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第十二章 トラブルは続く、何処までも……

懲りないヤツらはいつまでも懲りない

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「いいか?拐ってしまえばこっちのもんだ!姿替えの魔導具付けちまえばバレっこねえからな…」

人気のない山の中、数人の男達が集まって話している。
種族は様々で、共通しているのは頭が悪そうというか、見るからに悪人面だというとこであろうか?

「侯爵家の敷地からはここに飛ぶようにしてある転移陣で移動するだけだ。なあに、跡継ぎはいるんだ。娘一人いなくなっても、お盛んらしいから、バカスカ次を作ってくれるぜ!」

ガハハハ…と下卑た笑い声を上げている。

そんな彼らの周りを何人もの騎士達に囲まれてることに気付かぬままーーーー。

 
※※※※※※※※

「ちきしょうめー!何でバレやがった!?」

移動しようと動き出した途端、全員が一瞬で地面に叩きつけられ拘束された。
周りに洗われた騎士達に、まとめ役らしき男が喚き散らした。

「……あれだけ何日も山の中で騒いでいれば、通報されるに決まっているでしょうに…」

呆れた声を上げながら現れた男の姿に、男達は黙り込んだ。
不気味な仮面を付けた全身黒づくめの男が現れたのだ。

「まして、私の子供達を狙ってると言うなら、なおさら私が来るに決まってますよ!」

「ひいっ!!」

ブワッと男から溢れ出た気配に、恐怖のあまり捕らえられていた男達は失神した。

「……カル…。私はまだ何もしてないのですが……?」

これからが本番という時に、一味は気を失ってしまい、拍子抜けしたエヴァンは、カルステッドに声をかけた。

「何もしてないって……。あんだけ《威圧》スキル出しといて、それ言いますか?」

「???」

不思議そうに首を傾げるエヴァンに、周りの部下は思った。

ーー無意識かよっ!!

『城内お嫁さんに欲しい子ランキング』で、ぶっちぎり一位のアリスティリアを妻に迎え、これ以上出世しようのない上位貴族。
不気味な姿にさぞかし醜男だろうと予想していれば、落とせぬ女はいない風な美形顔。
産まれた子供は男女の双子で、かたや侯爵家跡継ぎ、かたや次代王太子妃が決まっている。

本来なら、妬み嫉みの的になるところである。

しかし、普段はアリスティリアが絡むと、とてもザンネンで基準がおかしくなると知られると、生暖かい視線を向けられることが増えた。

そして、他国の王族、伝説の神獣などと、四六時中関わることになるのである。

エヴァンでなければ務まらないだろうと、今ではマトモな者達は気にもしていない。

それでも、いつの世にも救いようのない連中というのは存在するのだ。

二人を別れさせて、再婚相手になろうと目論む者達→全く相手にされず撃沈。

エヴァンに近づこうとする女性達→アリスティリアの話を聞かされ続け、泣いて赦しを乞う。

アリスティリアに関わろうとする男達→エベリウム兄弟並びに四侯令嬢達、王太子妃に睨まれる。

アリスティリア、又は子供達を手に入れようとする者達→ラフィン達の指示で研修中の『護衛メイド』達の教材扱い。

という事態が続いている。

再びアリスティリアが懐妊していることを知った者達の中には、性別も分からぬままに婚約の打診をして来ている者もいる。

こちらはマリアステラ、エマリーの母親コンビが、見事な連携で握りつぶす。

そんな中。エヴァンは国境に屯している不審人物達の取り締まりに来ていた。

半分はグランディバルカス家狙いの連中である。
各国を巻き込む騒ぎとなったにも関わらず、大精霊や神獣を崇拝する者達は、その恩恵を受けようとアリスティリアの子供達。特に娘であるフィルディアを手に入れようと日々画策しているのである。

囚われた者達から動機を確認し、ブランディアやエスタルディアに連絡を入れると、怒り狂った精霊や神獣達に連れ戻されて罰を受けているらしい。

ーー〖ハリセン〗でぶっ叩いた方が早いかもしれないよなぁ……。

騎士達は遠い目をしながら、黙々と彼等を拘束していくのであったーーーー。




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