79 / 110
第八章 魔導具の聖地?
7
しおりを挟む
[アルテ視点]
「……は?魔導具の提案したから、足りない素材の確保に行く?お前、護衛の仕事どうすんの?」
宿屋からトワレ男爵邸へと移動することになって数日。そろそろ帰りの護衛に付く頃合かと話に来ると、レオの提案した魔導具を作るために不足している素材を集めに行くとか言い出した。
「ガンツさんの許可は取ってあるよ?というか、ガンツさんも欲しいとかで残って完成待つとか言ってたよ?」
「「は?」」
オレもクルトも聞いてないんですけど?
「で、思いっきり個人的な事情だから、私一人でやるから、二人は男爵邸で待って「却下だ、ドアホッ!!」」
さらりととんでもない発言をしてきたレオに食い気味に反対する。
こいつ、オレ達が護衛も兼ねてるって忘れてるだろっ!!
実力では確かに『勇者』であるレオより劣る。それはまあ、情けないけど仕方ない事実だ。だけど、それとこれは別問題だ。今のオレ達はレオのお目付けも兼ねているのだから、単独行動なんかさせれるわけが無いのだ。
「……一体どんな魔導具を作ろうとしているんです?」
溜息をつきながらクルトがそう言う。
「……見てる景色とかをそのまま印刷して持ち歩けるようにできる魔導具と、一定の範囲内の光景を保存して繰り返し見れるようにする魔導具……」
「「…………」」
気まずそうに言うレオの姿に、陛下から聞かされていた話を思い出す。
ガディル殿下の番になったレオは、オレ達と共に歳を取る事が出来なくなった。だから、数年の内に魔族領へと嫁ぎ、滅多にこちらに戻らなくなるだろうと……。
幼い頃に離された両親からさらに離され、 ずっと側にいたエレからも離れなければならなくなったのだ。
いや、離れるというよりは、オレ達に置いていかれることになったのだ。
そりゃ、そんな魔導具があれば……。
クルトもオレと同じ想いなのだろう、目が合うと頷いてきた。
「……ガンツ会頭が待ってんならしゃーねえ。さっさと取りに行って作ってもらうしかねえだろ……」
「そうですね。速やかに済ませてしまいましょう……」
そう言うオレ達を、レオはバカみたいに大口を開けて見ていた。
「……いいの?」
「それこそ、今さらですよ」
「んで、何の素材がいるんだ?」
ポンポンと軽く頭を叩いてやると、にっこりと笑った。
「あのね。氷竜の鱗がいるの!」
その瞬間のオレ達の気持ち。誰か分かるだろうか?
「………氷竜?」
クルトはそう呟いて固まった。
分かる。分かるぞ、クルト!ちょっとそこまで買い物に…的なノリで言われたから、そこまで大したことがないって思ったよな?
まさかのSSランク素材です。しかもーー。
「魔族領にしかいねえじゃねえかーっ!!」
「あ。そうなんだ……」
オレの叫びにキョトンとして答えるレオ。
だから、お前はもう少し考えて動くことを覚えてくれーーーーっ!!
