緒に口へ運んだ。
「美味い……美味過ぎるぜ、ネルヴァ」
「えっ、ネルヴァ、様……?」
「おう、コレ、ネルヴァ」
フォークで叩くと、ネルヴァの癖にガラス質の綺麗な音がした。
「ああ、そんな、ヴァー様……。お兄様を殺めてしまった罪悪感で、お心が……」
「壊れてねーよ、拾ったんだよ、あの後」
あの後、裏世界でこれを拾った。
場所は時計塔マップ付近。バグ・フラグメントとはならず、本来の姿を取っていた。
俺はミシェーラ皇女たちの前で、青い石にアイデンティファイをかけて、その正体を明かしてやった。
―――――――――――――――――――――
【名称】ネルヴァ・Vの核
【区分】錬成アイテム
【効果】錬成でネルヴァ・Vが誕生?
【解説】忠誠心ゼロ、要・服従化推奨
どんな姿になるかは触媒次第
―――――――――――――――――――――
つくづく運のないやつだ。
ネルヴァはボスモンスターと融合しため、錬成アイテムである核が残るようになってしまったようだ。
それをまさか、憎しみ合っていた弟に拾われるとか、マジついてねーな、コイツ。
「へへへ、何に創り替えてやろうかなぁ……? バッタ? ヒキガエル? タコ? カブトムシ? ロバ? カメムシ? うーん、迷う……」
フォークで何度もチンチン鳴らしてやった。
「悪魔がいるでしゅ……」
「へっへっへーっ、こきつかってもー、こころ、いたまねー、わく? みてーなー?」
「おう、そういうことだよな。やさしくされるくらいなら、こき使われる方が喜ぶよな、アイツ、プライドくそたけーし」
ネルヴァの前で俺はまおー様とトマトのマリネをシェアした。
お前が食べたくても食べられなかった憧れのAランチだぞ、ネルヴァ、羨ましかろう。
「ドン引きでしゅ……」
「でしたら、かわいい猫ちゃんにされてはどうでしょう……?」
「ま、それはそれで面白そうだな。ゆっくり考えるとするよ」
最後のマリネをまおー様にあげて完食した。過去最高に優雅なランチだった。これ以上の満足度のランチをこの先食べられるかもわからないほどの、過去最高級の味わいだった。
「それでヴァー様、夏休みのご予定は?」
「聞くまでもない。真っ白だ」
「でしたら私と、メメは抜きで――」
「それはまかり通りることなきにごじゃりましゅ、姫様」
ミシェーラ皇女は子供みたいに唇を突き出して、メメさんと見つめ合う。
こうして見るとどっちが姉貴分なのかわからない。
「残念ながらメメ込みで、私と夏のバカンスでもいかがでしょうか?」
「貧乏なのは知ってるでしゅ。予算はこちらで持ってやるでしゅよ、ありがたく思うでしゅ!」
「そういうことですので、夏休みは私たちと、どこか遠くに遊びに行きませんか……?」
「それ、俺なんかで良いのか?」
「はい! ヴァー様の他に候補は居ません! ヴァー様が行かないなら、私も寮に残ります!」
「そうか、なら行くしかないな。一緒に遊びに行こう、ミシェーラッ! メメさんっ!」
2章は夏休み編。
ミシェーラ皇女に主人公が誘われる形で始まる。
原作【ドラゴンズ・ティアラ】で描かれた最高に刺激的な夏が、乗っ取りを果たした俺を主人公にして始まろうとしていた。
俺はネルヴァだったものを乱雑にポケットへ突っ込むと、ミシェーラ皇女たちとこれからの予定を立てるために旅行本を求め、図書館へと歩き出した。
食べ物の恨みは恐いのだよ、ネルヴァくん。
お前の運命はあの日、俺のトマトをかじった瞬間に決まったのだ。あの仕打ちさえなければ、俺はお前との和解ルートを望んだだろう。
しかしお前は俺のトマトを食った。有罪!
あの日無惨に食われたトマトの仇を討った俺の胸は、魔界帰りに見上げたあの青空よりも晴れやかだった。
ー 偽典ドラゴンズ・ティアラ第一章 終幕 ー
60
お気に入りに追加
211
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
【祝・追放100回記念】自分を追放した奴らのスキルを全部使えるようになりました!
高見南純平
ファンタジー
最弱ヒーラーのララクは、ついに冒険者パーティーを100回も追放されてしまう。しかし、そこで条件を満たしたことによって新スキルが覚醒!そのスキル内容は【今まで追放してきた冒険者のスキルを使えるようになる】というとんでもスキルだった!
ララクは、他人のスキルを組み合わせて超万能最強冒険者へと成り上がっていく!

召喚学園で始める最強英雄譚~仲間と共に少年は最強へ至る~
さとう
ファンタジー
生まれながらにして身に宿る『召喚獣』を使役する『召喚師』
誰もが持つ召喚獣は、様々な能力を持ったよきパートナーであり、位の高い召喚獣ほど持つ者は強く、憧れの存在である。
辺境貴族リグヴェータ家の末っ子アルフェンの召喚獣は最低も最低、手のひらに乗る小さな『モグラ』だった。アルフェンは、兄や姉からは蔑まれ、両親からは冷遇される生活を送っていた。
だが十五歳になり、高位な召喚獣を宿す幼馴染のフェニアと共に召喚学園の『アースガルズ召喚学園』に通うことになる。
学園でも蔑まれるアルフェン。秀な兄や姉、強くなっていく幼馴染、そしてアルフェンと同じ最底辺の仲間たち。同じレベルの仲間と共に絆を深め、一時の平穏を手に入れる
これは、全てを失う少年が最強の力を手に入れ、学園生活を送る物語。

