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第十一章 家族は家族
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ビョーン。ビョーン。
「……思うんだけどさ…」
馬車の中、跳ね回るスライム達を前に、レオが口を開いた。
ちなみに本日の馬車の中のメンバーは、レオノーラ、ガディル、エレオノール、フレイアの四人。
アルテとクルトは馭者席にいた。
「分裂したまんまなら、虹色スライムってバレないんじゃないのかな?」
「「「………確かに」」」
ポツリと呟いたレオの言葉に、思わず頷く三人。
「だけどさ。《テイム》するのって、バラバラになってるの全部でするのか、一つになってる時にするのか、分かんないんだよねぇ…」
クルトに確認した話では、調べていた者達は《テイム》したわけではなかったらしく、条件が分かっていない。
「…それ、ぶっつけ本番でするの?」
エレオノールが不安そうな顔になる。
「え?だって、ここの面子に出来る人いないじゃん。向こうでしてもらえば良くない?」
「…まあ、嬉々としてしてくれそうだけどさ……」
話し合う二人の言葉に、ガディルとフレイアは首を傾げる。
「…お前達、誰か『調教師』に知人がいるのか?」
ガディルの言葉に二人が、きょとんとする。
「あれ?言ってなかったっけ?私達の父親、『調教師長』の職業スキルなんだよ」
「え?」
レオノーラの言葉に固まるフレイア。
「…あの、今向かってる先には、お二人のご両親がいらっしゃるのでしょうか?」
「あれ?エレ、言ってなかったの?」
「そうかなぁとは予想してたけど、確実じゃないから話してなかったんだよ…」
「っ!?」
想定していなかった事態に、フレイアは固まっていた。
「ついでだから、うちの両親の話しとく?」
レオノーラの言葉に二人が頷くと、レオノーラは話を始めた。
自分達のせいで両親が誘拐されたこと。その後、レンドルによって保護された両親は、別の場所に移されたこと。
父親は『調教師』の最上位職、『調教師長』であること。
そして、母親は『治癒士』であること。
「そもそも新しい魔獣の《テイム》に失敗して怪我した父さんを母さんが助けたのが馴れ初めだったっけ?」
「そうそう。いつか再チャレンジしようとしてたのに、レオがあっさり叶えちゃったんだよね……」
「「は?」」
二人の視線が向くなり、顔を背けるレオノーラ。
「五歳の時だったかな?レオがドラゴンの卵拾って帰ったんだよねぇ…」
「「っ!?」」
バッと二人の視線がレオに向いた。
「………」
気まずそうに顔を逸らしたままのレオノーラ。
「おま…。ドラゴンの卵なんか、拾って帰れるような代物じゃないぞ?」
本来ならば、到達困難な難所へ向かい、親と戦うか留守の間にでもなければ入手不可能な代物である。五歳の子供が簡単に手に入れれる物ではない。
「…落ちてたし…」
「落ちてたんですか?え?ドラゴンの卵が落ちてた??」
フレイアなんか混乱の極みである。
「後から親が卵探しに来て、大騒ぎになったよねぇ…」
しみじみと語るエレオノール。
それは村が全滅レベルの騒ぎだったのでは無いのか?と、この時の二人の心境は一致していた。
「父さんが《共通言語》持ってたおかげで、事なきを得た上に、拾って保護してくれたからって、《テイム》されてくれたんだよね…」
あれは本当に助かった。と、レオノーラが呟くが、最強種と呼ばれるドラゴンを《テイム》したなんか、国家間で秘匿しなきゃいけないレベルの話では無いのか?と、ガディルは頭を抱え込んだ。
「……拐われた時にドラゴンを呼ぼうとは思われなかったのでしょうか?」
ポツリと呟くフレイアの言葉に、双子は顔を露骨に外へと向けた。
「…確かに。ドラゴンが現れていれば、誘拐どころではなかっただろうな…」
「うん。まあ、本人に聞くといいよ…」