「……は?魔導具の提案したから、足りない素材の確保に行く?お前、護衛の仕事どうすんの?」
宿屋からトワレ男爵邸へと移動することになって数日。そろそろ帰りの護衛に付く頃合かと話に来ると、レオの提案した魔導具を作るために不足している素材を集めに行くとか言い出した。
「ガンツさんの許可は取ってあるよ?というか、ガンツさんも欲しいとかで残って完成待つとか言ってたよ?」
「「は?」」
オレもクルトも聞いてないんですけど?
「で、思いっきり個人的な事情だから、私一人でやるから、二人は男爵邸で待って「却下だ、ドアホッ!!」」
さらりととんでもない発言をしてきたレオに食い気味に反対する。
こいつ、オレ達が護衛も兼ねてるって忘れてるだろっ!!
実力では確かに『勇者』であるレオより劣る。それはまあ、情けないけど仕方ない事実だ。だけど、それとこれは別問題だ。今のオレ達はレオのお目付けも兼ねているのだから、単独行動なんかさせれるわけが無いのだ。
「……一体どんな魔導具を作ろうとしているんです?」
溜息をつきながらクルトがそう言う。
「……見てる景色とかをそのまま印刷して持ち歩けるようにできる魔導具と、一定の範囲内の光景を保存して繰り返し見れるようにする魔導具……」
「「…………」」
気まずそうに言うレオの姿に、陛下から聞かされていた話を思い出す。
ガディル殿下の番になったレオは、オレ達と共に歳を取る事が出来なくなった。だから、数年の内に魔族領へと嫁ぎ、滅多にこちらに戻らなくなるだろうと……。
幼い頃に離された両親からさらに離され、 ずっと側にいたエレからも離れなければならなくなったのだ。
いや、離れるというよりは、オレ達に置いていかれることになったのだ。
そりゃ、そんな魔導具があれば……。
クルトもオレと同じ想いなのだろう、目が合うと頷いてきた。
「……ガンツ会頭が待ってんならしゃーねえ。さっさと取りに行って作ってもらうしかねえだろ……」
「そうですね。速やかに済ませてしまいましょう……」
そう言うオレ達を、レオはバカみたいに大口を開けて見ていた。
「……いいの?」
「それこそ、今さらですよ」
「んで、何の素材がいるんだ?」
ポンポンと軽く頭を叩いてやると、にっこりと笑った。
「あのね。氷竜の鱗がいるの!」
その瞬間のオレ達の気持ち。誰か分かるだろうか?
「………氷竜?」
クルトはそう呟いて固まった。
分かる。分かるぞ、クルト!ちょっとそこまで買い物に…的なノリで言われたから、そこまで大したことがないって思ったよな?
まさかのSSランク素材です。しかもーー。
「魔族領にしかいねえじゃねえかーっ!!」
「あ。そうなんだ……」
オレの叫びにキョトンとして答えるレオ。
だから、お前はもう少し考えて動くことを覚えてくれーーーーっ!!
10
お気に入りに追加
41
あなたにおすすめの小説

