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ネゴシエーション
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「さて……。ここまでは上手く行ったが。ほかの面子も成功したのだろうか。ただ、問題なのはここはどこだ。なぜ俺は檻の中にいる……」
状況を確認すると、俺はどうやら監獄にいた囚人と入れ替わったようだ。それに、こちらの世界ではUGWのスキルは使うことはできるが、自分よりも物理レベルの高いモノには効果がない、というのが分かった。椅子は消し炭に出来たが、鋼鉄の檻扉はぶっ飛ばせなかった。となると、この檻は少なくとも俺のレベル以上、ということになる。そもそも、おれのレベルは一体どのくらいなんだ?この鍵は電子錠だ。コンソールさえあればセキュリティーを解除できるかも知れないが、その環境がここにはない。
「参ったな……。セルシスがここに転移してきてくれれば脱出出来る可能性はあるが、ここに俺が居るということをセルシスは知らないはずだ。そもそもセルシスが各メンバーを転移スキルで集める作戦にすれば良かったのではないか?あ、いや。この世界ではスキルが使えるかどうか分からない想定だったか……」
そのとき、隣の独房から声がした。
「なんだ?今日は良く喋るじゃねぇか。おまえ、窃盗だったか?そんな軽い罪で独房送りってなにを盗んだんだよ」
隣にも収監されている犯罪者がいるのか。情報は多い方がよい。ここは話しかけて情報を引き出そう。
「今日は気分が良くてな。そういうおまえはなんでこんなところに放り込まれてるんだ?」
「ん?俺か?俺は殺人よ。相手の人格セキュリティを乗っ取って持ってるマネーを全部奪い取ろうとしたのさ。普通はマネーを奪って終わるんだが、なぜか奴だけは奪う前にその場で消えちまってよ。目撃者が居て俺が殺したことになっちまったんだよ」
人格セキュリティ?UGWからプレーヤー攻略をしていたアレか?だとしたら自分と同じように足下から雑音が入って消えていったはずだ。
「なぁ、その相手、足下から雑音が入るように消えていかなかったか?」
「お?なんで知ってるんだ?そう。それだ。見たこともねぇ感じで消えていった」
やはり。恐らくそのプレーヤーはセキュリティが破られたことによって攻撃しやすい対象としてUGWからの攻撃を受けたのだろう。だが、話しぶりからして教室や会社からではなく、路上で行ったような口振りだ。コンソールを使わずにそのような作業が可能なのか??確認が必要だ。
「おまえ、コンソールなしにそんなことが出来るのか?」
「ん?なんだ新入り、知らねぇのか?自身の人格セキュリティにコネクション機能があるだろう?それをオープンにすると良く分からねぇが誰かと繋がる。そこから相手を攻撃するんだ。その方法でこの独房の鍵を開けようとしてるんだがよ、繋がらねぇんだ」
コネクション機能?そんなものあったか?確認してみると確かにある。オープンにしたことはないが、恐らくはUGWに繋がるのだろう。この部分を攻略してコネクション、本体セキュリティを解除して攻略する流れだったのだろう。向こうからでは根本が分からなかった。
ここは一か八かオープンにしてUGWの誰かと繋がってこの鍵のセキュリティを破るか?手伝ってくれるだろうか?
俺はコネクションポートに仕掛けを行ってオープン状態にしてみた。しばらくするとアクセスがあった。UGWで攻撃していた要領で逆に向こうのコンソールシステムに進入を試みる。
「ん?なんか手応えがないが進入できたみたいだな。まずは相手にコンタクトを取らなくてはな……」
ん?んんん?これは……。
「おい、おまえ、ウィルか?」
「だぁっ!なんだ!なにが起きた!乗っ取られたのか?おい!ガル!これどうなってるんだよ!」
「バカかよ。ウィルなにやってんだ。向こうがこっちのセキュリティ破ってコンタクトしてきてるんだろうが。安心しろ。そいつは俺たちの仲間だと思っていい。向こうでマネーを集めてこっちに送金してくれるやつだ」
やっぱり。この声はウィルだ。ガルのバディとしてレッドドッグに入っているようだ。素直に交渉に応じてくれるだろうか。ダメなら逃げればいいか。
「ウィル。俺だ。新海だ。分かるか?おまえをぶん殴った新海だ」
「新海?ああ!お、おまえ?なんでそっちにいるんだ??」
「説明はあとだ。ちょっと頼まれてくれないか。俺の手の先に錠があるだろう?それのセキュリティを破ってくれないか?報酬は俺の手持ちのマネー半分だ」
これだけの作業だ。このくらいの条件を提示しないと動いてくれないだろう。
「新海、といったか。雫のバディだな?貴様がなぜそこにいるのかは大体察しが付く。OPWからオールド・マスターの攻略を試すのだろう?」
この声はガルか。交渉の相手になるのだろうか。そもそもガルはオールド・マスターを倒すつもりなのだろうか。
「ガル、か?そうだ。こちらの世界からオールド・マスター攻略の糸口を探す。もし手伝う気があるのなら、手持ちのマネー半分でこの鍵を開けてはくれないか?」
「ふむ……オールド・マスター攻略か。興味が無いわけではないぞ。だが、俺はこっちの世界で稼いで楽しく生きてゆく方が良いんだよ」
やはり交渉は難しいか。しかし、ガルなら恐らくはこの錠を攻略することは可能なはずだ。なんとか交渉を……。
「全部だ。貴様の持つマネー全部だ。それが条件だ。ついでに貴様のコネクションポートナンバーをアリーシュかディオールに伝えるオマケ付だ。どうだ?悪い条件じゃないと思うが?」
イエローマスターのアリーシュ、ブラックマスターのディオール……。確かにその二人なら今後、コンソールの無い場所での攻略で有利に進めることができる。全額のマネーを差し出す価値はある。だが、ガルがこの約束を守る保証はあるのか?
「どうする?このまま貴様を攻略して全額奪ってもいいんだぞ?」
確かにそうだ。ガルの方が俺よりも上手だろう。逆らうにしても手段がない。ここは提案に乗るほかにはないか……。
「交渉に乗る。どうすればいい?」
「まずはマネーだ。ウォレットのセキュリティを解除しろ」
ガルの言うとおりにウォレットのセキュリティを解除、全額向こうに渡ったことを確認した。
「ガル、約束通りこの錠の解錠を……」
「ん?もう開いてるぜ。あとは、このコネクションポートナンバーを知らせるだけな訳だが。どっちにする?アリーシュか?ディオールか?スキルレベル的にオススメなのはアリーシュだ」
拍子抜けだ。確かに檻の錠は解錠されている。
「それではアリーシュにコネクションポートナンバーを伝えて欲しい」
「よし。これで交渉は成立だな。約束通りアリーシュに伝えておくぜ。アリーシュのアクセスナンバーはこいつだ。コネクションポートに接続許可設定をしておけ」
「ガル、なぜこんなに協力してくれる?」
「興味がある、と言っただろう。そっちには雫もいるのだろう?やつがどこまで出来るのかも興味がある。気が向いたら状況の報告をしてくれ。ウィルのアクセスナンバーはこいつだ。それじゃあな」
さて、これからどうしたものか。檻の鍵は開いたが、ここから脱出するにはまだまだ障害はあるだろう。まずは見取り図だ。闇雲に走り回っても捕まるだけだ。
「この鍵のコンソールは使えるのか?」
錠のシステムへの進入を試みる。開いていればシステムへの進入自体は可能だ。その先のセキュリティを破れるかどうかは分からないが。
「これはマズいな」
鳴り響く警告音。自分の独房上のランプが激しく点滅している。アクセスに失敗して不正解錠したことがこの施設の管理システムにバレてしまったらしい。
「逃げる、しかないな!」
とりあえず出口らしき方向に走る。
「だよなぁ!この扉もロックされてるよな!」
別の方向に走る。扉のない方向に走ろうと思ったが思いとどまる。誘導されている可能性がある。最初の扉に戻り、錠のコンソールシステムへ進入を試みる。流石にレベルが高い。
「こんなの破れるのかよ!」
カシュン
扉が開いた。なんだかよく分からんが先に進もう!施設はあちこちに扉があったが、コンソールシステムに進入さえすればどの扉もあっけなく開く。そもそもここには看守はいないのか?さっきから誰にも出会っていない。警備ロボットにも出会っていない。
カシュン……カシュン……
今度はなにもしていないのに次々に扉が開いてゆく。
「これは罠なのか?ええい!人間の看守なら殴り飛ばせるだろう!左手で殴れば丸焼けにはならんだろ!」
結局、なんの妨害もなく外に出た。ここは、第9地区か?普段は立ち入りを禁止されてるエリアだ。周りには自分の出てきた施設と同じ様な施設が建ち並んでいる。
「新海さん?聞こえますか?アリーシュです」
コネクションポートを通じて腕のホログラム通信機に音声通話が入る。
「はい。聞こえてます。扉を開けてくれていたのはアリーシュさんだったんですね」
「そうよ。ほかの扉はこっちからみんなで施設セキュリティを破って出口まで誘導したの」
「ありがとうございます」
「あと。あまり言いたくはないのだけれど、知っていて欲しい。今のミッションで6人虚無に落ちたわ。警備ロボに会わなかったでしょう?彼らは警備ロボと戦って相打ちってわけ。基本的にそっちの世界の管理系システムはこっちのマスタークラスでもなくちゃ相打ちするしか止める方法はないと思ってて」
6人……6人も、か。気軽に頼めるものではないな。他のメンバーに会ったら同じようにポートナンバーを伝えてUGWとコネクションして対処するのは良いとして。管理系システムには会わない方法を探さないとUGWが全滅してしまう。
「とにかく、集合場所の俺の家に急ぐか」
ローラインとセルシスはOPWの同じ場所に移動していた。早速スキルを試すとスキルが使えることが分かったので新海さんのところに転移しようとしたが、何度やっても失敗した。同じく雫さんもダメだ。隣にいるローラインには転移できるので、距離とかなにか条件が合るのだろうか。ここは124住居区、転移ポイントがあるって言ってたけど、どこにあるのかしら?
状況を確認すると、俺はどうやら監獄にいた囚人と入れ替わったようだ。それに、こちらの世界ではUGWのスキルは使うことはできるが、自分よりも物理レベルの高いモノには効果がない、というのが分かった。椅子は消し炭に出来たが、鋼鉄の檻扉はぶっ飛ばせなかった。となると、この檻は少なくとも俺のレベル以上、ということになる。そもそも、おれのレベルは一体どのくらいなんだ?この鍵は電子錠だ。コンソールさえあればセキュリティーを解除できるかも知れないが、その環境がここにはない。
「参ったな……。セルシスがここに転移してきてくれれば脱出出来る可能性はあるが、ここに俺が居るということをセルシスは知らないはずだ。そもそもセルシスが各メンバーを転移スキルで集める作戦にすれば良かったのではないか?あ、いや。この世界ではスキルが使えるかどうか分からない想定だったか……」
そのとき、隣の独房から声がした。
「なんだ?今日は良く喋るじゃねぇか。おまえ、窃盗だったか?そんな軽い罪で独房送りってなにを盗んだんだよ」
隣にも収監されている犯罪者がいるのか。情報は多い方がよい。ここは話しかけて情報を引き出そう。
「今日は気分が良くてな。そういうおまえはなんでこんなところに放り込まれてるんだ?」
「ん?俺か?俺は殺人よ。相手の人格セキュリティを乗っ取って持ってるマネーを全部奪い取ろうとしたのさ。普通はマネーを奪って終わるんだが、なぜか奴だけは奪う前にその場で消えちまってよ。目撃者が居て俺が殺したことになっちまったんだよ」
人格セキュリティ?UGWからプレーヤー攻略をしていたアレか?だとしたら自分と同じように足下から雑音が入って消えていったはずだ。
「なぁ、その相手、足下から雑音が入るように消えていかなかったか?」
「お?なんで知ってるんだ?そう。それだ。見たこともねぇ感じで消えていった」
やはり。恐らくそのプレーヤーはセキュリティが破られたことによって攻撃しやすい対象としてUGWからの攻撃を受けたのだろう。だが、話しぶりからして教室や会社からではなく、路上で行ったような口振りだ。コンソールを使わずにそのような作業が可能なのか??確認が必要だ。
「おまえ、コンソールなしにそんなことが出来るのか?」
「ん?なんだ新入り、知らねぇのか?自身の人格セキュリティにコネクション機能があるだろう?それをオープンにすると良く分からねぇが誰かと繋がる。そこから相手を攻撃するんだ。その方法でこの独房の鍵を開けようとしてるんだがよ、繋がらねぇんだ」
コネクション機能?そんなものあったか?確認してみると確かにある。オープンにしたことはないが、恐らくはUGWに繋がるのだろう。この部分を攻略してコネクション、本体セキュリティを解除して攻略する流れだったのだろう。向こうからでは根本が分からなかった。
ここは一か八かオープンにしてUGWの誰かと繋がってこの鍵のセキュリティを破るか?手伝ってくれるだろうか?
俺はコネクションポートに仕掛けを行ってオープン状態にしてみた。しばらくするとアクセスがあった。UGWで攻撃していた要領で逆に向こうのコンソールシステムに進入を試みる。
「ん?なんか手応えがないが進入できたみたいだな。まずは相手にコンタクトを取らなくてはな……」
ん?んんん?これは……。
「おい、おまえ、ウィルか?」
「だぁっ!なんだ!なにが起きた!乗っ取られたのか?おい!ガル!これどうなってるんだよ!」
「バカかよ。ウィルなにやってんだ。向こうがこっちのセキュリティ破ってコンタクトしてきてるんだろうが。安心しろ。そいつは俺たちの仲間だと思っていい。向こうでマネーを集めてこっちに送金してくれるやつだ」
やっぱり。この声はウィルだ。ガルのバディとしてレッドドッグに入っているようだ。素直に交渉に応じてくれるだろうか。ダメなら逃げればいいか。
「ウィル。俺だ。新海だ。分かるか?おまえをぶん殴った新海だ」
「新海?ああ!お、おまえ?なんでそっちにいるんだ??」
「説明はあとだ。ちょっと頼まれてくれないか。俺の手の先に錠があるだろう?それのセキュリティを破ってくれないか?報酬は俺の手持ちのマネー半分だ」
これだけの作業だ。このくらいの条件を提示しないと動いてくれないだろう。
「新海、といったか。雫のバディだな?貴様がなぜそこにいるのかは大体察しが付く。OPWからオールド・マスターの攻略を試すのだろう?」
この声はガルか。交渉の相手になるのだろうか。そもそもガルはオールド・マスターを倒すつもりなのだろうか。
「ガル、か?そうだ。こちらの世界からオールド・マスター攻略の糸口を探す。もし手伝う気があるのなら、手持ちのマネー半分でこの鍵を開けてはくれないか?」
「ふむ……オールド・マスター攻略か。興味が無いわけではないぞ。だが、俺はこっちの世界で稼いで楽しく生きてゆく方が良いんだよ」
やはり交渉は難しいか。しかし、ガルなら恐らくはこの錠を攻略することは可能なはずだ。なんとか交渉を……。
「全部だ。貴様の持つマネー全部だ。それが条件だ。ついでに貴様のコネクションポートナンバーをアリーシュかディオールに伝えるオマケ付だ。どうだ?悪い条件じゃないと思うが?」
イエローマスターのアリーシュ、ブラックマスターのディオール……。確かにその二人なら今後、コンソールの無い場所での攻略で有利に進めることができる。全額のマネーを差し出す価値はある。だが、ガルがこの約束を守る保証はあるのか?
「どうする?このまま貴様を攻略して全額奪ってもいいんだぞ?」
確かにそうだ。ガルの方が俺よりも上手だろう。逆らうにしても手段がない。ここは提案に乗るほかにはないか……。
「交渉に乗る。どうすればいい?」
「まずはマネーだ。ウォレットのセキュリティを解除しろ」
ガルの言うとおりにウォレットのセキュリティを解除、全額向こうに渡ったことを確認した。
「ガル、約束通りこの錠の解錠を……」
「ん?もう開いてるぜ。あとは、このコネクションポートナンバーを知らせるだけな訳だが。どっちにする?アリーシュか?ディオールか?スキルレベル的にオススメなのはアリーシュだ」
拍子抜けだ。確かに檻の錠は解錠されている。
「それではアリーシュにコネクションポートナンバーを伝えて欲しい」
「よし。これで交渉は成立だな。約束通りアリーシュに伝えておくぜ。アリーシュのアクセスナンバーはこいつだ。コネクションポートに接続許可設定をしておけ」
「ガル、なぜこんなに協力してくれる?」
「興味がある、と言っただろう。そっちには雫もいるのだろう?やつがどこまで出来るのかも興味がある。気が向いたら状況の報告をしてくれ。ウィルのアクセスナンバーはこいつだ。それじゃあな」
さて、これからどうしたものか。檻の鍵は開いたが、ここから脱出するにはまだまだ障害はあるだろう。まずは見取り図だ。闇雲に走り回っても捕まるだけだ。
「この鍵のコンソールは使えるのか?」
錠のシステムへの進入を試みる。開いていればシステムへの進入自体は可能だ。その先のセキュリティを破れるかどうかは分からないが。
「これはマズいな」
鳴り響く警告音。自分の独房上のランプが激しく点滅している。アクセスに失敗して不正解錠したことがこの施設の管理システムにバレてしまったらしい。
「逃げる、しかないな!」
とりあえず出口らしき方向に走る。
「だよなぁ!この扉もロックされてるよな!」
別の方向に走る。扉のない方向に走ろうと思ったが思いとどまる。誘導されている可能性がある。最初の扉に戻り、錠のコンソールシステムへ進入を試みる。流石にレベルが高い。
「こんなの破れるのかよ!」
カシュン
扉が開いた。なんだかよく分からんが先に進もう!施設はあちこちに扉があったが、コンソールシステムに進入さえすればどの扉もあっけなく開く。そもそもここには看守はいないのか?さっきから誰にも出会っていない。警備ロボットにも出会っていない。
カシュン……カシュン……
今度はなにもしていないのに次々に扉が開いてゆく。
「これは罠なのか?ええい!人間の看守なら殴り飛ばせるだろう!左手で殴れば丸焼けにはならんだろ!」
結局、なんの妨害もなく外に出た。ここは、第9地区か?普段は立ち入りを禁止されてるエリアだ。周りには自分の出てきた施設と同じ様な施設が建ち並んでいる。
「新海さん?聞こえますか?アリーシュです」
コネクションポートを通じて腕のホログラム通信機に音声通話が入る。
「はい。聞こえてます。扉を開けてくれていたのはアリーシュさんだったんですね」
「そうよ。ほかの扉はこっちからみんなで施設セキュリティを破って出口まで誘導したの」
「ありがとうございます」
「あと。あまり言いたくはないのだけれど、知っていて欲しい。今のミッションで6人虚無に落ちたわ。警備ロボに会わなかったでしょう?彼らは警備ロボと戦って相打ちってわけ。基本的にそっちの世界の管理系システムはこっちのマスタークラスでもなくちゃ相打ちするしか止める方法はないと思ってて」
6人……6人も、か。気軽に頼めるものではないな。他のメンバーに会ったら同じようにポートナンバーを伝えてUGWとコネクションして対処するのは良いとして。管理系システムには会わない方法を探さないとUGWが全滅してしまう。
「とにかく、集合場所の俺の家に急ぐか」
ローラインとセルシスはOPWの同じ場所に移動していた。早速スキルを試すとスキルが使えることが分かったので新海さんのところに転移しようとしたが、何度やっても失敗した。同じく雫さんもダメだ。隣にいるローラインには転移できるので、距離とかなにか条件が合るのだろうか。ここは124住居区、転移ポイントがあるって言ってたけど、どこにあるのかしら?
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