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第十章 アリスティリアは人気者

頑張ったでしょう…

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[ステリナ視点]

魔王国ディクルディアにて、先に城に転移させられていたアリス様ですが、本当の試練は全員が揃ってからでした。

「「………」」

アリス様とラス様のお二人は、並んで笑顔です。目は死んでますけど…。

現在、お二人のためにと作られた輿に揺られながら、王都を巡っていらっしゃいます。見世物ですね。
若様が隣に座るのかと思いきや、流石の若様もこれにはドン引いてましたね。
カイン様はスンッて表情消えてましたし、愚兄は頭抱えてましたね。
ラス様は他人事だと思っておいでだったようで、バスティン様によって姉弟揃って乗せられた時には、この世の終わりのような顔をお二人でしてましたね。
何故、ご自分は他人事だと思われたのでしょうか?
いやだって、お二人のご先祖様のライリーナ様の血筋が見つかったお祝いという名目ですのにね。
我々は担がれて進み出した輿の遥か後ろから、見送りました。ええ、お留守番です。

マテロス様の案内で、お二人の姿を見られる塔へと参りましたよ。
先頭の輿にはバスティン様のお姿が見えます。
その後ろからお二人の乗った輿が付いていきます。

「……あれ。ラスはともかく、アリスは限界じゃないかい?」

カイン様が心配そうに見られてます。

「今は多分、《悟り》を発動させてると思います。戻ってからが不安ですね…」

若様は流石ですね。《ストーカー》のせいでしょうか?アリス様の現状把握半端ないです、怖いわ。

歓声が収まることなくあちこちから聞こえます。
これ、側で聞いてるお二人は、耳が痛くないんですかね?

「…なあ、ステリナ。あのあちこちで光りながら振られてんの、〖ハリセン〗に見えるんだけど……」

赤や青など、色とりどりの光を放ちながら、子供らしき人影が振っているのは間違いなく〖ハリセン〗でした。

「……あれはマリアステラ殿に父が頼んだ特注の品だ……」

マテロス様が顔を背けて仰いました。

止めれなかったのですね、お疲れ様です。

お二人が戻って来たのは、それから半日近くを過ぎてからでしたーーーー。


※※※※※※※※

[エヴァン視点]

「……あの、リア?大丈夫ですか?」

戻ってきたリアは、いつもなら人目を気にするのですが、周りを気にせずに私にしがみついてきました。

「……離れちゃヤダ…」

ポツリと呟きながら、チラッと上目遣いに潤んだ瞳で見上げられては、拒めるはずもなく。

「あー……。うん、アリスは頑張ったよね。ものすごく頑張った。労わってやって、エヴァン……」

同じように疲れているだろうラスに、アリスを任されました。驚きです。

「そうだな。部屋でゆっくり休ませてやるといい…。食事も部屋に運ばせよう…」

「何故だ、マテロス!!我はティリアと食べたいぞ!!」

「今日ぐらい我慢しやがれ!!」

マテロス様の言葉に、バスティン様が騒ぎ出しましたが、頭を叩いて連れていかれました。

「……ラスは私が見るから、アリスは頼んだよ…」


ふらつくラスを連れて、カインも与えられた部屋へと向かいました。

「リア。部屋で休みましょう…」

私の言葉に、リアはしがみついたまま頷きましたが、このままでは動けません。
仕方なく横抱きしましたが、嫌がることなく私の首に腕を回してしがみつく様子に、カルステッド達も只事ではないと心配そうにこちらを見ています。

とりあえず用意された部屋へと入り、ソファに座りましたが、リアは私の膝の上に座ったまま。
二人きりでないのに、これは初めてです。

「……リア?何かありましたか?」

髪を撫でながら尋ねました。
塔から見てる分には、そんなに変わったことは無かったようなのですが…。

「……が……」

「はい?」

「変な人が来るぅ……」

「「「???」」」

一先ずカルステッドをラスの所に向かわせ、少しでも落ち着くように抱きしめ、背中を擦りました。
戻ってきたカルステッドの話を聞き、私達はアリスを思う存分労りましたーーーー。



********


読んでくださりありがとうございます。
現実逃避タイムが増えた為、双子の方も同時進行で更新出来たらと頑張ってますので、宜しければご覧下さい。
次回、怯えるアリスに何が起こったか判明します‪w
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