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第十二章 トラブルは続く、何処までも……
育児は闘いなのですね!
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[トルティーネ視点]
「トルテ!そっちに出るわよ!」
ラフィン先輩の言葉に、【封印布】を手に広げ、その瞬間を待ちます。
「は、はいっ!」
《気配探知》を持つアタシより先に分かるなんて、おかしくないですかっ!?
それとも侯爵家勤めだと、スキル無くてもできるんですかっ!?
上位の『護衛メイド』なら当然なんですか!?
頭の中に?をたくさん発生させながら、アタシは現れたお嬢様に飛びつきました。
「確保ーーっ!!」
【封印布】に包み込み、お嬢様確保です。
「……ゆ、湯浴みさせるだけで、こんなに疲れるなんて…」
フェリテ先輩も息が上がってます。
アタシなんか、もうゼハゼハ言ってますよ。
「……えっと。毎回、ごめんなさいね…」
若奥様のアリスティリア様が、その腕に坊っちゃまを抱いて、申し訳なさそうに謝られます。
マリアステラ様直々にお声掛けいただき、意気揚々とお引き受けしましたが、まさかこんなに激務とは思いませんでしたよ!
アタシ、トルティーネ・ゲーテは、狼の獣人です。
狼の獣人の中でも、『銀狼』と呼ばれる一族です。
銀の毛並みに金の瞳が特徴です。
フカフカの尻尾がアタシの自慢ですよ!
『護衛メイド』としては、《家事》スキルはイマイチですが、戦闘や護衛の能力は上位です。
ですので、声をかけられたのは、アリスティリア様の護衛のためだと思ってました。
『護衛メイド』の先輩で、しかも次代侯爵夫人となったばかりか、各国の重鎮からも一目置かれ、伝説の神獣様達から寵愛を受けている方ですよ!!
しかも『エイデルの幸運の女神』と呼ばれ、マリアステラ様に並ぶゲーテを名乗る者からは雲の上の存在。
そりゃもう、同期の皆からは滅茶苦茶羨ましがられましたよ!!
しかもですよ!
同じ職場には、二つ名持ちの先輩が三人です!!
『護衛メイド』仲間では、神とも言われる〈閃光〉のラフィン様の下で働けるんですよ?
二つ返事で引き受けるに決まってるじゃないですか!!
意気揚々とやってきたアタシは、まずアリスティリア様の元へと、ステリナ先輩に案内されました。
「アリスティリアです。これから色々とご迷惑をおかけして大変でしょうけど、よろしくお願いしますね」
若奥様のアリスティリア様は、にっこりと優しく微笑まれました。
「…は、はいっ!誠心誠意、お仕えさせていただきます!!」
眼福です!!
何なんですか、この方の愛らしさっ!!
そりゃ、神獣様達がご寵愛なさるはずですよ!!
若旦那様が、邸に閉じ込めて出したがらないなんて、噂だと笑い飛ばしてましたけど、出しちゃダメです!拐われます!ってか、アタシが拐いたい!!
感動に打ち震えていたアタシですが、その後に現れた不審者の様な若旦那様の姿に、スンと正気に戻りました。
その後、ラフィン先輩、フェリテ先輩のいらっしゃる場所に案内されました。
「ト、トルティーネ・ゲーテと申します!若輩者ですが、よろしくお願いします!!」
緊張のあまり、噛みかけましたが、何とか挨拶できました。
「貴女……『銀狼』なの?あの体力特化の獣人一族なの?」
フェリテ先輩に訊かれました。同じ獣人同士なのですし、『銀狼』特有の姿なので当然でしたね。
「はい。亡くなった両親共に『銀狼』でした」
そう答えた瞬間でした。
「そ、即戦力!!マリアステラ様、感謝いたします!!」
ラフィン先輩にガシッと両手を掴まれました。
この手、洗いたくない……っ!!
「貴女だけが頼りなのっ!!」
そうして、現在。アタシはラフィン先輩の手伝いで、【封印布】を外す度に《瞬間移動》をしてしまう、坊っちゃまとお嬢様の確保の日々を過ごしています。
戦闘並みに疲れます。
つまり、
育児は闘いなのですね!
その証拠に、こちらに勤め始めてから、アタシの戦闘関係のスキルは軒並みレベルが上がり、新たなスキルも増えてきました。
まさかこの後、『育児メイド』というエイデル商会の先駆者になるとは思いませんでしたけどね!!
「トルテ!そっちに出るわよ!」
ラフィン先輩の言葉に、【封印布】を手に広げ、その瞬間を待ちます。
「は、はいっ!」
《気配探知》を持つアタシより先に分かるなんて、おかしくないですかっ!?
それとも侯爵家勤めだと、スキル無くてもできるんですかっ!?
上位の『護衛メイド』なら当然なんですか!?
頭の中に?をたくさん発生させながら、アタシは現れたお嬢様に飛びつきました。
「確保ーーっ!!」
【封印布】に包み込み、お嬢様確保です。
「……ゆ、湯浴みさせるだけで、こんなに疲れるなんて…」
フェリテ先輩も息が上がってます。
アタシなんか、もうゼハゼハ言ってますよ。
「……えっと。毎回、ごめんなさいね…」
若奥様のアリスティリア様が、その腕に坊っちゃまを抱いて、申し訳なさそうに謝られます。
マリアステラ様直々にお声掛けいただき、意気揚々とお引き受けしましたが、まさかこんなに激務とは思いませんでしたよ!
アタシ、トルティーネ・ゲーテは、狼の獣人です。
狼の獣人の中でも、『銀狼』と呼ばれる一族です。
銀の毛並みに金の瞳が特徴です。
フカフカの尻尾がアタシの自慢ですよ!
『護衛メイド』としては、《家事》スキルはイマイチですが、戦闘や護衛の能力は上位です。
ですので、声をかけられたのは、アリスティリア様の護衛のためだと思ってました。
『護衛メイド』の先輩で、しかも次代侯爵夫人となったばかりか、各国の重鎮からも一目置かれ、伝説の神獣様達から寵愛を受けている方ですよ!!
しかも『エイデルの幸運の女神』と呼ばれ、マリアステラ様に並ぶゲーテを名乗る者からは雲の上の存在。
そりゃもう、同期の皆からは滅茶苦茶羨ましがられましたよ!!
しかもですよ!
同じ職場には、二つ名持ちの先輩が三人です!!
『護衛メイド』仲間では、神とも言われる〈閃光〉のラフィン様の下で働けるんですよ?
二つ返事で引き受けるに決まってるじゃないですか!!
意気揚々とやってきたアタシは、まずアリスティリア様の元へと、ステリナ先輩に案内されました。
「アリスティリアです。これから色々とご迷惑をおかけして大変でしょうけど、よろしくお願いしますね」
若奥様のアリスティリア様は、にっこりと優しく微笑まれました。
「…は、はいっ!誠心誠意、お仕えさせていただきます!!」
眼福です!!
何なんですか、この方の愛らしさっ!!
そりゃ、神獣様達がご寵愛なさるはずですよ!!
若旦那様が、邸に閉じ込めて出したがらないなんて、噂だと笑い飛ばしてましたけど、出しちゃダメです!拐われます!ってか、アタシが拐いたい!!
感動に打ち震えていたアタシですが、その後に現れた不審者の様な若旦那様の姿に、スンと正気に戻りました。
その後、ラフィン先輩、フェリテ先輩のいらっしゃる場所に案内されました。
「ト、トルティーネ・ゲーテと申します!若輩者ですが、よろしくお願いします!!」
緊張のあまり、噛みかけましたが、何とか挨拶できました。
「貴女……『銀狼』なの?あの体力特化の獣人一族なの?」
フェリテ先輩に訊かれました。同じ獣人同士なのですし、『銀狼』特有の姿なので当然でしたね。
「はい。亡くなった両親共に『銀狼』でした」
そう答えた瞬間でした。
「そ、即戦力!!マリアステラ様、感謝いたします!!」
ラフィン先輩にガシッと両手を掴まれました。
この手、洗いたくない……っ!!
「貴女だけが頼りなのっ!!」
そうして、現在。アタシはラフィン先輩の手伝いで、【封印布】を外す度に《瞬間移動》をしてしまう、坊っちゃまとお嬢様の確保の日々を過ごしています。
戦闘並みに疲れます。
つまり、
育児は闘いなのですね!
その証拠に、こちらに勤め始めてから、アタシの戦闘関係のスキルは軒並みレベルが上がり、新たなスキルも増えてきました。
まさかこの後、『育児メイド』というエイデル商会の先駆者になるとは思いませんでしたけどね!!
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