81 / 110
第八章 魔導具の聖地?
9
しおりを挟む
[アストル視点]
「アル。トワレ男爵領で、何やら面白い魔導具が出回ってるらしい。あそこなら問題もなかろうから、初仕事として行っておいで♪」
そう言って、国王である父上から僕が命じられたのは、魔導具の聖地と呼ばれているトワレ男爵領へのお忍び視察だった。
お忍びとはいえ、初めての公務。初めての遠出。
いつもの授業の一環でしている、王都でのお忍びとは違います。
護衛にはレオ姉様達とよく討伐に出るアルテの所属する分隊が付いてくれました。魔獣ばかりか盗賊にも強い者達なので安心です。
何より、レオ姉様の行動に慣れている!!
※注 何が起こるか分からないことが多いから、何とか対応できる能力が他の者達よりかなり高い。
これは、とても重要です!
これほど万全に準備をしていていただいたのです。しっかり視察を務めねばっ!!
ーーそう気合を入れて向かったトワレ男爵領は………。
「…アルテ。トワレ男爵領は魔導具の聖地と伺っていたのですが……」
目に入る風景に思わず隣に立つアルテに声をかけました。
「あー。そうですね。前に来た時より、かなり様変わりしてますね、これ……」
「様変わり………」
そんな言葉で済まされるのでしょうか?
僕の目の前では、無数のレオ姉様が動き回っています。
僕より小さな形で踊るレオ姉様。頭上では勇ましく魔物討伐をしているレオ姉様…と、あちこちでレオ姉様の色んな姿が見られているのです。
「……アルテ隊長…」
護衛の一人が恐る恐るアルテに声をかけました。
「あの上に映っている討伐。我々が出かける前に入った依頼の討伐でないかと……」
「は?いや……。確かにそうだ。…待て!つまり、これは現在の状況がここで見られているということかっ!!」
『っ!?』
驚いて再び見上げる僕達に、近くを通りかかったご婦人が笑いだしました。
「あんたら、他所から来たのかい?すごいだろ?あれは新しく出来た、〘騙されま戦士〙を改良したとかいうやつでね。〘いつでも見れ鼠〙ってやつさ!」
何なんでしょう、その名前………。
呆気に取られている僕達に、ご婦人は近くにある噴水を指差しました。
「あそこの噴水の側に、黒い鼠の置きもんがあるだろ?あれと白い鼠の置きもんがセットになってんだよ。白いのから見えてる景色が、黒いのに送られてくんのさ。何でも国内の半分くらいの距離なら送れるそうだよ。最も、白い方は使用者が操作してなきゃいけないようだけどさ!」
つまり僕達が見ているのは、現在、魔物を討伐しているレオ姉様達の姿に間違いないということではないですかっ!?
「……か、改良の速さが半端ない……」
アルテが頭を抱えてそう呟いてました。
時折、エレ兄様の姿を映している物もありましたが、ほとんどレオ姉様です。
いつの物なのか、色んなドレス姿のレオ姉様もありました。
「……あれはダメでは無いのですか?」
「いや、殿下。多分、ドレスのヤツはガディル殿下の仕事です……。あの方、レオを閉じ込めたがる割には、見せびらかしたがる方なので……」
……そうですか。ガディル殿の……。レオ姉様、大変ですね。
そんな現象がしばらく続き、トワレ男爵領は【魔導具の聖地】から、いつの間にか【『勇者』信仰の地】と呼ばれるようになりました……。
レオ姉様。信仰されちゃいましたよーーーー。
「アル。トワレ男爵領で、何やら面白い魔導具が出回ってるらしい。あそこなら問題もなかろうから、初仕事として行っておいで♪」
そう言って、国王である父上から僕が命じられたのは、魔導具の聖地と呼ばれているトワレ男爵領へのお忍び視察だった。
お忍びとはいえ、初めての公務。初めての遠出。
いつもの授業の一環でしている、王都でのお忍びとは違います。
護衛にはレオ姉様達とよく討伐に出るアルテの所属する分隊が付いてくれました。魔獣ばかりか盗賊にも強い者達なので安心です。
何より、レオ姉様の行動に慣れている!!
※注 何が起こるか分からないことが多いから、何とか対応できる能力が他の者達よりかなり高い。
これは、とても重要です!
これほど万全に準備をしていていただいたのです。しっかり視察を務めねばっ!!
ーーそう気合を入れて向かったトワレ男爵領は………。
「…アルテ。トワレ男爵領は魔導具の聖地と伺っていたのですが……」
目に入る風景に思わず隣に立つアルテに声をかけました。
「あー。そうですね。前に来た時より、かなり様変わりしてますね、これ……」
「様変わり………」
そんな言葉で済まされるのでしょうか?
僕の目の前では、無数のレオ姉様が動き回っています。
僕より小さな形で踊るレオ姉様。頭上では勇ましく魔物討伐をしているレオ姉様…と、あちこちでレオ姉様の色んな姿が見られているのです。
「……アルテ隊長…」
護衛の一人が恐る恐るアルテに声をかけました。
「あの上に映っている討伐。我々が出かける前に入った依頼の討伐でないかと……」
「は?いや……。確かにそうだ。…待て!つまり、これは現在の状況がここで見られているということかっ!!」
『っ!?』
驚いて再び見上げる僕達に、近くを通りかかったご婦人が笑いだしました。
「あんたら、他所から来たのかい?すごいだろ?あれは新しく出来た、〘騙されま戦士〙を改良したとかいうやつでね。〘いつでも見れ鼠〙ってやつさ!」
何なんでしょう、その名前………。
呆気に取られている僕達に、ご婦人は近くにある噴水を指差しました。
「あそこの噴水の側に、黒い鼠の置きもんがあるだろ?あれと白い鼠の置きもんがセットになってんだよ。白いのから見えてる景色が、黒いのに送られてくんのさ。何でも国内の半分くらいの距離なら送れるそうだよ。最も、白い方は使用者が操作してなきゃいけないようだけどさ!」
つまり僕達が見ているのは、現在、魔物を討伐しているレオ姉様達の姿に間違いないということではないですかっ!?
「……か、改良の速さが半端ない……」
アルテが頭を抱えてそう呟いてました。
時折、エレ兄様の姿を映している物もありましたが、ほとんどレオ姉様です。
いつの物なのか、色んなドレス姿のレオ姉様もありました。
「……あれはダメでは無いのですか?」
「いや、殿下。多分、ドレスのヤツはガディル殿下の仕事です……。あの方、レオを閉じ込めたがる割には、見せびらかしたがる方なので……」
……そうですか。ガディル殿の……。レオ姉様、大変ですね。
そんな現象がしばらく続き、トワレ男爵領は【魔導具の聖地】から、いつの間にか【『勇者』信仰の地】と呼ばれるようになりました……。
レオ姉様。信仰されちゃいましたよーーーー。
10
お気に入りに追加
41
あなたにおすすめの小説
義妹が大事だと優先するので私も義兄を優先する事にしました
さこの
恋愛
婚約者のラウロ様は義妹を優先する。
私との約束なんかなかったかのように…
それをやんわり注意すると、君は家族を大事にしないのか?冷たい女だな。と言われました。
そうですか…あなたの目にはそのように映るのですね…
分かりました。それでは私も義兄を優先する事にしますね!大事な家族なので!
妹に傷物と言いふらされ、父に勘当された伯爵令嬢は男子寮の寮母となる~そしたら上位貴族のイケメンに囲まれた!?~
サイコちゃん
恋愛
伯爵令嬢ヴィオレットは魔女の剣によって下腹部に傷を受けた。すると妹ルージュが“姉は子供を産めない体になった”と嘘を言いふらす。その所為でヴィオレットは婚約者から婚約破棄され、父からは娼館行きを言い渡される。あまりの仕打ちに父と妹の秘密を暴露すると、彼女は勘当されてしまう。そしてヴィオレットは母から託された古い屋敷へ行くのだが、そこで出会った美貌の双子からここを男子寮とするように頼まれる。寮母となったヴィオレットが上位貴族の令息達と暮らしていると、ルージュが現れてこう言った。「私のために家柄の良い美青年を集めて下さいましたのね、お姉様?」しかし令息達が性悪妹を歓迎するはずがなかった――
病弱な幼馴染と婚約者の目の前で私は攫われました。
鍋
恋愛
フィオナ・ローレラは、ローレラ伯爵家の長女。
キリアン・ライアット侯爵令息と婚約中。
けれど、夜会ではいつもキリアンは美しく儚げな女性をエスコートし、仲睦まじくダンスを踊っている。キリアンがエスコートしている女性の名はセレニティー・トマンティノ伯爵令嬢。
セレニティーとキリアンとフィオナは幼馴染。
キリアンはセレニティーが好きだったが、セレニティーは病弱で婚約出来ず、キリアンの両親は健康なフィオナを婚約者に選んだ。
『ごめん。セレニティーの身体が心配だから……。』
キリアンはそう言って、夜会ではいつもセレニティーをエスコートしていた。
そんなある日、フィオナはキリアンとセレニティーが濃厚な口づけを交わしているのを目撃してしまう。
※ゆるふわ設定
※ご都合主義
※一話の長さがバラバラになりがち。
※お人好しヒロインと俺様ヒーローです。
※感想欄ネタバレ配慮ないのでお気をつけくださいませ。
【完結】聖女にはなりません。平凡に生きます!
暮田呉子
ファンタジー
この世界で、ただ平凡に、自由に、人生を謳歌したい!
政略結婚から三年──。夫に見向きもされず、屋敷の中で虐げられてきたマリアーナは夫の子を身籠ったという女性に水を掛けられて前世を思い出す。そうだ、前世は慎ましくも充実した人生を送った。それなら現世も平凡で幸せな人生を送ろう、と強く決意するのだった。
絶対に間違えないから
mahiro
恋愛
あれは事故だった。
けれど、その場には彼女と仲の悪かった私がおり、日頃の行いの悪さのせいで彼女を階段から突き落とした犯人は私だと誰もが思ったーーー私の初恋であった貴方さえも。
だから、貴方は彼女を失うことになった私を許さず、私を死へ追いやった………はずだった。
何故か私はあのときの記憶を持ったまま6歳の頃の私に戻ってきたのだ。
どうして戻ってこれたのか分からないが、このチャンスを逃すわけにはいかない。
私はもう彼らとは出会わず、日頃の行いの悪さを見直し、平穏な生活を目指す!そう決めたはずなのに...……。
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
幼妻は、白い結婚を解消して国王陛下に溺愛される。
秋月乃衣
恋愛
旧題:幼妻の白い結婚
13歳のエリーゼは、侯爵家嫡男のアランの元へ嫁ぐが、幼いエリーゼに夫は見向きもせずに初夜すら愛人と過ごす。
歩み寄りは一切なく月日が流れ、夫婦仲は冷え切ったまま、相変わらず夫は愛人に夢中だった。
そしてエリーゼは大人へと成長していく。
※近いうちに婚約期間の様子や、結婚後の事も書く予定です。
小説家になろう様にも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる