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第四章 思惑は絡み合って成立する

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[フレイア視点]

    最初にそれをお聞きした時は、正直心配でした。

「ほ、本当に大丈夫でしょうか?」

    王妃様よりレオ様のドレスに、追加で手を加えて欲しいと言われたのです。

    その内容というのが、レオ様の瞳の色に合わせた青いドレスに、金糸と銀糸を使って刺繍を入れて欲しいということでした。

    最近の令嬢の間で流行っている事があります。
    自分の瞳や髪の色に合わせたドレスに、婚約者の方や想いを寄せる方の髪や瞳の色を加えるのです。

    金と銀。

    その二つの色が示す方など、お一人しか思い当たりません。

「問題なくてよ。寧ろ、当人達にはしっかりと自覚して欲しいのですもの…」

    王妃様は頬に手を当て、溜息をつかれています。

「……」

    なるほど。そういう事なのですね……。

    女性であることを隠しているレオ様ですが、とある方といらっしゃる時は、お可愛らしいことが多いのです。

    見ていてこちらの胸もこう…、何と申しましょうか。
    むず痒いというか、甘酸っぱいというか……。

    しかもお二人共、ご自分の想いに、無自覚なようなのです。
    騎士団の中には、お二人を〖見守る会〗などが出来ているそうです。

「レオの事だから、自分のドレスが流行りを取り入れてるなんて思わないでしょうから、思いっきりやっちゃってちょうだいね♪」

    にっこりと微笑まれる王妃様。
    王妃様も陛下もですが、レオ様をよく知る方々は、皆様心配しておられるのです。

    男性よりも男性らしく、『勇者』らしく振舞ってきたレオ様。
    此度のお披露目で、女性であることが公表されれば、今まで以上に大変になるのではないかと思われます。

    女性の結婚適齢期は、十六から二十歳の間。

    レオ様は現在十七歳です。
    婚約の申込が殺到することは必至です。
    ドレスを着て、お化粧をされたレオ様がモテないはずがないのですから。

    ですが、やっぱり。他の方が思うように、レオ様にはレオ様の好きな方と結ばれていただきたいと思うのです。
    
    幸いと申しましょうか、『勇者』と『聖女』としてしばらくお出かけされるそうなので、その間にレオ様のドレスを優先するようにと、王太子宮の侍女の皆様達からも融通をきかせていただきました。

「こちらでいかがでしょうか?」

    出来上がったドレスを国王陛下御一家に見ていただきました。

「ほう……。これは素晴らしい……」

「まあ…まあ!なんて素敵なの!上出来よ、フレイア!!」

「これは……。注目間違いなしですね……」

「素敵!素敵!!」

    好評です!
    頑張ったかいがございました!!

    ホッと一息ついて、さらにもう一つを出しました。

「これは?」

    王妃様がそれの入った箱をご覧になりました。

「こちらはダリヤ様達、侍女の皆様の意見をまとめて、細工が得意な兄に頼んでいた物でございます…」

「か…完璧だわ……。お手柄だわ!!これを身につけたレオを見れるだなんて……!!」

    王妃様のお気に召したようです。

    やりきった感でいっぱいのワタシでしたが、次に王妃様からサラリと何気なく言われた言葉に、凍りつきました。

「そうそう、フレイア。貴女は一番の功労者ですもの。ドレスはお礼としてわたくしが用意したから、貴女も参加するようにね♪」

……聞いておりませんよ?

    チラッと他の侍女の皆様に目を向ければ、ニッコリと微笑んで頷かれました。

    そうですか。知らなかったのはワタシだけなのですね…。

………体型崩さないようにしなきゃなりませんねーーーー。



********

お読みいただきありがとうございます。
次回は月曜日の更新となります。
しばらくお待ちください。





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