隠して忘れていたギフト『ステータスカスタム』で能力を魔改造 〜自由自在にカスタマイズしたら有り得ないほど最強になった俺〜
桜井正宗
ファンタジー
能力(スキル)を隠して、その事を忘れていた帝国出身の錬金術師スローンは、無能扱いで大手ギルド『クレセントムーン』を追放された。追放後、隠していた能力を思い出しスキルを習得すると『ステータスカスタム』が発現する。これは、自身や相手のステータスを魔改造【カスタム】できる最強の能力だった。
スローンは、偶然出会った『大聖女フィラ』と共にステータスをいじりまくって最強のステータスを手に入れる。その後、超高難易度のクエストを難なくクリア、無双しまくっていく。その噂が広がると元ギルドから戻って来いと頭を下げられるが、もう遅い。
真の仲間と共にスローンは、各地で暴れ回る。究極のスローライフを手に入れる為に。

外れスキル『収納』がSSS級スキル『亜空間』に成長しました~剣撃も魔法もモンスターも収納できます~
春小麦
ファンタジー
——『収納』という、ただバッグに物をたくさん入れられるだけの外れスキル。
冒険者になることを夢見ていたカイル・ファルグレッドは落胆し、冒険者になることを諦めた。
しかし、ある日ゴブリンに襲われたカイルは、無意識に自身の『収納』スキルを覚醒させる。
パンチや蹴りの衝撃、剣撃や魔法、はたまたドラゴンなど、この世のありとあらゆるものを【アイテムボックス】へ『収納』することができるようになる。
そこから郵便屋を辞めて冒険者へと転向し、もはや外れスキルどころかブッ壊れスキルとなった『収納(亜空間)』を駆使して、仲間と共に最強冒険者を目指していく。

(完結)魔王討伐後にパーティー追放されたFランク魔法剣士は、超レア能力【全スキル】を覚えてゲスすぎる勇者達をザマアしつつ世界を救います
しまうま弁当
ファンタジー
魔王討伐直後にクリードは勇者ライオスからパーティーから出て行けといわれるのだった。クリードはパーティー内ではつねにFランクと呼ばれ戦闘にも参加させてもらえず場美雑言は当たり前でクリードはもう勇者パーティーから出て行きたいと常々考えていたので、いい機会だと思って出て行く事にした。だがラストダンジョンから脱出に必要なリアーの羽はライオス達は分けてくれなかったので、仕方なく一階層づつ上っていく事を決めたのだった。だがなぜか後ろから勇者パーティー内で唯一のヒロインであるミリーが追いかけてきて一緒に脱出しようと言ってくれたのだった。切羽詰まっていると感じたクリードはミリーと一緒に脱出を図ろうとするが、後ろから追いかけてきたメンバーに石にされてしまったのだった。

最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

スキル間違いの『双剣士』~一族の恥だと追放されたが、追放先でスキルが覚醒。気が付いたら最強双剣士に~
きょろ
ファンタジー
この世界では5歳になる全ての者に『スキル』が与えられる――。
洗礼の儀によってスキル『片手剣』を手にしたグリム・レオハートは、王国で最も有名な名家の長男。
レオハート家は代々、女神様より剣の才能を与えられる事が多い剣聖一族であり、グリムの父は王国最強と謳われる程の剣聖であった。
しかし、そんなレオハート家の長男にも関わらずグリムは全く剣の才能が伸びなかった。
スキルを手にしてから早5年――。
「貴様は一族の恥だ。最早息子でも何でもない」
突如そう父に告げられたグリムは、家族からも王国からも追放され、人が寄り付かない辺境の森へと飛ばされてしまった。
森のモンスターに襲われ絶対絶命の危機に陥ったグリム。ふと辺りを見ると、そこには過去に辺境の森に飛ばされたであろう者達の骨が沢山散らばっていた。
それを見つけたグリムは全てを諦め、最後に潔く己の墓を建てたのだった。
「どうせならこの森で1番派手にしようか――」
そこから更に8年――。
18歳になったグリムは何故か辺境の森で最強の『双剣士』となっていた。
「やべ、また力込め過ぎた……。双剣じゃやっぱ強すぎるな。こりゃ1本は飾りで十分だ」
最強となったグリムの所へ、ある日1体の珍しいモンスターが現れた。
そして、このモンスターとの出会いがグレイの運命を大きく動かす事となる――。

ゲーム中盤で死ぬ悪役貴族に転生したので、外れスキル【テイム】を駆使して最強を目指してみた
八又ナガト
ファンタジー
名作恋愛アクションRPG『剣と魔法のシンフォニア』
俺はある日突然、ゲームに登場する悪役貴族、レスト・アルビオンとして転生してしまう。
レストはゲーム中盤で主人公たちに倒され、最期は哀れな死に様を遂げることが決まっている悪役だった。
「まさかよりにもよって、死亡フラグしかない悪役キャラに転生するとは……だが、このまま何もできず殺されるのは御免だ!」
レストの持つスキル【テイム】に特別な力が秘められていることを知っていた俺は、その力を使えば死亡フラグを退けられるのではないかと考えた。
それから俺は前世の知識を総動員し、独自の鍛錬法で【テイム】の力を引き出していく。
「こうして着実に力をつけていけば、ゲームで決められた最期は迎えずに済むはず……いや、もしかしたら最強の座だって狙えるんじゃないか?」
狙いは成功し、俺は驚くべき程の速度で力を身に着けていく。
その結果、やがて俺はラスボスをも超える世界最強の力を獲得し、周囲にはなぜかゲームのメインヒロイン達まで集まってきてしまうのだった――
別サイトでも投稿しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる