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第三章 困惑、混乱、初めての恋?

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[フレイア視点]

「《冒険者》やりたい…」

    とある日の王族のみのお茶会で、突然そんな事をレオ様が口にされました。

「また随分といきなりだな。どうした、レオ?」

    陛下が苦笑しながら訊かれます。

「最近、胸が苦しいのですよ、レオ兄様……」

「「ぶふっ!!」」

    陛下とエレ様が噎せられましたので、さりげなくダリヤさんと共にナプキンを手渡します。

「そ、それは恋煩いとかの類かな?」

    陛下の口元が引き攣っておられます。

「いえ、窮屈で…」

「まあ。無理やり押さえつけてますものねぇ……」

    王妃様が気の毒そうにレオ様の胸元に視線を向けます。

    そうなのです。ここ最近のレオ様は、体つきが女性らしさが強まりつつあり、その傾向は富にお胸の方に顕著に現れているのです。
    締め付けるのに、ワタシとダリヤさんの二人がかりなのです。
    そろそろお体に悪いと、ダリヤさんも心配なさってました。

「そんなわけで、レン兄様。冒険者ギルドに、『剣士』ノーラとして、登録してみたいのですが?」

    にっこりと笑うレオ様は、陛下が反対しないと確信なされておいでです。

「ふむ。それで、『勇者』としてはどうするんだい?」

「最近、『勇者』や『聖女』に対しての討伐依頼はないでしょう?問題ないかと思いません?」

    陛下はニヤニヤとされながら話されてます。
    面白がっておいでなのだと、最近理解いたしました。

「それじゃあ、私は『魔導師』ノールで登録しようかな…」

    話はどんどん進んでいき、お二人は冒険者登録することになりました。

「だけどね、二人とも。アルが来年の誕生日に、王族としてのお披露目なのは分かってるよね?」

「もちろんです」

「ちゃんと参加しますよ?」

    二人の言葉に、陛下も王妃様もニンマリと笑われました。

「最初は私達と一緒に、『勇者』レオと『聖女』エレとして踊ってもらう。もちろん、その時にはアルも婚約者を決めて踊ってもらうわけだが…」

「その後は、陛下とレオ。わたくしとエレで踊ります…」

    陛下の言葉を王妃様が続けました。

「「………え?」」

    お二人は嫌そうなお顔をされてます。
    ダンスの練習、サボってらっしゃいますもんね。

「…あれ?レン兄様と私?サラ姉様とエレ?」

    レオ様は気がつかれたようです。

「ん?その前に二人で踊るって…」

    エレ様もおかしなことに気づかれました。

「アルのお披露目で、お前達の性別もハッキリさせようと思ってな。何せ求婚の申し込みが絶えない。そろそろバラした方がいいだろう…」

「……つまり、ただバラすだけじゃつまらないからって事?」

「その通りだ♪」

    そうなのです。
    王太子殿下のお披露目で、御二方がそれぞれの正装で踊られた後、本来の姿で踊る際の衣装を現在ワタシが縫っているのです。

「…待って。それって、どちらのパートも踊れるようにならなきゃいけないんじゃ……」

    エレ様の顔色が悪くなりました。

「最初の衣装は、幻影の魔道具を依頼しているので、それで誤魔化そうと思う。冒険者登録の許可を出す代わりに、お前達にはきちんとダンスを覚えてもらう……」

「ちなみに貴方達の当日の衣装は、フレイアに頼んでいますからね♪」

「「………」」

    恐る恐るお二人がワタシを見てこられます。

「……頑張らせていただきます…」

    敬愛するお二人の晴れの衣装です。
もちろん、誠心誠意、全力で作らせていただきますよ!!



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