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第七章 神獣様と一緒!

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[レオノーラ視点]

「レオ。魔王殿から魔族領に来て欲しいと書状がきた……」

   バカみたいに送られてくるガディルからのお誘いを断りまくってたら、断れないとこからお呼びがかかってしまった。

「……魔王様そっちからきたか…」

   個人的な誘いならともかく、国から国への書状となれば、断る訳にも行かないわけでーー。

「………巻き込まないで欲しいんだクパ……」

    討伐じゃないからと、護衛はオリクス親子だけ。ついでにきんちゃんを連れてくことにしたら、ものすごーく迷惑そうに言われた。

「……だって、癒しがないんだもん…」

   そもそもガディルの婚約者のはずの私が、なんで婚約者選別パーティーとやらに出ないと行けないの?まだ候補だったの?魔族領では婚約者と認識されてないってこと?

    さらには魔族領ではあの・・侍女さん達のお世話になるのだ。

「………行きたくないぃ…」

    さっさと行って帰りたいと愚痴ってたら、きんちゃん連れてくから馬車がいるだろと言われた。

「……小さくなればいいクパ?」

『………は?』

    馬車での最短日数や宿泊先の相談してたら、不意にきんちゃんがそう言って体から光を発した。
    眩しさに目を閉じ、光が収まってから目を開けると、きんちゃんの姿が消えていた。

「え?え?きんちゃん、どこ行った!?」

   慌てる私達。
   ポンポンとブーツの上に軽い衝撃を受け、下を見れば手の平サイズになったきんちゃんがーー。

「ちっさ!きんちゃん。ノーマルサイズにもなれたんだ!?」

「ノーマル?」

   しゃがんで手の中に乗せて持ち上げる。隣りで首を傾げるアルテは放置しとく。

『これなら、馬で行けるクパ?』

   騎馬での移動決定の瞬間であるーー。


※※※※※※※※※※
[ラムダス視点]

「レオ!レオ、会いたかったぞ!!」

    騎馬で到着したレオ様一行。レオ様の他には護衛騎士が二人だけ。
    馬上のレオ様のところに駆けつけ、殿下はレオ様を手ずから下ろされました。

『……』

   城の一部の窓からは、ご令嬢の皆様の侮蔑の視線がレオ様に向けられておりますが、久々に会えたレオ様に殿下が気づく訳もなく。そして、『勇者』であるレオ様が気にする訳もなく。
    まあ、旅装姿のレオ様です。女性と言うよりも少年っぽいので、色気重視の皆様は恐らく心中では、『勝った!』などと思っているのではないでしょうか?
    何せ本日行われる【婚約者選別パーティー】は、人族のレオ様が亡くなられた・・・・・・後に正妃となる側妃を選ぶためのものなのです。
    殿下がレオ様とつがいになったと何度も仰っているのに、滅多に成功例が無いことだけに、一部の者しか信じておらずにこの現状です。
    陛下の言葉すら信用されてないために、こんなことをしてるわけです、愚かなことです。

「…いっそ、皆様の目の前で、《鑑定》されては如何でございましょうか?」

    うんざりしている我々に、そう提案したのは侍女長でした。

    この方。レオ様のつがいの印を確認した中の一人でもありますし、何より殿下付きの侍女達はレオ様を磨き、着飾ることに一致団結しているのです。

    幾人かのご令嬢達から、レオ様を『貧相』とか『お子様』とか色々言われた鬱憤もあり、レオ様以外にはお仕えしたくない!とまで公言してます。すごいな、レオ様……。

    そんな感じで本日は、レオ様にも出ていただき、魔族領一の《鑑定》持ちである宰相様に、レオ様を《鑑定》していただき、側妃の必要性はないと証明させていただくのです。

    あ。久々のレオ様を抱きしめて堪能されてましたが、侍女長が引き剥がして連れて行かれましたね。
    これから、隅々まで磨かれ、前回のドレスを着たレオ様と、前回と同じ姿の殿下が、今回は連れ立って登場です。

    正直申しまして、ご令嬢達が側妃になれば散財されそうですが、レオ様の場合は『勇者』が本業ですし、ご自身も着飾ることに興味はないようなので、最低限の予算でも余りそうです。
   そもそもレオ様は孤児院や救護院、救貧院への寄付をされることが多く、殿下と婚約してからは魔族領にも寄付をされております。

    民衆からの人気もぶっちぎり。

    そんなレオ様が着飾って現れるのです。しかも、今回は神獣様もご一緒です!出来レースです!

「おっと……。いけませんね……」

    落ち込む殿下をいつの間にか現れた神獣様とオリクス殿達が慰めてくださっています。
   ぶっちゃけ殿下は後回しにしても構わないので、先に皆様を部屋に案内し、陛下にお会いしていただかねばなりません。

    ああ。今夜のパーティーはきっと胸がすく物が見れることでしょう!楽しみですね!!




    
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