ガディルの言葉に、レオノーラがそう答え、会話はしばらく途切れてしまうのだった。
「……思うんだけどさ…」
馬車の中、跳ね回るスライム達を前に、レオが口を開いた。
ちなみに本日の馬車の中のメンバーは、レオノーラ、ガディル、エレオノール、フレイアの四人。
アルテとクルトは馭者席にいた。
「分裂したまんまなら、虹色スライムってバレないんじゃないのかな?」
「「「………確かに」」」
ポツリと呟いたレオの言葉に、思わず頷く三人。
「だけどさ。《テイム》するのって、バラバラになってるの全部でするのか、一つになってる時にするのか、分かんないんだよねぇ…」
クルトに確認した話では、調べていた者達は《テイム》したわけではなかったらしく、条件が分かっていない。
「…それ、ぶっつけ本番でするの?」
エレオノールが不安そうな顔になる。
「え?だって、ここの面子に出来る人いないじゃん。向こうでしてもらえば良くない?」
「…まあ、嬉々としてしてくれそうだけどさ……」
話し合う二人の言葉に、ガディルとフレイアは首を傾げる。
「…お前達、誰か『調教師』に知人がいるのか?」
ガディルの言葉に二人が、きょとんとする。
「あれ?言ってなかったっけ?私達の父親、『調教師長』の職業スキルなんだよ」
「え?」
レオノーラの言葉に固まるフレイア。
「…あの、今向かってる先には、お二人のご両親がいらっしゃるのでしょうか?」
「あれ?エレ、言ってなかったの?」
「そうかなぁとは予想してたけど、確実じゃないから話してなかったんだよ…」
「っ!?」
想定していなかった事態に、フレイアは固まっていた。
「ついでだから、うちの両親の話しとく?」
レオノーラの言葉に二人が頷くと、レオノーラは話を始めた。
自分達のせいで両親が誘拐されたこと。その後、レンドルによって保護された両親は、別の場所に移されたこと。
父親は『調教師』の最上位職、『調教師長』であること。
そして、母親は『治癒士』であること。
「そもそも新しい魔獣の《テイム》に失敗して怪我した父さんを母さんが助けたのが馴れ初めだったっけ?」
「そうそう。いつか再チャレンジしようとしてたのに、レオがあっさり叶えちゃったんだよね……」
「「は?」」
二人の視線が向くなり、顔を背けるレオノーラ。
「五歳の時だったかな?レオがドラゴンの卵拾って帰ったんだよねぇ…」
「「っ!?」」
バッと二人の視線がレオに向いた。
「………」
気まずそうに顔を逸らしたままのレオノーラ。
「おま…。ドラゴンの卵なんか、拾って帰れるような代物じゃないぞ?」
本来ならば、到達困難な難所へ向かい、親と戦うか留守の間にでもなければ入手不可能な代物である。五歳の子供が簡単に手に入れれる物ではない。
「…落ちてたし…」
「落ちてたんですか?え?ドラゴンの卵が落ちてた??」
フレイアなんか混乱の極みである。
「後から親が卵探しに来て、大騒ぎになったよねぇ…」
しみじみと語るエレオノール。
それは村が全滅レベルの騒ぎだったのでは無いのか?と、この時の二人の心境は一致していた。
「父さんが《共通言語》持ってたおかげで、事なきを得た上に、拾って保護してくれたからって、《テイム》されてくれたんだよね…」
あれは本当に助かった。と、レオノーラが呟くが、最強種と呼ばれるドラゴンを《テイム》したなんか、国家間で秘匿しなきゃいけないレベルの話では無いのか?と、ガディルは頭を抱え込んだ。
「……拐われた時にドラゴンを呼ぼうとは思われなかったのでしょうか?」
ポツリと呟くフレイアの言葉に、双子は顔を露骨に外へと向けた。
「…確かに。ドラゴンが現れていれば、誘拐どころではなかっただろうな…」
「うん。まあ、本人に聞くといいよ…」
ガディルの言葉に、レオノーラがそう答え、会話はしばらく途切れてしまうのだった。
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