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第二章 『勇者』は商売です!
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お披露目の後からも、双子の生活する場所は王太子宮にあった。
変わったのはそこに、レンドル夫妻がいなくなった事である。
レンドルの代わりに、アストルが主となり、双子と一緒でズルいと騒ぐエマリアは、すぐ近くの宮を王女宮として与えられた。
※※※※※※※※
○『聖女』エレオノールの場合
お披露目を終えてから、エレオノールは神殿で祈りを捧げるのが日課となった。
その移動中、何度も馬車を止められては、《瞬間移動》で逃げ出し、空の馬車に関わろうとした貴族達が押しかけることの繰り返しとなった。
周りに迷惑だからと、護衛騎士であるグランと共に、直接移動することにしたものの、それもすぐにバレた。
神殿の神官達に袖の下を渡し、神殿内で待ち伏せる者が現れたのだ。
「……あの手この手と、よく尽きないよね……」
それも苦笑しながら、《範囲結界》で近寄れなくしていた。
【祈りの間】と呼ばれる場所では、高位神官と『聖女』もしくは『聖者』のみしか入れない。
扉の前にグランを残し、祭壇の前に膝まづいて祈りを捧げようとしたエレオノールは、人の気配を察知した。
「『聖女』エレ……。どうか、我が妻に…」
神聖なる祭壇の影から、一人の男が現れるなり、エレオノールに飛びつこうとした。
「…《睡眠》…」
発動した魔法に、男はエレオノールに触れることなく床に倒れた。
「……これは流石にダメだよね…」
男はすぐさま捕らえられ、大神官からは抗議を。国王からは『聖女』に危害を加えようとした者として、国外追放とされた。
ちなみに男の実家の伯爵家では、爵位を取り上げられては困ると、すぐさま男と縁を切った。
同時に、男を手引きした高位神官の捜査も行われた。
「全く嘆かわしい……。高位の者でありながら、【祈りの間】を汚すような真似をするとは…。資格は〖剥奪〗とします!」
大神官は捕らわれの高位神官にそう告げた。
高位神官は『高位神官』という職業を〖剥奪〗され、〖無職〗となった。
〖無職〗となると、持っていた職業スキルも消えてしまうため、一からスキルを取得し直さなければならない。
最も重い罰であった。
「すまなかったね、エレオノール」
大神官は訪問室にて、エレオノールに頭を下げた。
彼は、双子を迎えに行った騎士達と共に居た神官であった。
部屋には二人と、扉のこちら側にグランが立っている。
「大丈夫ですよ。そもそも男ですしね。それより、あの方は顔合わせの時にもいたと思ったんですけど?」
自分を男と知っていたはずなのに、何故、手引きをしたのかと首を傾げる。
「あー…。世の中には、美しければ性別は問わない…という方々も稀にいるのですよ…」
苦笑しながら話すグラン。
「うわぁ…。私はグランのように可愛い奥さんが欲しいので、それはお断りですね…」
げんなりとした顔でそう言ったエレオノールに、大神官とグランは声を上げて笑うのであったーーーー。
変わったのはそこに、レンドル夫妻がいなくなった事である。
レンドルの代わりに、アストルが主となり、双子と一緒でズルいと騒ぐエマリアは、すぐ近くの宮を王女宮として与えられた。
※※※※※※※※
○『聖女』エレオノールの場合
お披露目を終えてから、エレオノールは神殿で祈りを捧げるのが日課となった。
その移動中、何度も馬車を止められては、《瞬間移動》で逃げ出し、空の馬車に関わろうとした貴族達が押しかけることの繰り返しとなった。
周りに迷惑だからと、護衛騎士であるグランと共に、直接移動することにしたものの、それもすぐにバレた。
神殿の神官達に袖の下を渡し、神殿内で待ち伏せる者が現れたのだ。
「……あの手この手と、よく尽きないよね……」
それも苦笑しながら、《範囲結界》で近寄れなくしていた。
【祈りの間】と呼ばれる場所では、高位神官と『聖女』もしくは『聖者』のみしか入れない。
扉の前にグランを残し、祭壇の前に膝まづいて祈りを捧げようとしたエレオノールは、人の気配を察知した。
「『聖女』エレ……。どうか、我が妻に…」
神聖なる祭壇の影から、一人の男が現れるなり、エレオノールに飛びつこうとした。
「…《睡眠》…」
発動した魔法に、男はエレオノールに触れることなく床に倒れた。
「……これは流石にダメだよね…」
男はすぐさま捕らえられ、大神官からは抗議を。国王からは『聖女』に危害を加えようとした者として、国外追放とされた。
ちなみに男の実家の伯爵家では、爵位を取り上げられては困ると、すぐさま男と縁を切った。
同時に、男を手引きした高位神官の捜査も行われた。
「全く嘆かわしい……。高位の者でありながら、【祈りの間】を汚すような真似をするとは…。資格は〖剥奪〗とします!」
大神官は捕らわれの高位神官にそう告げた。
高位神官は『高位神官』という職業を〖剥奪〗され、〖無職〗となった。
〖無職〗となると、持っていた職業スキルも消えてしまうため、一からスキルを取得し直さなければならない。
最も重い罰であった。
「すまなかったね、エレオノール」
大神官は訪問室にて、エレオノールに頭を下げた。
彼は、双子を迎えに行った騎士達と共に居た神官であった。
部屋には二人と、扉のこちら側にグランが立っている。
「大丈夫ですよ。そもそも男ですしね。それより、あの方は顔合わせの時にもいたと思ったんですけど?」
自分を男と知っていたはずなのに、何故、手引きをしたのかと首を傾げる。
「あー…。世の中には、美しければ性別は問わない…という方々も稀にいるのですよ…」
苦笑しながら話すグラン。
「うわぁ…。私はグランのように可愛い奥さんが欲しいので、それはお断りですね…」
げんなりとした顔でそう言ったエレオノールに、大神官とグランは声を上げて笑うのであったーーーー。
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