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第24話 宝石の在り処
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――私は名前はひのん☆ いきなり魔法少女になっちゃたの☆
――悪い宇宙人から、私はこの地球を守って見せるよ☆
取り扱い書の最初に書かれている文面に。
希美が目を細め。
弟の隼人と一緒に観ている桜木は苦笑交じりに、
「でもね、かなり人気のアニメなんだよ。お正月映画の中で、飛びぬけて収益がよかったんだよ。入場者特典もあったから」
希美に伝える。
「そうなの。知らなかったわ」
ぱらーー……。
たぬ吉の背中の上の希美。
横を小走りで行く桜木。
腕の中には金属バットが、鈍く光る。
――セイレフ姫から貰った杖で、私が選んだのは大好きな犬のぬいぐるみのチャッピー☆ これからよろしくね☆
――宇宙人を倒したら貰える《宝石》を集めて倒そう☆
「か、可愛いんだよ? ひのんちゃんは、頑張り屋さんでね」
桜木がフォローする。
「そうなの? 全く、そう思わないのは。アニメを観ていないせいかしら」
取り扱い書を持つ手が震える。
動揺しているのか、苛立っているのか。
想像もつかないが。
「これね。この《宝石》の説明は」
最初、貰える宝石は――攻撃、守り、時間の三つ。
ぬいぐるみに命を与えるような文章はない。
「あ。チャッピーはねセイレフ姫の生命の泡からで、この宝石は関係ないんだよ。のなかちゃん」
「く、詳しいのね。まどか」
「あ! ゃ、そんなこと、ない、よ??」
恥ずかしそうに桜木が、顔を背けた。
そこに、たぬ吉。
「仲がいいでやんすなぁ~~お二人とも」
「たぬ吉。何か、異変はない? あなたが頼りなのだから」
「はい! おいら、きちんと神経を尖らせるでやんす! 姐さんと、まどかのためにでやんす!」
尻尾を、勢いよく振るたぬ吉。
そして、また視線を下す。
――《宝石》には色々の属性があるの☆ 沢山、集めて一緒に、この地球を守ろう☆
ぐしゃ。
「の、のなかちゃん! しっかりして!」
「! ぁ、私としたことが」
「ううん。いいんだよ、のなかちゃん。興味がないんだもん、仕方ないよ」
「ええ。全く、共感も、興味も沸かないのよ」
「仕方がないよ、のなかちゃん」
希美は、杖の刃を見た。
そこには付属の《宝石》が、鈍く光った。
「今、どのくらい、この石は出ているの? まどか」
「長いシリーズだもん。かなりあるよ! これのね、カードゲームがあってね。ボタンを押して躍らせて、キャラクターの、ひのんちゃんとか……」
ウキウキと、つらつらと話す桜木を。
(まどか、隼人とハマっているのね)
希美は苦笑交じりに見た。
「っな、何……かな?? のなかちゃん??」
顔を紅潮させる桜木。
希美は顔を横に振った。
「なんでもないわ、まどか」
◆
「可笑しいなぁ?? だいたい、この杖の近くにあるのに?」
トイパラに戻った一同。
桜木は携帯で辺りを照らした。
「そうなの? よく分からないわ」
希美が、顔を横にする。
「杖があるのだから、ないわけがな――……」
「あ゛‼」
桜木が声を上げた。
「?! ま、どか?? どうかしたの??」
「忘れて、た」
桜木は両頬に掌を当てた。
「一大事なことでやんすか? まどか」
「うん。そうだよ、たぬ吉! 一大事なことだよ!」
おろつく桜木に、
「落ち着くのよ、まどか。息継ぎをして」
希美が背中をさすった。
「うん、すぅ~~、はぁ~~」
「大丈夫??」
「うん。あのね、その、のなかちゃん」
「何? まどか」
桜木は希美の両肩に手を置いた。
「《宝石》はガチャガチャだけの別売りなんだよ」
希美の胸に顔を埋めた。
「そんなに希少なのね。店内販売もできないくらい、流通していないのね」
「うん。激レアとか、ネットの売買でも高値なんだよ」
桜木が、勢いよく顔を上げた。
「地下の、最初の場所にね。そのガチャガチャがあるの」
――悪い宇宙人から、私はこの地球を守って見せるよ☆
取り扱い書の最初に書かれている文面に。
希美が目を細め。
弟の隼人と一緒に観ている桜木は苦笑交じりに、
「でもね、かなり人気のアニメなんだよ。お正月映画の中で、飛びぬけて収益がよかったんだよ。入場者特典もあったから」
希美に伝える。
「そうなの。知らなかったわ」
ぱらーー……。
たぬ吉の背中の上の希美。
横を小走りで行く桜木。
腕の中には金属バットが、鈍く光る。
――セイレフ姫から貰った杖で、私が選んだのは大好きな犬のぬいぐるみのチャッピー☆ これからよろしくね☆
――宇宙人を倒したら貰える《宝石》を集めて倒そう☆
「か、可愛いんだよ? ひのんちゃんは、頑張り屋さんでね」
桜木がフォローする。
「そうなの? 全く、そう思わないのは。アニメを観ていないせいかしら」
取り扱い書を持つ手が震える。
動揺しているのか、苛立っているのか。
想像もつかないが。
「これね。この《宝石》の説明は」
最初、貰える宝石は――攻撃、守り、時間の三つ。
ぬいぐるみに命を与えるような文章はない。
「あ。チャッピーはねセイレフ姫の生命の泡からで、この宝石は関係ないんだよ。のなかちゃん」
「く、詳しいのね。まどか」
「あ! ゃ、そんなこと、ない、よ??」
恥ずかしそうに桜木が、顔を背けた。
そこに、たぬ吉。
「仲がいいでやんすなぁ~~お二人とも」
「たぬ吉。何か、異変はない? あなたが頼りなのだから」
「はい! おいら、きちんと神経を尖らせるでやんす! 姐さんと、まどかのためにでやんす!」
尻尾を、勢いよく振るたぬ吉。
そして、また視線を下す。
――《宝石》には色々の属性があるの☆ 沢山、集めて一緒に、この地球を守ろう☆
ぐしゃ。
「の、のなかちゃん! しっかりして!」
「! ぁ、私としたことが」
「ううん。いいんだよ、のなかちゃん。興味がないんだもん、仕方ないよ」
「ええ。全く、共感も、興味も沸かないのよ」
「仕方がないよ、のなかちゃん」
希美は、杖の刃を見た。
そこには付属の《宝石》が、鈍く光った。
「今、どのくらい、この石は出ているの? まどか」
「長いシリーズだもん。かなりあるよ! これのね、カードゲームがあってね。ボタンを押して躍らせて、キャラクターの、ひのんちゃんとか……」
ウキウキと、つらつらと話す桜木を。
(まどか、隼人とハマっているのね)
希美は苦笑交じりに見た。
「っな、何……かな?? のなかちゃん??」
顔を紅潮させる桜木。
希美は顔を横に振った。
「なんでもないわ、まどか」
◆
「可笑しいなぁ?? だいたい、この杖の近くにあるのに?」
トイパラに戻った一同。
桜木は携帯で辺りを照らした。
「そうなの? よく分からないわ」
希美が、顔を横にする。
「杖があるのだから、ないわけがな――……」
「あ゛‼」
桜木が声を上げた。
「?! ま、どか?? どうかしたの??」
「忘れて、た」
桜木は両頬に掌を当てた。
「一大事なことでやんすか? まどか」
「うん。そうだよ、たぬ吉! 一大事なことだよ!」
おろつく桜木に、
「落ち着くのよ、まどか。息継ぎをして」
希美が背中をさすった。
「うん、すぅ~~、はぁ~~」
「大丈夫??」
「うん。あのね、その、のなかちゃん」
「何? まどか」
桜木は希美の両肩に手を置いた。
「《宝石》はガチャガチャだけの別売りなんだよ」
希美の胸に顔を埋めた。
「そんなに希少なのね。店内販売もできないくらい、流通していないのね」
「うん。激レアとか、ネットの売買でも高値なんだよ」
桜木が、勢いよく顔を上げた。
「地下の、最初の場所にね。そのガチャガチャがあるの」
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