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第五章 そして新たな神話が生まれた

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[アルテ視点]

    予定通り暴走した大神殿長御一行は、予定外で登場した女神様により裁かれた。

    うん。スカッとしたね、あのぶっ叩いた時の音。

    陛下とのダンスが終わりに近づく頃、視線を向けた先には、両手で顔を覆った魔族のガディル殿下がいた。

    いや、何で顔隠してる?

    目を凝らして見てみれば、耳が真っ赤なので、レオの姿の意味に無事に・・・気がついた模様だ。良かった、仕込んだ甲斐があった。

    ダンスが終わった瞬間、ガディル殿下は側近殿に押され、レオは陛下に殿下へと突き飛ばされ、受け止められたまま二人はダンスを始めた。
    続けて二曲踊り出す姿に、こっそり拳を握ったのは、オレだけではないだろう。その証拠に壁際に配置された騎士達も、殿下の側近殿も満足気に頷いている。

    だがしかし、レオの踊る姿に、徐々に正気に返る連中もいて、二曲目のダンスで諦めた者と、恨めしそうに見ている者。さらに、万が一の可能性を狙うらしい者達がいる。

     ………………。

   うん。視線に気がついた殿下が、二人きりでバルコニーに向かいました。近くの騎士とあちらの側近殿が、出入口の近くに待機する。あれなら、誰も邪魔できない。

    もう一方のエレは、真っ赤になったフレイアと三曲目に突入している。
  
    はい。周囲のご令嬢の纏う気配が怖い事になってますね。魔物より怖いっての。

    (身体付きが)貧相な『聖女』様などと、聞こえよがしに言っていたご令嬢方は、悔しそうな顔でフレイア嬢を睨んでます。あそこら辺のは、要注意っと。
    普段はユルユルな修道服姿のエレですが、実は剣の腕もそれなりにあるので、見かけに反していい身体してますよ?

    ええ、しょっちゅう、練習相手してますからね。五回に一回しか勝てないんですよ、オレ……。

    ハッキリ言って、『勇者』のレオが一番強いです。その次は誰だって思いますよね?当然、騎士の誰かだと思いますよね?思ってくださいね!

    でも、次点で強いのはエレなんですね…。オレらの立場ありません。

    まあ、回復に関しても先程見たように、レオも《完全回復リカバー》使えるわけですよ。ええ、神官押さえ込んで、『聖女』に続く回復魔法の使い手なんですよ。

    さらに姉弟揃って、全属性攻撃魔法も使えます。

    まあ、神様直々に選んだ二人なら、当然なのかもしれませんね。

   ところで隅の方でどんよりしている文官の集団は、何なんですかね?

   定時確認でやって来たやつに聞くと、フレイア嬢を狙っていた連中だそうです。そういや、三曲目の後に、陛下がエレとフレイア嬢。レオとガディル殿下の婚約を発表してましたね。
    
    なるほど、なるほど。

    狙っていた『聖女』は実は見目麗しい男。同じく狙っていた『勇者』も実は美しい女。
    なかなか切り替えは出来ないでしょうが、もう相手決まっちゃいましたしね。大人しく諦めることを薦めますよ。時間の無駄!

   そもそも親父達から色々と聞いてますからね。当然、二人も把握してますよ。
    
   予定が狂って、親子揃って慌てている所もあります。日頃、さんざん我々をバカにしていた連中がほとんどです。
    令嬢なんか、レオの色を身につけてるらしき方々もいますし、エレの色を使っている令息達もいます。そんな姿で、入れ替わった二人のとこになんか行けませんよね?

    ざ    ま    あ    み    や    が    れ    !



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