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閑話 9

やらかした……

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[アリスティリア視点]

神獣の皆様が目の前で話し出したと思ったその瞬間、何故かスキルが増えたのを感じた。
その途端、上から金色の光が降ってきて、眩しさに目を閉じた。

「こんのぉおバカーーッ!!」

パシコーンと言う音と、聞いたことの無い女の人の声に目を開けた。

「ごめん、御影っ!でも「デモも、ストもないわーっ!!」」

再びパシコーンと音がする。
どうやら目の前の女の人の手にしている物が、音を立てているようです。

「お嬢様っ!!」

グイッと腕を引かれると、ラフィンさんがわたしを背中に隠すように前に出ました。

「……」

周りを見回すと、見たことの無い不思議な場所で。
そこにいるのは、二人の女の人と、二人の男の人。そして、わたし達二人だけ。

見たことの無い姿の四人に、ラフィンさんが物凄く警戒してるのが分かった。右手に愛用していると言うレイピアが握られている。
長い黒髪の女の人が男の人を叱ってる(?)のを、他の二人が見守っているようだった。

「…お嬢様。《鑑定》使えますか?」

こちらを見ずに、ラフィンさんに聞かれたわたしは、彼らに《鑑定》を使ってみた。

「……ダメです。何も見えません…」

神獣様だって、《鑑定》したら種族くらいは分かったのに、目の前の人達は、何も分からない。

「とにかくチュンタは反省しつつ、誤差の修正始めて!!」

「うぃーすっ!」

黒髪の女の人がこちらを向くと、ラフィンさんがレイピアを構えた。
わたしも邪魔にならないように少し後ろに下がる。

「あー……。警戒してるわよね。本当に申し訳ない!こちらのミスです!ごめんなさいっ!!」

女の人はわたし達の前に立つと、深々と頭を下げてそう言った。

「……貴女方は何者ですか?何故、私達をここへ?」

ラフィンさんが問いかけると、彼女は頭を上げました。

「んー。信じてもらえないかも知れないけど、ここは貴女方の言うところの神界です」

「「は?」」

ラフィンさんとわたしの声が重なった。

「本来なら、貴女方の世界アグローシアを創造した創造神ディアル・マディルが説明をするとこなんだけど…」

彼女は腕を組んで、溜息をついた。

「今、ちょーっと遠くに出ているので、私が代理で説明することになりました…」

そうして、目の前の女性ー御影さんの説明が始まった。



※※※※※※※※

「…つまり、本来なら《神託オラクル》スキルを与えて、魂だけを呼び出す筈が、肉体ごと呼んでしまった…ということでよろしいでしょうか?」

ラフィンさんが対応してくれるので、隣で落ち着いて聞いていられます。

「そうなるかな。まあ、普段なら肉体ごと呼んでも、何とかなるんだけど……。貴女達、二人とも今、妊娠してるでしょ?」

「…え?」

思わずラフィンさんの顔を見てしまうと、気まずそうにされていました。なんか、すみません…。

「お腹の子にどれだけの影響が出るか、予想がつかないのよね…」

御影さんー創造神様の眷属らしいので、御影様とお呼びしたら止められましたーが肩を竦めてそう言います。

「どんな。ではなく、どれだけ。なのですか?」

ふと気になったので聞いてみました。

「お嬢様?」

ラフィンさんが不思議そうにわたしを見てますが、そこがとても気になったのです。

「あー。何ていうかね。貴女達二人とも、お腹の子のスキルがもう確定しちゃってるのよね。生まれつき加護も祝福も持って生まれるわね」

「……」

ラフィンさんは頭を抱えてます。
わたしも言葉が出ません。そんな事あって良いのでしょうか?

「どれだけって言うのは、レベルがどんな状態で生まれるのか、こっちも確認できなくなっちゃったのよね、こっちに呼んじゃったせいで…」

わたしとラフィンさんに出来ることは、そこから色んな話を聞くことだけでしたーーーー。
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