双子の姉は『勇者』ですが、弟の僕は『聖女』です。

ミアキス

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第六章 五十歩百歩

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[ガディル視点]

「…………何だ、その変な生き物は……」

「きんちゃんだけど?」

「クーパァ?」

    外側と内側に別れていた討伐部隊は、ちょうど中間くらいの位置で合流した。
    愛しいつがいに会えた喜びを語ろうとした俺は、その腕の中にいる黄色の変な生き物を見た瞬間、言葉を無くしていた。
    トカゲのようでトカゲでもなく、赤い目でこっちを見ながら、首を傾げるあざとさにムカつく。しかも当たり前のようにレオの腕の中にいるのが、さらにムカつくのだ。

「……魔物は討伐しなくてはならん…」

    剣の柄に手を伸ばすと、レオの呆れた顔が目に入った。

「……魔物じゃないよ。多分、この子は神界・・の子だと思うから……」

   その言葉にもう一度、その生き物を見る。

「……お前。この珍妙な生き物が、神界のものなわけが「ごっめーん!!」」

    溜息をつきながら口した言葉は、上から降り注いだ金色の光と、聞き覚えのある声に妨げられたーーーー。


※※※※※※※※※※
[御影視点]

「……え?何で、ヒナちゃんのとこに行ってるの?」

    捜していた自身の大事な神獣ー管理世界にて御影の神獣として認知されているーが、レオノーラの、側にいることを確認した。

「いや。こっちが聞きてぇし……」

   明夫が溜息をつきながら、全員を見回す。

「なあ…。ディー、何処行ったか知ってるか?」

「「「…………」」」

    そう。トラブルメーカーと化しているディアルの姿が見当たらないのである。

「…まさか、連れ歩いたりしてないよね?」

    口の端を引き攣らせながら、夢乃がそう言うと、ほかの三人は視線を逸らした。

「……可能性がないと言えないのが辛い……」

   一時期、落ち込んだディアルは、愛想のいい神獣達にくっついていた時期があるのだ。

「ヒナっち達が殺されかけたのが、かなり堪えたみたいだからなぁ…。癒されに行って空間閉じ忘れ…た…」

    チュンタは自分の言葉に顔色を変え、御影の顔を見た。

「……空いてた……。空いてて、きんちゃんだけがいなくなってたから、捜してたのよ!!」

    やらかし案件発覚の瞬間であったーーーー。


※※※※※※※※※※

「きんちゃん!」

「クパッ!クパァーーッ!!」

   光と共に現れたのは女神姿ではない・・・・御影であった。
   現れた御影に、きんちゃんは声を上げて飛びついていく。

「良かった……。魔物に間違われて襲われてたら。どうしようかと……」

    頭を擦り付けるきんちゃんを撫でながら、御影がホッと息を吐き出した。

「……ほら。神界の子だったでしょ?」

   レオの言葉に気まずげに顔を背けるガディル。

「ありがとう、ヒナちゃん。危うくこの世界が滅ぶとこだったわ…」

「「………は?」」

    しかし、ポロリと零された御影の言葉に、二人は固まった。

「み、御影さん……。世界が滅ぶって何で……?」

   恐る恐る尋ねるレオに、御影はにっこりと笑った。

「この子、何でも吸い込んじゃうの。いつもは魔物とか害のあるものとか、私が許可の出したものを食べるんだけどね。 攻撃されちゃうと、怒って手当たり次第に吸い込んじゃうのよ……」

「……容量制限…とかは?」

「…とりあえず、惑星一個分くらいかな?」

    




    
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