義妹が大事だと優先するので私も義兄を優先する事にしました
さこの
恋愛
婚約者のラウロ様は義妹を優先する。
私との約束なんかなかったかのように…
それをやんわり注意すると、君は家族を大事にしないのか?冷たい女だな。と言われました。
そうですか…あなたの目にはそのように映るのですね…
分かりました。それでは私も義兄を優先する事にしますね!大事な家族なので!

【完結】聖女にはなりません。平凡に生きます!
暮田呉子
ファンタジー
この世界で、ただ平凡に、自由に、人生を謳歌したい!
政略結婚から三年──。夫に見向きもされず、屋敷の中で虐げられてきたマリアーナは夫の子を身籠ったという女性に水を掛けられて前世を思い出す。そうだ、前世は慎ましくも充実した人生を送った。それなら現世も平凡で幸せな人生を送ろう、と強く決意するのだった。

転生令嬢の食いしん坊万罪!
ねこたま本店
ファンタジー
訳も分からないまま命を落とし、訳の分からない神様の手によって、別の世界の公爵令嬢・プリムローズとして転生した、美味しい物好きな元ヤンアラサー女は、自分に無関心なバカ父が後妻に迎えた、典型的なシンデレラ系継母と、我が儘で性格の悪い妹にイビられたり、事故物件王太子の中継ぎ婚約者にされたりつつも、しぶとく図太く生きていた。
そんなある日、プリムローズは王侯貴族の子女が6~10歳の間に受ける『スキル鑑定の儀』の際、邪悪とされる大罪系スキルの所有者であると判定されてしまう。
プリムローズはその日のうちに、同じ判定を受けた唯一の友人、美少女と見まごうばかりの気弱な第二王子・リトス共々捕えられた挙句、国境近くの山中に捨てられてしまうのだった。
しかし、中身が元ヤンアラサー女の図太い少女は諦めない。
プリムローズは時に気弱な友の手を引き、時に引いたその手を勢い余ってブン回しながらも、邪悪と断じられたスキルを駆使して生き残りを図っていく。
これは、図太くて口の悪い、ちょっと(?)食いしん坊な転生令嬢が、自分なりの幸せを自分の力で掴み取るまでの物語。
こちらの作品は、2023年12月28日から、カクヨム様でも掲載を開始しました。
今後、カクヨム様掲載用にほんのちょっとだけ内容を手直しし、1話ごとの文章量を増やす事でトータルの話数を減らした改訂版を、1日に2回のペースで投稿していく予定です。多量の加筆修正はしておりませんが、もしよろしければ、カクヨム版の方もご笑覧下さい。
※作者が適当にでっち上げた、完全ご都合主義的世界です。細かいツッコミはご遠慮頂ければ幸いです。もし、目に余るような誤字脱字を発見された際には、コメント欄などで優しく教えてやって下さい。
※検討の結果、「ざまぁ要素あり」タグを追加しました。
スキルが【アイテムボックス】だけってどうなのよ?
山ノ内虎之助
ファンタジー
高校生宮原幸也は転生者である。
2度目の人生を目立たぬよう生きてきた幸也だが、ある日クラスメイト15人と一緒に異世界に転移されてしまう。
異世界で与えられたスキルは【アイテムボックス】のみ。
唯一のスキルを創意工夫しながら異世界を生き抜いていく。

何かと「ひどいわ」とうるさい伯爵令嬢は
だましだまし
ファンタジー
何でもかんでも「ひどいわ」とうるさい伯爵令嬢にその取り巻きの侯爵令息。
私、男爵令嬢ライラの従妹で親友の子爵令嬢ルフィナはそんな二人にしょうちゅう絡まれ楽しい学園生活は段々とつまらなくなっていった。
そのまま卒業と思いきや…?
「ひどいわ」ばっかり言ってるからよ(笑)
全10話+エピローグとなります。

【完結】初級魔法しか使えない低ランク冒険者の少年は、今日も依頼を達成して家に帰る。
アノマロカリス
ファンタジー
少年テッドには、両親がいない。
両親は低ランク冒険者で、依頼の途中で魔物に殺されたのだ。
両親の少ない保険でやり繰りしていたが、もう金が尽きかけようとしていた。
テッドには、妹が3人いる。
両親から「妹達を頼む!」…と出掛ける前からいつも約束していた。
このままでは家族が離れ離れになると思ったテッドは、冒険者になって金を稼ぐ道を選んだ。
そんな少年テッドだが、パーティーには加入せずにソロ活動していた。
その理由は、パーティーに参加するとその日に家に帰れなくなるからだ。
両親は、小さいながらも持ち家を持っていてそこに住んでいる。
両親が生きている頃は、父親の部屋と母親の部屋、子供部屋には兄妹4人で暮らしていたが…
両親が死んでからは、父親の部屋はテッドが…
母親の部屋は、長女のリットが、子供部屋には、次女のルットと三女のロットになっている。
今日も依頼をこなして、家に帰るんだ!
この少年テッドは…いや、この先は本編で語ろう。
お楽しみくださいね!
HOTランキング20位になりました。
皆さん、有り難う御座います。

聖女の娘に転生したのに、色々とハードな人生です。
みちこ
ファンタジー
乙女ゲームのヒロインの娘に転生した主人公、ヒロインの娘なら幸せな暮らしが待ってると思ったけど、実際は親から放置されて孤独な生活が待っていた。

【完結】仰る通り、貴方の子ではありません
ユユ
恋愛
辛い悪阻と難産を経て産まれたのは
私に似た待望の男児だった。
なのに認められず、
不貞の濡れ衣を着せられ、
追い出されてしまった。
実家からも勘当され
息子と2人で生きていくことにした。
* 作り話です
* 暇つぶしにどうぞ
* 4万文字未満
* 完結保証付き
* 少し大人表現あり
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる