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[ラフィン視点]
御影様達との話し合いから、早五年の月日が流れました。
あの後、戻ってくるなり若様は若奥様を連れて、三日三晩閉じこもり、若奥様がご実家にふた月も帰られるという事態が発生しました。あの時の若様ときたら、生きる屍状態でございました。
坊っちゃまとお嬢様様には、誰もいない時に話しかけ、《瞬間移動》の回数を減らしてもらうようにしたり、若様の厄介なスキルを期間限定で《スキル管理》させていただいたり…。
あとは若奥様と私が出産をくり返し、私は現在八人の子の母親。若奥様は多胎が続き、九人のお子様の母親となられました。
二男七女の母です。しかも上の三人は転生者です。ええ。三人目はあの方です。
「オーホッホッホ。今日のおやつはぜぇんぶアタシのものよぉ!」
ライリーナ様もとい、ジェスティーナお嬢様が、木の上から高笑いをされてます。その手には本日のオヤツが入っているだろう箱を抱えていらっしゃいます。
「ずるいぞ、ジェス!独り占めはやめろ!!」
長男のアルヴィン様が木の根元で、上を見上げながら叫ばれる隣には、我が息子トリスタンと、フィルディアお嬢様もいらっしゃいました。
「……ジェス。そんな事ばっかしてると、トリスに嫌われる……。ね、トリス?」
フィルディアお嬢様がトリスタンにそう尋ねると、トリスタンはこくりと頷きます。
「はうっ!」
ジェスティーナ様は胸を押さえると、涙目で慌ててトリスタンの目の前に移動されました。
「トリス、嫌いになった?ジェスのこと、嫌いになっちゃった?」
じーっと無言でジェスティーナ様を見つめた後、トリスタンはにっこりと笑いました。
「大丈夫。お菓子の空箱持って、嬉しそうにしてるジェス様はおバカ過ぎて可愛いよ♪」
「「…………」」
息子の発言にドン引きです。私ばかりかアルヴィン様もフィルディア様もドン引いてます。
「ん?空箱?」
首を傾げる私の袖が引かれ、下を向けば私の次女となったエルディーネ様ーーエルディナが空のお皿を手にしていました。
「…取られる前に抜きました…」
皿の上に手をかざし、《空間収納》からクッキーを取り出します。
そんな毎日の中ーー。
「エヴァン様のバカァッ!しばらく離れて暮らします!!」
若奥様の叫びが敷地内に響き渡りました。
「そんな…。リア、待ってください!リアッ!!」
「離してーっ!!」
若様と若奥様の言い合い。最早、グランディバルガス侯爵家の名物と言うか、恒例行事と言いましょうか……。
疲れた様子のフェリテが姿を見せました。
「……今回は?」
「坊っちゃまの家庭教師が、成績の報告してる時の距離が指二本分近いって……」
若様の《ストーカー》っぷりは距離に関係なく発動してます。
その証拠と申しましょうか、《ストーカー》が変化したのです……。
《ストーカー極》
もう訳が分かりません。これに気づいた時、御影様の絶叫が聞こえたような気がしましたね。
そして、今はまだ片鱗すら見せてませんが、アルヴィン様も《ストーカー》持ちなのです。
もうどうにでもして……。
これからまだ続く長い人生。まだまだ波乱は続きそうですーーーー。
〘第一部 [完] 〙
*********
いつもお読みいただき、ありがとうございます。
次に閑話一話入ったあと、第二部に入ります。
子供世代です。
よろしければ、またしばらく御付き合い下さいませ。
御影様達との話し合いから、早五年の月日が流れました。
あの後、戻ってくるなり若様は若奥様を連れて、三日三晩閉じこもり、若奥様がご実家にふた月も帰られるという事態が発生しました。あの時の若様ときたら、生きる屍状態でございました。
坊っちゃまとお嬢様様には、誰もいない時に話しかけ、《瞬間移動》の回数を減らしてもらうようにしたり、若様の厄介なスキルを期間限定で《スキル管理》させていただいたり…。
あとは若奥様と私が出産をくり返し、私は現在八人の子の母親。若奥様は多胎が続き、九人のお子様の母親となられました。
二男七女の母です。しかも上の三人は転生者です。ええ。三人目はあの方です。
「オーホッホッホ。今日のおやつはぜぇんぶアタシのものよぉ!」
ライリーナ様もとい、ジェスティーナお嬢様が、木の上から高笑いをされてます。その手には本日のオヤツが入っているだろう箱を抱えていらっしゃいます。
「ずるいぞ、ジェス!独り占めはやめろ!!」
長男のアルヴィン様が木の根元で、上を見上げながら叫ばれる隣には、我が息子トリスタンと、フィルディアお嬢様もいらっしゃいました。
「……ジェス。そんな事ばっかしてると、トリスに嫌われる……。ね、トリス?」
フィルディアお嬢様がトリスタンにそう尋ねると、トリスタンはこくりと頷きます。
「はうっ!」
ジェスティーナ様は胸を押さえると、涙目で慌ててトリスタンの目の前に移動されました。
「トリス、嫌いになった?ジェスのこと、嫌いになっちゃった?」
じーっと無言でジェスティーナ様を見つめた後、トリスタンはにっこりと笑いました。
「大丈夫。お菓子の空箱持って、嬉しそうにしてるジェス様はおバカ過ぎて可愛いよ♪」
「「…………」」
息子の発言にドン引きです。私ばかりかアルヴィン様もフィルディア様もドン引いてます。
「ん?空箱?」
首を傾げる私の袖が引かれ、下を向けば私の次女となったエルディーネ様ーーエルディナが空のお皿を手にしていました。
「…取られる前に抜きました…」
皿の上に手をかざし、《空間収納》からクッキーを取り出します。
そんな毎日の中ーー。
「エヴァン様のバカァッ!しばらく離れて暮らします!!」
若奥様の叫びが敷地内に響き渡りました。
「そんな…。リア、待ってください!リアッ!!」
「離してーっ!!」
若様と若奥様の言い合い。最早、グランディバルガス侯爵家の名物と言うか、恒例行事と言いましょうか……。
疲れた様子のフェリテが姿を見せました。
「……今回は?」
「坊っちゃまの家庭教師が、成績の報告してる時の距離が指二本分近いって……」
若様の《ストーカー》っぷりは距離に関係なく発動してます。
その証拠と申しましょうか、《ストーカー》が変化したのです……。
《ストーカー極》
もう訳が分かりません。これに気づいた時、御影様の絶叫が聞こえたような気がしましたね。
そして、今はまだ片鱗すら見せてませんが、アルヴィン様も《ストーカー》持ちなのです。
もうどうにでもして……。
これからまだ続く長い人生。まだまだ波乱は続きそうですーーーー。
〘第一部 [完] 〙
*********
いつもお読みいただき、ありがとうございます。
次に閑話一話入ったあと、第二部に入ります。
子供世代です。
よろしければ、またしばらく御付き合い下さいませ。
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