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第十章 他国訪問〔ユーディアナ〕

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[レオノーラ視点]

 「………ムカつくし、そろそろ飽きてきたなぁ……」

    単体生殖可能だからって、増えすぎでしょ?ってくらい、四方八方女郎蜘蛛アラクネばっかの討伐も十日目。
    そして、何故か野営の度に誰かの貞操の危機である。

     我慢の限界が来ても、私は悪くないと言いたいっ!!

「当分、爆乳は見たくねえな…」

   とか。

「綺麗系はしばらくいらねぇ…」

   などと抜かしてる連中もいて、さらに不機嫌倍増だ。

    そもそもそんな事言ってる連中は、娼館のお姉さん方しか相手してもらえてない連中だって、こちとら知っているのだ。

    だからモテないのだと、声を大にして言ってやりたい。
    討伐先で凹まれたら面倒だから、言わないけどさ。

「この辺り一帯、燃やさないとダメだよね?生態系狂ってるみたいだし…」

    蜘蛛の糸に巻き付かれ、周辺の草木は枯れてしまってる。土からも養分が奪われたようで、このままでは不毛の地になること間違いなかった。

「燃やしてから、エレが癒せばいいんじゃない?ついでに女郎蜘蛛アラクネも燃やしちゃってさ…」

「嫌。逃げ出したらヤバいから、ダメだぞ?」

   アルテに即決で反対された。

「逃がさずに囲んでおいたらいいじゃん……」

    辺りをドーム状の結界で覆おうとして、みんながいる事に気づいた。

「……蒸し焼きになりたくないなら、範囲外に出た方がいいと思うよ?」

「いや、蒸し焼きって、何をする気だ……」

   ガディルが呆れて私の右手を掴んできた。

「いや、こう周辺をカパッと上から蓋するように結界で覆っておいてね。んで、そん中に《火魔法》ぶち込んだらすぐじゃない?」

『…………』

   説明すると、みんな無言で私を見てた。

「……よし。〖騎士と女郎蜘蛛アラクネの蒸し焼き〗作ろう…」

「総員退避ーっ!!」

    ムカついてきてそう宣言すると、手を掴んでるガディルを残して、みんな外側へと走り去った。

     本当にするわけないのに、失礼ではないか?

     この鬱憤はヒューゲルに帰ってから、晴らしてやろうと思う。

「…さて。ここからどうする?」

   ガディルが首を傾げながら見てくるけど、そもそもガディルいたら何もできないんですけど?

「ガディル、邪魔ー…」

   手を繋がれたまま、みんなが移動した場所まで移動していく。

「《探査サーチ》」

    女郎蜘蛛アラクネ達の移動範囲を確認して行くと、こちらに向かってくるのが分かる。

「んじゃ、《障壁バリア》♪か~ら~の~《炎の壁ファイアーウォール》!」

     囲んでから、一気に範囲内に壁を作り出して燃やしていく。

「キエエエーッ!!」

「ギャキャーーッ!」

    何処に逃げても炎の中でしかない女郎蜘蛛アラクネ達は、叫びながら《障壁バリア》にぶつかってくる。

「おおぅ…。元気…」

    その激しさに思わず呟いてしまうと、非難するかのような視線を感じた。

「…いや、元気も何も…。あれ、断末魔だろ……」

「あぁ…。上だけ見てたら、美女が焼かれちまってく……」

    幾人かは悲しげに燃え尽きていく女郎蜘蛛アラクネ達を見ている。
    分かっているはずなのだが、女郎蜘蛛アラクネである。どんなに上半身が、連中好みの巨乳美女だろうと、討伐対象・・・・の魔物である。
    しかも、誰もが既にウンザリするほど狩っている女郎蜘蛛アラクネである。何度でも言うが、魔物・・である。

    そんなに焼き殺すのが嫌だと言うなら、各自が討伐すればいいのだ。

    サクッと終わらせようと思ったけど、今後は手を出すまいと、心に誓ったのだーーーー。


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