双子の姉は『勇者』ですが、弟の僕は『聖女』です。

ミアキス

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閑話 8

ある意味連想ゲーム

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[御影視点]

    目の前には、お腹を抱えて転がる仲間達。
    別世界から帰還早々のこの風景に、こちらとしては頭の中は???となるわけでーー。
    当然、さっきまで一緒だったディーも、皆のこの姿に少し引いている。引くのはいいけど、私の後ろに隠れないで欲しい、ホント……。

「お、おか…り、ナナちゃ…」

   ユメは呼吸困難になりかけてるし、

「おつ、おつか…、ひくっ…」

   アッキーなんか、しゃっくりしまくってるし、

「あ、〘愛の空回り〙…。空回りっ!!」

   チュンタときたら笑い転げながら、足をバタバタ鬱陶しい!

「み、御影……。みんな、大丈夫なのかな?」

「少なくとも毒とか食らってるわけじゃないから、大丈夫でしょ……」

   そもそも神の眷属になった私らに、有効な毒って何処にあるのか…。とりあえず、お水飲ませよう………。

    私の背中越しに・・・・・・・一応心配してるらしいディーに声をかけておき、私は水を用意しに席を外した。



「……………で?それがヒナちゃんのいる『干渉世界』で作られた魔導具の一覧なわけ?」

    水を飲んで何とか落ち着いた皆と、テーブルを囲んで話し合いを始める。

「ネーミングがもう、最高っ!」

「斜め上な着眼点がすげぇんだ…」

   男共はまだ笑いを引きずっているのか、微妙ににやけている。

「まあまあ。ナナちゃんも何の道具の名前か、想像してみてよ♪」

    そんなユメの提案で、突然の連想ゲームに巻き込まれた。

「では第一問。〘お待たせくん〙…」

「…………は?待たせる?待たせる道具?タイマー?」

    ユメの言葉に首を傾げつつも、そう答えてみる。

「うん。〘お待たせくん〙は、キッチンタイマーだね。一定時間きたら光るんだって。んで、〘新・お待たせくん〙になると、音で時間が来たのを教えてくれるんだって♪」

「……へぇ……」

    なんとも言えない私の側では、ディーが目を輝かせている。これ、欲しいとか言い出さないよね?

    ちょっと不安になってくる。

「んじゃ、次な。〘呼んでるくん〙と〘呼ばれたさん〙って名前でセットの魔導具」

「……電話……」

    アッキーにそう答えると、チュンタがユメの後ろからヒソヒソ話し始めた。

「ちょっと、あの人。出だしから当ててますけどぉ?」

「うーん。さすがナナちゃん?」

    チュンタの言い方がものすごーーくムカついてくる。

「…〘愛の立ち回り〙……」

「………あぁん?」

「〘愛情の重さ〙、〘聖なる愛〙………」

「……………」

    続けて言ってくるアッキーを思わず睨んでしまったが、彼は気にせず言い続け、私は並べられた言葉に思考が停止した。

    ずいぶん、愛の大安売りしてるわね……。

    そして、ふと思い出す。戻った時、チュンタの口にしていた言葉を……。

「……〘愛の空回り〙とか言ってなかったっけ?作ってるの同じ人か、同じとこ?」

    三人はきょとんとこっちを見ると、リンクしてるみたいに揃って首を振った。

     なんかムカつく……。

「同じ人が作ってるみたいだよぉ」

「ちなみに、順番に言うと、ハンドミキサー、キッチンスケール、食洗機、洗濯機な…」

「空回ったら洗濯できねえと思うよなぁ‪w」

    確かに他のはともかく、最後の商品名は認めたくない気がする。

「そんでもって、ヒナちゃんの提案により作られた魔導具ってのがあってね…」

「はい?」

   転生者の彼女が、何を提案したって?

「〘騙されま戦士〙ってのと、それを改良したのが〘いつでも見れマウス〙ってやつ」

    いや。なんで『戦士』と名が付くものを改良したら『鼠』になるの?何なの、その魔導具!?ヒナちゃん、一体何を作らせたのーっ!?

「え?何?嘘発見器とか作っちゃったの!?」

「いや、簡単に言や、防犯カメラと配信動画ってとこだな…」

「仕様によると、そうなってるけど、実際に商品の宣伝の仕方見てると、ビデオカメラだよねぇ…」

「そのうち、さらに改良したテレビ電話みてぇなの、できんじゃねえの?ほら、ヒナっち。寿命が変わったじゃん……」

   チュンタの言葉に、ヒナちゃんがそれを・・・どんな思いで提案したのか想像してしまった。

    ……まあ。制作に必要な品も販売方法も大丈夫そうだから、今はいっかーー。

    渡された書類を眺めて、納得するしかなかった。

「………ところで。ディーいなくなってるけど、何処行った?」

「「「っ!?」」」

    この後、ディーのやらかしがまた発生し、私の手にはハリセンが握りしめられたーーーー。






    
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