78 / 110
第八章 魔導具の聖地?
6
しおりを挟む
[エレオノール視点]
「……そんなにツボにはまっちゃったんだ…」
魔導具店での出来事から始まり、宿屋までの出来事を聞き終わると、思い出し笑いが止まらなくなったレオを思わず見つめました。
こんなに笑うの見るの初めてじゃないかな?
座ったソファにお腹を抱えて、涙目で転がって身体を震わせ続けるレオ。
生まれてからずっと一緒に居ましたが、ここまで笑う姿を見るのは初めてです。
「それで?宿屋の方はどうするの?戻ってもまた同じことになるんじゃない?」
「……あー。そこはほら。アルテ達の采配次第という事で♪」
「……丸投げだよね?」
「そうとも言うね!」
そうして、レオがいた世界の話をしていると、フレイアが男爵と共にやって来ました。
「レオ様。父のグスタフです」
「お初にお目にかかります、『勇者』殿。フレイアの父、グスタフ・ラグ・トワレ男爵にございます」
「レオノーラです。この度は突然、お邪魔してごめんなさい」
簡単に挨拶を済ませ、お茶を飲みながら話を続けます。
トワレ男爵は、レオの話に段々と目が輝き始めました。
「……なんと。レオ様の以前おられた世界にはそのような品が……」
「向こうは魔力や魔法がないから、科学や化学が発展してたからね…」
どんなものがあったのかという話から、男爵はこの世界でレオがまた使いたい物は無いかと尋ねました。
「こっちでも使いたい物……?んー…、カメラとかスマホかな?」
「それはどのような品で、どのような機能がございましたか?」
レオから詳しく話を聞くと、一旦部屋を出ていき、次に戻ってきた時には、手には書類らしき束が抱えられていた。
「実はこちらなのですが、我が領の若手の魔導具師達が製作希望の物なのです…」
渡された書類を受け取り、レオと二人読んでいきます。
「……カメラじゃなくてビデオが提案されてる……」
ポツリと呟いたレオの手元にあって書類を、隣から覗きこみました。
「……〘騙されま戦士〙……。これ、商品名なんだ…」
性能のところを読んでみると、
〘騙されま戦士〙
・魔道具から半径5メロ以内の景色や音声を正確に保存する。保存時間設定可能。
・レバーの切り替えで、保存した画像を誰でも見ることができる。
・どんなに嘘をついても、騙されることは無い!
………なるほど、最後のから取ってつけたんだ……。
なんで、『戦士』って付けたのかは謎ですが、この魔導具が完成すれば、流行るのは間違いありません。
「これ。使いようによっては犯罪にも使えるんだよねぇ……」
「例えば、どのようにですかな?」
「記録用魔導具は、操作する人がずっと付いて操作してなきゃだけど……」
気がつけば、男爵とレオは二人で端に移動して、あーでもないこーでもないと、色々と話し出しています。
「……エレ様。レオ様はこちらにお泊まりになるようにした方がよいみたいです……」
フレイアが苦笑いしながらそう言ってきた。
「うん。あの調子だとそうなるよね。構わないなら、クルトやアルテの部屋もお願いできるかな?」
「お任せくださいませ。ガンツ様にも遣いを出しておきますね」
男爵家の家令が、そのまま二人を連れて戻ってくるまで、レオと男爵の話は止まることがありませんでしたーーーー。
「……そんなにツボにはまっちゃったんだ…」
魔導具店での出来事から始まり、宿屋までの出来事を聞き終わると、思い出し笑いが止まらなくなったレオを思わず見つめました。
こんなに笑うの見るの初めてじゃないかな?
座ったソファにお腹を抱えて、涙目で転がって身体を震わせ続けるレオ。
生まれてからずっと一緒に居ましたが、ここまで笑う姿を見るのは初めてです。
「それで?宿屋の方はどうするの?戻ってもまた同じことになるんじゃない?」
「……あー。そこはほら。アルテ達の采配次第という事で♪」
「……丸投げだよね?」
「そうとも言うね!」
そうして、レオがいた世界の話をしていると、フレイアが男爵と共にやって来ました。
「レオ様。父のグスタフです」
「お初にお目にかかります、『勇者』殿。フレイアの父、グスタフ・ラグ・トワレ男爵にございます」
「レオノーラです。この度は突然、お邪魔してごめんなさい」
簡単に挨拶を済ませ、お茶を飲みながら話を続けます。
トワレ男爵は、レオの話に段々と目が輝き始めました。
「……なんと。レオ様の以前おられた世界にはそのような品が……」
「向こうは魔力や魔法がないから、科学や化学が発展してたからね…」
どんなものがあったのかという話から、男爵はこの世界でレオがまた使いたい物は無いかと尋ねました。
「こっちでも使いたい物……?んー…、カメラとかスマホかな?」
「それはどのような品で、どのような機能がございましたか?」
レオから詳しく話を聞くと、一旦部屋を出ていき、次に戻ってきた時には、手には書類らしき束が抱えられていた。
「実はこちらなのですが、我が領の若手の魔導具師達が製作希望の物なのです…」
渡された書類を受け取り、レオと二人読んでいきます。
「……カメラじゃなくてビデオが提案されてる……」
ポツリと呟いたレオの手元にあって書類を、隣から覗きこみました。
「……〘騙されま戦士〙……。これ、商品名なんだ…」
性能のところを読んでみると、
〘騙されま戦士〙
・魔道具から半径5メロ以内の景色や音声を正確に保存する。保存時間設定可能。
・レバーの切り替えで、保存した画像を誰でも見ることができる。
・どんなに嘘をついても、騙されることは無い!
………なるほど、最後のから取ってつけたんだ……。
なんで、『戦士』って付けたのかは謎ですが、この魔導具が完成すれば、流行るのは間違いありません。
「これ。使いようによっては犯罪にも使えるんだよねぇ……」
「例えば、どのようにですかな?」
「記録用魔導具は、操作する人がずっと付いて操作してなきゃだけど……」
気がつけば、男爵とレオは二人で端に移動して、あーでもないこーでもないと、色々と話し出しています。
「……エレ様。レオ様はこちらにお泊まりになるようにした方がよいみたいです……」
フレイアが苦笑いしながらそう言ってきた。
「うん。あの調子だとそうなるよね。構わないなら、クルトやアルテの部屋もお願いできるかな?」
「お任せくださいませ。ガンツ様にも遣いを出しておきますね」
男爵家の家令が、そのまま二人を連れて戻ってくるまで、レオと男爵の話は止まることがありませんでしたーーーー。
10
お気に入りに追加
41
あなたにおすすめの小説
妹に傷物と言いふらされ、父に勘当された伯爵令嬢は男子寮の寮母となる~そしたら上位貴族のイケメンに囲まれた!?~
サイコちゃん
恋愛
伯爵令嬢ヴィオレットは魔女の剣によって下腹部に傷を受けた。すると妹ルージュが“姉は子供を産めない体になった”と嘘を言いふらす。その所為でヴィオレットは婚約者から婚約破棄され、父からは娼館行きを言い渡される。あまりの仕打ちに父と妹の秘密を暴露すると、彼女は勘当されてしまう。そしてヴィオレットは母から託された古い屋敷へ行くのだが、そこで出会った美貌の双子からここを男子寮とするように頼まれる。寮母となったヴィオレットが上位貴族の令息達と暮らしていると、ルージュが現れてこう言った。「私のために家柄の良い美青年を集めて下さいましたのね、お姉様?」しかし令息達が性悪妹を歓迎するはずがなかった――
病弱な幼馴染と婚約者の目の前で私は攫われました。
鍋
恋愛
フィオナ・ローレラは、ローレラ伯爵家の長女。
キリアン・ライアット侯爵令息と婚約中。
けれど、夜会ではいつもキリアンは美しく儚げな女性をエスコートし、仲睦まじくダンスを踊っている。キリアンがエスコートしている女性の名はセレニティー・トマンティノ伯爵令嬢。
セレニティーとキリアンとフィオナは幼馴染。
キリアンはセレニティーが好きだったが、セレニティーは病弱で婚約出来ず、キリアンの両親は健康なフィオナを婚約者に選んだ。
『ごめん。セレニティーの身体が心配だから……。』
キリアンはそう言って、夜会ではいつもセレニティーをエスコートしていた。
そんなある日、フィオナはキリアンとセレニティーが濃厚な口づけを交わしているのを目撃してしまう。
※ゆるふわ設定
※ご都合主義
※一話の長さがバラバラになりがち。
※お人好しヒロインと俺様ヒーローです。
※感想欄ネタバレ配慮ないのでお気をつけくださいませ。
【完結】聖女にはなりません。平凡に生きます!
暮田呉子
ファンタジー
この世界で、ただ平凡に、自由に、人生を謳歌したい!
政略結婚から三年──。夫に見向きもされず、屋敷の中で虐げられてきたマリアーナは夫の子を身籠ったという女性に水を掛けられて前世を思い出す。そうだ、前世は慎ましくも充実した人生を送った。それなら現世も平凡で幸せな人生を送ろう、と強く決意するのだった。
絶対に間違えないから
mahiro
恋愛
あれは事故だった。
けれど、その場には彼女と仲の悪かった私がおり、日頃の行いの悪さのせいで彼女を階段から突き落とした犯人は私だと誰もが思ったーーー私の初恋であった貴方さえも。
だから、貴方は彼女を失うことになった私を許さず、私を死へ追いやった………はずだった。
何故か私はあのときの記憶を持ったまま6歳の頃の私に戻ってきたのだ。
どうして戻ってこれたのか分からないが、このチャンスを逃すわけにはいかない。
私はもう彼らとは出会わず、日頃の行いの悪さを見直し、平穏な生活を目指す!そう決めたはずなのに...……。
幼妻は、白い結婚を解消して国王陛下に溺愛される。
秋月乃衣
恋愛
旧題:幼妻の白い結婚
13歳のエリーゼは、侯爵家嫡男のアランの元へ嫁ぐが、幼いエリーゼに夫は見向きもせずに初夜すら愛人と過ごす。
歩み寄りは一切なく月日が流れ、夫婦仲は冷え切ったまま、相変わらず夫は愛人に夢中だった。
そしてエリーゼは大人へと成長していく。
※近いうちに婚約期間の様子や、結婚後の事も書く予定です。
小説家になろう様にも掲載しています。
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
無一文で追放される悪女に転生したので特技を活かしてお金儲けを始めたら、聖女様と呼ばれるようになりました
結城芙由奈@12/27電子書籍配信
恋愛
スーパームーンの美しい夜。仕事帰り、トラックに撥ねらてしまった私。気づけば草の生えた地面の上に倒れていた。目の前に見える城に入れば、盛大なパーティーの真っ最中。目の前にある豪華な食事を口にしていると見知らぬ男性にいきなり名前を呼ばれて、次期王妃候補の資格を失ったことを聞かされた。理由も分からないまま、家に帰宅すると「お前のような恥さらしは今日限り、出ていけ」と追い出されてしまう。途方に暮れる私についてきてくれたのは、私の専属メイドと御者の青年。そこで私は2人を連れて新天地目指して旅立つことにした。無一文だけど大丈夫。私は前世の特技を活かしてお金を稼ぐことが出来るのだから――
※ 他サイトでも投稿中
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる