54 / 110
第六章 五十歩百歩
3
しおりを挟む
[ガディル視点]
「………………」
エレのとこから戻り、湯に浸かりラムダス達を下げて寝室へ入った。
掛布をめくり、何気無しに身体を滑り込ませた所で違和感に気づき、そちらを向いて言葉をなくした。
現在の状況である。
「ん………」
ゴロンと寝返りをうち、こちらを向いた顔はよく知る顔で。しかもよくよく見れば、着ているのは自分のシャツである。かなり際どいとこまで胸元が目につく。
何だ、これ?どういう事だ?
無防備にすやすやと眠る婚約者に、思考もまともに働かず、カタンという物音にそちらを向けば、俺の部屋のドアの反対側にあるドアから、ひょこっと侍女長達の顔が覗いていた。
そう、覗いていたのだ!
『!』
グッと拳を握って、俺に向かって頷くと、そっとドアが閉められた。その瞬間、部屋に満ちていくのは防音と防御の結界だ。
いや、何で防音?昨日までは防御だけだったろうがっ!?
しかも先程覗かれていたドアの向こうは王子妃の部屋。つまり、俺の妻となる女のための部屋なわけで……。
「……これはつまり、そういう事をしても良いという事か……」
ゴクリと唾を飲み込んだのは、無意識だった。
一応、男として経験はある。あるのだが、いざ焦がれた相手を前にして、さっさと…とはいかなかった。
なぜなら、レオが寝てるから。
「………生殺しか……」
ガクッと体の力を抜き、まあこれくらいなら許されるよなと、軽く唇を啄んだ。
「………ディ…ル…?」
「っ!?」
ギクリとしてそっと顔を見ると、トロンとした瞳が俺を見ていた。
「レオ。これはその…」
どう言い訳をするかと考えるより早く、レオの腕が俺に絡みつく。
「……寝よ?」
こてんと首を傾げて、レオにそう言われた瞬間、プチンと何かが切れた音が聞こえた気がした。
※※※※※※※※※※
[レオノーラ視点]
「………」
目を覚ますと室内はめちゃくちゃ明るくて、これはもうとっくに朝は過ぎてるなあ…と、体を起こそうとしたらあちこち痛くて、しかも一番痛い場所は飛んでもない場所で、頭に?が飛び交った。
よくよく体を見てみると、あちこちに付いた紅い痕があるし、着ていたはずの寝間着とは別の物を着ていた。
「……うぁ……」
一気に頭の中に昨夜の出来事が甦り、顔は湯気が出てるんじゃないかってくらい熱くなった。
昨夜。自分はがっつりとガディルに召し上がられてしまったのである。
それはもう、骨まで食う気かと言うくらいの勢いだった。
こちとら向こうからずーっと、そういう知識はあれど経験はなかったので、完全に目が覚めた時にはもうかなりパニクっていて、言わんでいいことまで口走ってしまい、許しを乞うても意味が無いほど、暴走されてしまったのだ。
ド ウ シ テ コ ウ ナ ッ タ ?
昨夜を冷静に振り返れば、気づけることはたくさんあったのだ。
そもそもエレ達の部屋から遠い部屋を用意されてたことに違和感を持てよ、私……。
私に侍女が五人もいるのもおかしいだろ。
いや、お風呂から出た後も、五人がかりで肌や髪の手入れされた時点で、何故気づかなかったのか……。
「………不覚……」
とりあえず自分に《完全回復》をかけ、ベッドから降りた。
「おはようございます、レオノーラ様!」
『おはようございます!!』
ベッドから降りた瞬間、部屋のドアが開き、数人の女性達がなだれ込んで整列するなり、そう声をかけられた。
「……おはようございま、す?」
降りた瞬間のこの出来事に、呆気に取られながら言葉を返したものの、何だこの人数……。
昨夜の五人はまだ分かる。分かるが、何故さらに五人も増えているのか……?
「さあさあ。湯の用意は出来ております。お体を清めて、食事をなさって下さいませ♪」
「へ?いや、一人で大丈『お任せ下さいませ、レオノーラ様!!』」
お断りの言葉は、侍女さん達の迫力ある食い気味の言葉に打ち消され、私は為す術もないままにお風呂に連行されたのであった。
魔族領の侍女さん、怖い…………。
************
こちら、R十五のため、端折った十八禁を何処に上げるか悩んでいたりする。
需要あるのだろうか?
「………………」
エレのとこから戻り、湯に浸かりラムダス達を下げて寝室へ入った。
掛布をめくり、何気無しに身体を滑り込ませた所で違和感に気づき、そちらを向いて言葉をなくした。
現在の状況である。
「ん………」
ゴロンと寝返りをうち、こちらを向いた顔はよく知る顔で。しかもよくよく見れば、着ているのは自分のシャツである。かなり際どいとこまで胸元が目につく。
何だ、これ?どういう事だ?
無防備にすやすやと眠る婚約者に、思考もまともに働かず、カタンという物音にそちらを向けば、俺の部屋のドアの反対側にあるドアから、ひょこっと侍女長達の顔が覗いていた。
そう、覗いていたのだ!
『!』
グッと拳を握って、俺に向かって頷くと、そっとドアが閉められた。その瞬間、部屋に満ちていくのは防音と防御の結界だ。
いや、何で防音?昨日までは防御だけだったろうがっ!?
しかも先程覗かれていたドアの向こうは王子妃の部屋。つまり、俺の妻となる女のための部屋なわけで……。
「……これはつまり、そういう事をしても良いという事か……」
ゴクリと唾を飲み込んだのは、無意識だった。
一応、男として経験はある。あるのだが、いざ焦がれた相手を前にして、さっさと…とはいかなかった。
なぜなら、レオが寝てるから。
「………生殺しか……」
ガクッと体の力を抜き、まあこれくらいなら許されるよなと、軽く唇を啄んだ。
「………ディ…ル…?」
「っ!?」
ギクリとしてそっと顔を見ると、トロンとした瞳が俺を見ていた。
「レオ。これはその…」
どう言い訳をするかと考えるより早く、レオの腕が俺に絡みつく。
「……寝よ?」
こてんと首を傾げて、レオにそう言われた瞬間、プチンと何かが切れた音が聞こえた気がした。
※※※※※※※※※※
[レオノーラ視点]
「………」
目を覚ますと室内はめちゃくちゃ明るくて、これはもうとっくに朝は過ぎてるなあ…と、体を起こそうとしたらあちこち痛くて、しかも一番痛い場所は飛んでもない場所で、頭に?が飛び交った。
よくよく体を見てみると、あちこちに付いた紅い痕があるし、着ていたはずの寝間着とは別の物を着ていた。
「……うぁ……」
一気に頭の中に昨夜の出来事が甦り、顔は湯気が出てるんじゃないかってくらい熱くなった。
昨夜。自分はがっつりとガディルに召し上がられてしまったのである。
それはもう、骨まで食う気かと言うくらいの勢いだった。
こちとら向こうからずーっと、そういう知識はあれど経験はなかったので、完全に目が覚めた時にはもうかなりパニクっていて、言わんでいいことまで口走ってしまい、許しを乞うても意味が無いほど、暴走されてしまったのだ。
ド ウ シ テ コ ウ ナ ッ タ ?
昨夜を冷静に振り返れば、気づけることはたくさんあったのだ。
そもそもエレ達の部屋から遠い部屋を用意されてたことに違和感を持てよ、私……。
私に侍女が五人もいるのもおかしいだろ。
いや、お風呂から出た後も、五人がかりで肌や髪の手入れされた時点で、何故気づかなかったのか……。
「………不覚……」
とりあえず自分に《完全回復》をかけ、ベッドから降りた。
「おはようございます、レオノーラ様!」
『おはようございます!!』
ベッドから降りた瞬間、部屋のドアが開き、数人の女性達がなだれ込んで整列するなり、そう声をかけられた。
「……おはようございま、す?」
降りた瞬間のこの出来事に、呆気に取られながら言葉を返したものの、何だこの人数……。
昨夜の五人はまだ分かる。分かるが、何故さらに五人も増えているのか……?
「さあさあ。湯の用意は出来ております。お体を清めて、食事をなさって下さいませ♪」
「へ?いや、一人で大丈『お任せ下さいませ、レオノーラ様!!』」
お断りの言葉は、侍女さん達の迫力ある食い気味の言葉に打ち消され、私は為す術もないままにお風呂に連行されたのであった。
魔族領の侍女さん、怖い…………。
************
こちら、R十五のため、端折った十八禁を何処に上げるか悩んでいたりする。
需要あるのだろうか?
10
お気に入りに追加
41
あなたにおすすめの小説

【完結】聖女にはなりません。平凡に生きます!
暮田呉子
ファンタジー
この世界で、ただ平凡に、自由に、人生を謳歌したい!
政略結婚から三年──。夫に見向きもされず、屋敷の中で虐げられてきたマリアーナは夫の子を身籠ったという女性に水を掛けられて前世を思い出す。そうだ、前世は慎ましくも充実した人生を送った。それなら現世も平凡で幸せな人生を送ろう、と強く決意するのだった。

強制力がなくなった世界に残されたものは
りりん
ファンタジー
一人の令嬢が処刑によってこの世を去った
令嬢を虐げていた者達、処刑に狂喜乱舞した者達、そして最愛の娘であったはずの令嬢を冷たく切り捨てた家族達
世界の強制力が解けたその瞬間、その世界はどうなるのか
その世界を狂わせたものは

異世界に落ちたら若返りました。
アマネ
ファンタジー
榊原 チヨ、87歳。
夫との2人暮らし。
何の変化もないけど、ゆっくりとした心安らぐ時間。
そんな普通の幸せが側にあるような生活を送ってきたのにーーー
気がついたら知らない場所!?
しかもなんかやたらと若返ってない!?
なんで!?
そんなおばあちゃんのお話です。
更新は出来れば毎日したいのですが、物語の時間は割とゆっくり進むかもしれません。
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。

義妹が大事だと優先するので私も義兄を優先する事にしました
さこの
恋愛
婚約者のラウロ様は義妹を優先する。
私との約束なんかなかったかのように…
それをやんわり注意すると、君は家族を大事にしないのか?冷たい女だな。と言われました。
そうですか…あなたの目にはそのように映るのですね…
分かりました。それでは私も義兄を優先する事にしますね!大事な家族なので!

家族と移住した先で隠しキャラ拾いました
狭山ひびき@バカふり200万部突破
恋愛
「はい、ちゅーもーっく! 本日わたしは、とうとう王太子殿下から婚約破棄をされました! これがその証拠です!」
ヴィルヘルミーネ・フェルゼンシュタインは、そう言って家族に王太子から届いた手紙を見せた。
「「「やっぱりかー」」」
すぐさま合いの手を入れる家族は、前世から家族である。
日本で死んで、この世界――前世でヴィルヘルミーネがはまっていた乙女ゲームの世界に転生したのだ。
しかも、ヴィルヘルミーネは悪役令嬢、そして家族は当然悪役令嬢の家族として。
ゆえに、王太子から婚約破棄を突きつけられることもわかっていた。
前世の記憶を取り戻した一年前から準備に準備を重ね、婚約破棄後の身の振り方を決めていたヴィルヘルミーネたちは慌てず、こう宣言した。
「船に乗ってシュティリエ国へ逃亡するぞー!」「「「おー!」」」
前世も今も、実に能天気な家族たちは、こうして断罪される前にそそくさと海を挟んだ隣国シュティリエ国へ逃亡したのである。
そして、シュティリエ国へ逃亡し、新しい生活をはじめた矢先、ヴィルヘルミーネは庭先で真っ黒い兎を見つけて保護をする。
まさかこの兎が、乙女ゲームのラスボスであるとは気づかづに――

転生令嬢の食いしん坊万罪!
ねこたま本店
ファンタジー
訳も分からないまま命を落とし、訳の分からない神様の手によって、別の世界の公爵令嬢・プリムローズとして転生した、美味しい物好きな元ヤンアラサー女は、自分に無関心なバカ父が後妻に迎えた、典型的なシンデレラ系継母と、我が儘で性格の悪い妹にイビられたり、事故物件王太子の中継ぎ婚約者にされたりつつも、しぶとく図太く生きていた。
そんなある日、プリムローズは王侯貴族の子女が6~10歳の間に受ける『スキル鑑定の儀』の際、邪悪とされる大罪系スキルの所有者であると判定されてしまう。
プリムローズはその日のうちに、同じ判定を受けた唯一の友人、美少女と見まごうばかりの気弱な第二王子・リトス共々捕えられた挙句、国境近くの山中に捨てられてしまうのだった。
しかし、中身が元ヤンアラサー女の図太い少女は諦めない。
プリムローズは時に気弱な友の手を引き、時に引いたその手を勢い余ってブン回しながらも、邪悪と断じられたスキルを駆使して生き残りを図っていく。
これは、図太くて口の悪い、ちょっと(?)食いしん坊な転生令嬢が、自分なりの幸せを自分の力で掴み取るまでの物語。
こちらの作品は、2023年12月28日から、カクヨム様でも掲載を開始しました。
今後、カクヨム様掲載用にほんのちょっとだけ内容を手直しし、1話ごとの文章量を増やす事でトータルの話数を減らした改訂版を、1日に2回のペースで投稿していく予定です。多量の加筆修正はしておりませんが、もしよろしければ、カクヨム版の方もご笑覧下さい。
※作者が適当にでっち上げた、完全ご都合主義的世界です。細かいツッコミはご遠慮頂ければ幸いです。もし、目に余るような誤字脱字を発見された際には、コメント欄などで優しく教えてやって下さい。
※検討の結果、「ざまぁ要素あり」タグを追加しました。

婚約破棄された私は、処刑台へ送られるそうです
秋月乃衣
恋愛
ある日システィーナは婚約者であるイデオンの王子クロードから、王宮敷地内に存在する聖堂へと呼び出される。
そこで聖女への非道な行いを咎められ、婚約破棄を言い渡された挙句投獄されることとなる。
いわれの無い罪を否定する機会すら与えられず、寒く冷たい牢の中で断頭台に登るその時を待つシスティーナだったが──
他サイト様でも掲載しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる