上 下
151 / 154
第四章 アーディル十七歳

どうして、こうなったのでしょうか?

しおりを挟む
[フィルディア視点]

「んまあっ!なあんて愛らしいのかしらっ!!」

ただいま王妃様の私室・・にて、絶賛着せ替え人形状態のワタクシ、中央侯侯爵家の長女にして、王太子の婚約者フィルディア・マディア・グランディバルカスと申します。
朝食後から、押しかけてきた王妃様付きの侍女達に護衛騎士諸共かっさらわれてから、ずっとこの状況です。

何故に?

しかもワタクシの身体中に、付けられまくっているアーディ様の痕を見つけては、王妃様と一緒になって、皆様顔を赤らめつつも、キャーキャーと老若関係なくはしゃがれておられます。

何ですの、これ?新手のイジメですか?恥ずかしすぎて死にたい……。

興奮しすぎた王妃様と侍女長なんて、一度席を外されました。貧血で(名目上)……。

かれこれ、陽も高くなっているというのに、まーーったく、ぜーーーんぜっん、終わる気配が見られません。

「アリスも着飾ると可愛らしくて楽しかったけれど、フィルちゃんも違った可愛らしさがあって、宜しいわね♪」

大変麗しいお顔でいらっしゃいますが、ワタクシの顔は作り笑顔で強ばっております。

……というか、お母様も経験者なんですのね。

お母様に至っては、侯爵家のお祖母様。伯爵家のお祖母様に加え、四侯の公爵夫人の方々も加わっていたのではないかと思うと、とりあえず王妃様だけで済んでいる現状は良いのではないかと思えてしまいます。
まあ、我が家の場合は、女の子沢山いるので、負担が分散されるのもあるのでしょうけれど……。

「一旦、お茶にしましょうか♪」

満足。とまではいかれてないようですが、王妃様がにこやかにそう言われて、そのままお茶会です。
ワタクシ担当の護衛騎士の皆さんが、隔離・・されているのは謎です。

「ねえ、フィルちゃん。最近、アーディに困らされていると耳にしたのだけど?」

「っ!?」

思わず口にしたお茶に噎せそうになりましたが、耐えきりました。ええ、耐えましたわ。淑女教育を活かす場面ですもの!

「こんな事を現状許しているとね。ズルズルと嫁いでからも続いてしまってよ?」

にこやかに微笑まれているというのに、何故でしょうか、背後に浮かんで見える黒い気配は……。

「…そういうわけで、フィルちゃんはしばらく私の部屋ここに隠れていましょうね♪」

「は?」

思わず声を上げてしまいましたけど、隠れるとは?

「王妃様。護衛の方々はどうしましょう?こちらに皆様がいらっしゃればバレるのでは?」

「そうね。護衛騎士の方は、私と一緒なのだから不要ね♪侯爵家にはアリスにだけ知らせておきましょうか。それから…」

ワタクシの目の前で、ワタクシそっちのけで話が決まっていきます。

ワタクシ、ナニモワルクナイデスワ。

ですが、かなりの時間こちらにいましたから、アーディは知ってるいるのではないでしょうか?

そう口にしたところ。

「まあ、大丈夫よ!前に使ったフィルちゃんの書き置き。模写の得意な書記官にお願いして、置き手紙を用意させたもの♪」

「…………左様でございますか…」

え?それ、してはいけないのではないでしょうか?

などと思いつつ、最高権力者に反論出来るわけもないので、従いましたけれども。

何度も言いますが、これ、絶対!

ワタクシ、何も悪くないですわ!!





しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【R18】幼馴染な陛下は、わたくしのおっぱいお好きですか?💕

月極まろん
恋愛
 幼なじみの陛下に告白したら、両思いだと分かったので、甘々な毎日になりました。  でも陛下、本当にわたくしに御不満はございませんか?

王女、騎士と結婚させられイかされまくる

ぺこ
恋愛
髪の色と出自から差別されてきた騎士さまにベタ惚れされて愛されまくる王女のお話。 性描写激しめですが、甘々の溺愛です。 ※原文(♡乱舞淫語まみれバージョン)はpixivの方で見られます。

悪役令嬢は王太子の妻~毎日溺愛と狂愛の狭間で~

一ノ瀬 彩音
恋愛
悪役令嬢は王太子の妻になると毎日溺愛と狂愛を捧げられ、 快楽漬けの日々を過ごすことになる! そしてその快感が忘れられなくなった彼女は自ら夫を求めるようになり……!? ※この物語はフィクションです。 R18作品ですので性描写など苦手なお方や未成年のお方はご遠慮下さい。

【R18】義弟ディルドで処女喪失したらブチギレた義弟に襲われました

春瀬湖子
恋愛
伯爵令嬢でありながら魔法研究室の研究員として日々魔道具を作っていたフラヴィの集大成。 大きく反り返り、凶悪なサイズと浮き出る血管。全てが想像以上だったその魔道具、名付けて『大好き義弟パトリスの魔道ディルド』を作り上げたフラヴィは、早速その魔道具でうきうきと処女を散らした。 ――ことがディルドの大元、義弟のパトリスにバレちゃった!? 「その男のどこがいいんですか」 「どこって……おちんちん、かしら」 (だって貴方のモノだもの) そんな会話をした晩、フラヴィの寝室へパトリスが夜這いにやってきて――!? 拗らせ義弟と魔道具で義弟のディルドを作って楽しんでいた義姉の両片想いラブコメです。 ※他サイト様でも公開しております。

【R18】散らされて

月島れいわ
恋愛
風邪を引いて寝ていた夜。 いきなり黒い袋を頭に被せられ四肢を拘束された。 抵抗する間もなく躰を開かされた鞠花。 絶望の果てに待っていたのは更なる絶望だった……

騎士団長の欲望に今日も犯される

シェルビビ
恋愛
 ロレッタは小さい時から前世の記憶がある。元々伯爵令嬢だったが両親が投資話で大失敗し、没落してしまったため今は平民。前世の知識を使ってお金持ちになった結果、一家離散してしまったため前世の知識を使うことをしないと決意した。  就職先は騎士団内の治癒師でいい環境だったが、ルキウスが男に襲われそうになっている時に助けた結果纏わりつかれてうんざりする日々。  ある日、お地蔵様にお願いをした結果ルキウスが全裸に見えてしまった。  しかし、二日目にルキウスが分身して周囲から見えない分身にエッチな事をされる日々が始まった。  無視すればいつかは収まると思っていたが、分身は見えていないと分かると行動が大胆になっていく。  文章を付け足しています。すいません

【完結】お義父様と義弟の溺愛が凄すぎる件

百合蝶
恋愛
お母様の再婚でロバーニ・サクチュアリ伯爵の義娘になったアリサ(8歳)。 そこには2歳年下のアレク(6歳)がいた。 いつもツンツンしていて、愛想が悪いが(実話・・・アリサをーーー。) それに引き替え、ロバーニ義父様はとても、いや異常にアリサに構いたがる! いいんだけど触りすぎ。 お母様も呆れからの憎しみも・・・ 溺愛義父様とツンツンアレクに愛されるアリサ。 デビュタントからアリサを気になる、アイザック殿下が現れーーーーー。 アリサはの気持ちは・・・。

【R18】助けてもらった虎獣人にマーキングされちゃう話

象の居る
恋愛
異世界転移したとたん、魔獣に狙われたユキを助けてくれたムキムキ虎獣人のアラン。襲われた恐怖でアランに縋り、家においてもらったあともズルズル関係している。このまま一緒にいたいけどアランはどう思ってる? セフレなのか悩みつつも関係が壊れるのが怖くて聞けない。飽きられたときのために一人暮らしの住宅事情を調べてたらアランの様子がおかしくなって……。 ベッドの上ではちょっと意地悪なのに肝心なとこはヘタレな虎獣人と、普段はハッキリ言うのに怖がりな人間がお互いの気持ちを確かめ合って結ばれる話です。 ムーンライトノベルズさんにも掲載しています。

処理中です...