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第十三章 生えたのなら刈り取りましょう!
炎の破壊神
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今から少しだけ昔、ライリーナ・ロクス・ディーグルという名の銀色混じりの紅髪の魔族の姫がいた。
魔王バスティンの最初の娘にして、火の大精霊と張り合えるほどの【火魔法】を操り、敵に対しては情け容赦のない姿に、付いた通り名は〈炎の破壊神〉ーーーー。
とは言え、彼女がその力を振るうのは、大半が己の大事な者を傷つけられた時だけであった。
当時から滅多に見かけることの無い神獣達とも交流し、【不死鳥の加護】まで得ていた彼女は、ある日気まぐれに出かけた旅で、一人の青年と出会った。
二人は一目で恋に落ち、数年後には息子を得た。
旅をしながらも穏やかな暮らしを楽しみ、年老いた夫が旅立った日に、悲しみの余り自らも後を追いかけたーーーー。
それが表向きに伝えられている彼女の一生であるーーーー。
※※※※※※※※
[アリスティリア視点]
バスティン様からわたし達がライリーナ様の曾孫と伺ってから、どんな方なのかは調べて存じていました。いましたが……。まさか、自分の子供になるとは思わないじゃないですかっ!!
寧ろ、先に産まれている双子も誰なのか気になりますよ、もうっ!!
あれ?もしかしなくても、トリスタンもじゃないですか?
血の気が引きそうな状況ですが、さらにそれ所でなくなりました。
「ねえ。別に《瞬間移動》選んでもいいわよね?ね?」
突然、目の前にパステルピンクの光の玉が近寄り、甘えた声でそう言われました。
「……」
チラリと横を見ると、ラフィンさんが首を振ってます。
ですよね……。お世話する側からは困りますもんね……。
「あの…。《瞬間移動》はちょっと…」
「何でっ!?使えないと、彼に何かあった時、間に合わないじゃないっ!」
「「は?」」
御影さんとラフィンさんの声が重なりました。
「…彼…ですか?」
「そうよ!アタシの夫のルーカスよ!!先に生まれ変わっちゃったのよ!」
「え?あの…。それはどなたに生まれ変わったのかご存知なのでしょうか?」
隣から恐る恐る尋ねてくるラフィンさんに、嫌な予感しかしません……。
「知ってるに決まってるでしょ!だから、この子のとこで生まれようとしたんだから!!」
あ、わたしの子として生まれるのは、ライリーナ様には決定事項だったんですね……。
思わず遠い目をしそうになっていると、半目で呆れている御影さん達の姿が目に入りました。
「……わざわざアリスティリアさんご指定ってことは、まさかラフィンさんとこの息子……」
御影さんの口元が引き攣ってます。
「そーよ!だから、側に生まれ変わらなきゃ、一緒にいられないじゃないっ!!」
「ーーーー」
ラフィンさんが頭を抱えてます。
そうですよね。これ、ある意味、トリスタンのお嫁さんが〈炎の破壊神〉って事になりますもんね。
「《ストーカー》か、《瞬間移動》のどっちかを選ばせなさーいっ!!」
『…………』
このとんでもない要求に、皆様も無言になってます。
《ストーカー》なんて取得したら、エヴァン様の女版。しかも侯爵令嬢です…………。
トリスタンに《寵愛》が無ければ、大変ではないでしょうか?
結局、育児中は使わないという約束で、ライリーナ様は《瞬間移動》を【ギフト】で取得することが決まりました。
ラフィンさん、役に立てずにすみませんーーーー。
魔王バスティンの最初の娘にして、火の大精霊と張り合えるほどの【火魔法】を操り、敵に対しては情け容赦のない姿に、付いた通り名は〈炎の破壊神〉ーーーー。
とは言え、彼女がその力を振るうのは、大半が己の大事な者を傷つけられた時だけであった。
当時から滅多に見かけることの無い神獣達とも交流し、【不死鳥の加護】まで得ていた彼女は、ある日気まぐれに出かけた旅で、一人の青年と出会った。
二人は一目で恋に落ち、数年後には息子を得た。
旅をしながらも穏やかな暮らしを楽しみ、年老いた夫が旅立った日に、悲しみの余り自らも後を追いかけたーーーー。
それが表向きに伝えられている彼女の一生であるーーーー。
※※※※※※※※
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バスティン様からわたし達がライリーナ様の曾孫と伺ってから、どんな方なのかは調べて存じていました。いましたが……。まさか、自分の子供になるとは思わないじゃないですかっ!!
寧ろ、先に産まれている双子も誰なのか気になりますよ、もうっ!!
あれ?もしかしなくても、トリスタンもじゃないですか?
血の気が引きそうな状況ですが、さらにそれ所でなくなりました。
「ねえ。別に《瞬間移動》選んでもいいわよね?ね?」
突然、目の前にパステルピンクの光の玉が近寄り、甘えた声でそう言われました。
「……」
チラリと横を見ると、ラフィンさんが首を振ってます。
ですよね……。お世話する側からは困りますもんね……。
「あの…。《瞬間移動》はちょっと…」
「何でっ!?使えないと、彼に何かあった時、間に合わないじゃないっ!」
「「は?」」
御影さんとラフィンさんの声が重なりました。
「…彼…ですか?」
「そうよ!アタシの夫のルーカスよ!!先に生まれ変わっちゃったのよ!」
「え?あの…。それはどなたに生まれ変わったのかご存知なのでしょうか?」
隣から恐る恐る尋ねてくるラフィンさんに、嫌な予感しかしません……。
「知ってるに決まってるでしょ!だから、この子のとこで生まれようとしたんだから!!」
あ、わたしの子として生まれるのは、ライリーナ様には決定事項だったんですね……。
思わず遠い目をしそうになっていると、半目で呆れている御影さん達の姿が目に入りました。
「……わざわざアリスティリアさんご指定ってことは、まさかラフィンさんとこの息子……」
御影さんの口元が引き攣ってます。
「そーよ!だから、側に生まれ変わらなきゃ、一緒にいられないじゃないっ!!」
「ーーーー」
ラフィンさんが頭を抱えてます。
そうですよね。これ、ある意味、トリスタンのお嫁さんが〈炎の破壊神〉って事になりますもんね。
「《ストーカー》か、《瞬間移動》のどっちかを選ばせなさーいっ!!」
『…………』
このとんでもない要求に、皆様も無言になってます。
《ストーカー》なんて取得したら、エヴァン様の女版。しかも侯爵令嬢です…………。
トリスタンに《寵愛》が無ければ、大変ではないでしょうか?
結局、育児中は使わないという約束で、ライリーナ様は《瞬間移動》を【ギフト】で取得することが決まりました。
ラフィンさん、役に立てずにすみませんーーーー。
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